アプリ限定 2023/05/02 (火) 18:00 23
平塚競輪場で5月4日に行われる「ガールズケイリンコレクション2023平塚ステージ」。レースの見どころや出場選手の近況をデイリースポーツの松本直記者に解説いただきます。
2日開幕の平塚競輪「日本選手権競輪」。白熱する“競輪ダービー”の3日目12Rに行われるガールズケイリンのビッグレースにもぜひ注目してほしい。
今回の出場選手は1月に行われたトライアルレース3開催の決勝2着以上の選手と、各開催の決勝3着選手の中から選考期間の平均競走得点上位者が選抜されている。
柳原真緒が思い出の場所へ帰ってくる。
昨年末、12月29日に当地で行われたガールズグランプリ、直線一気に外を伸びて1着。グランプリ初出場初優勝を成し遂げたバンクだ。賞金女王になった今年は、責任感あふれるレースを続けて結果を残している。1月岸和田から3月福井まで6場所連続優勝とガールズケイリン界を引っ張ってきた。
しかし、女王として臨んだ3月別府のガールズケイリンコレクション(別府)は後方で凡走。今年初めて着外に沈んでしまった(6着)。だがこの悔しさで柳原のハートは燃えた。名誉挽回とばかりに4月は岸和田、富山と2場所連続完全優勝。勢いを取り戻して、今開催へと向かう。
平塚バンクとの相性は抜群だ。は昨年6月末の10周年記念開催で初参戦して2、1、1着。同年8月は2、2、2着、同年12月のグランプリは優勝と、2連対率は100%を誇る。
先行、まくり、追い込みと戦法を使い分けることができるのも柳原のセールスポイント。コレクション当日の車番はグランプリを制したときと同じ青の4番車。相性や車番を追い風にして、自身2回目のコレクション優勝を狙う。
小林優香は高いレベルで安定している。
昨年はナショナルチーム時代のケガの影響で思い通りのレース参加が叶わなかったが、今年はコンスタントに競走へ参加。ここまで10場所走って6回優勝、残り4場所も準優勝。28走して24勝、2着4回と2連対率は100パーセントだ。
直前は別府で岡本二菜、名古屋で坂口楓華に差されて準優勝と悔しい思いをしているだけに、フラストレーションはこのコレクションにぶつけてくるだろう。平塚は昨年11月に走ったばかり。過去には完全優勝を2回決めているだけに相性は問題ない。爆発力あるまくりを決めて、ガールズケイリン最多となる7回目のコレクション優勝を目指す。
石井寛子も燃えている。昨年末に当地で行われたグランプリは最終3角で児玉碧衣と接触。押し上げで失格となってしまった。
ガールズケイリン10年のキャリアで初の失格を犯してしまったショックは大きく、今年初戦の大垣トライアル予選1は5着と大敗。しかしそこからしっかり立て直した。予選2で1着をゲットし決勝進出。決勝は柳原真緒の仕掛けにきっちり切り替えて差し切って優勝。コレクション出場権を自分の力でつかみ取った。
その後も集中力を高めて走り続け、今年はここまで優勝7回と結果を残している。平塚は2017年に初のグランプリ優勝を達成した思い出の場所。昨年末のグランプリの分まで奮起して、昨年3月宇都宮以来、6回目のコレクション優勝へ差し脚を伸ばす。
山原さくらは充実期に突入した。昨年はコンスタントに優勝を量産。6年ぶりにグランプリの舞台へ戻った グランプリでは奥井迪を追走。柳原真緒の強襲に屈したが2着に入った。
今年に入ってからも好調は持続しており、先行ありのロングスパートを多用して成績が安定。9場所走って優勝4回、準優勝が3回。予選も含めて着外0回は光っている。
位置取りに脚を使うタイプではないので、一撃を狙うレースになるはずだが、破壊力は抜群。展開がはまれば優勝の可能性は十分だ。過去のコレクション優勝は2016年3月名古屋の一度だけ。しかし7年前よりも確実にパワーアップしている。混戦が条件だが、優勝のチャンスは大いにありそうだ。
久米詩は地元伊東で行われたトライアルで優勝。出場権をつかみ取った。勝負強さはメンバー中1番かもしれない。
コレクションは昨年8月西武園のガールズドリームレース以来4回目。今回は4月四日市の4日制を完全優勝と波に乗って参加となるだけに侮れない存在だ。
フレッシュクイーンを優勝した実績もあるだけに、単発レースは得意と言える。自在脚を駆使して好位確保ができれば大穴車券を演出することもありそうだ。
奥井迪は判断が難しい。昨年は9月にティアラカップを優勝。3年ぶりにグランプリの舞台へと戻った。
しかし今年は苦戦が続く。1月松戸は優勝、同月伊東トライアルで3着に入りコレクション出場権は手にしたが、その後は低空飛行。2月立川の後はぜんそくの症状も出てしまい、開催を欠場することもあった。
しかし3月の前橋ではガールズケイリン史上2人目となる500勝を達成。少しずつだが上向いている。今回は徹底先行タイプが不在なだけに奥井としては逃げやすいメンバー構成。自分の距離でしっかり踏み込むことができればチャンスはあるはずだ。
ガールズケイリン1期生・野口諭実可はコレクション初出場。
デビュー当時は競走得点は47〜48点で野口本人も「クビになると思っていた」というほどの状況だったが、2018年に群馬支部から大分支部へと移籍。元選手の川野信一郎(52期)から指導を受けることで成績が上昇した。
追走技術を上げると、差し脚もアップ。その後は自力でまくる脚も付いてきた。2021年2月小倉では初優勝も達成。直前は4月別府決勝で落車、同月小倉は2日目途中欠場と流れは良くないが、本番までにはきっちり立て直してくるはずだ。“失うモノはない”野口諭実可のチャレンジから目が離せない。
車番 | 選手名 | 府県 | 期別 | 年齢 |
---|---|---|---|---|
1 | 小林優香 | 福岡 | 106 | 29 |
2 | 石井寛子 | 東京 | 104 | 37 |
3 | 久米詩 | 静岡 | 116 | 23 |
4 | 柳原真緒 | 福井 | 114 | 25 |
5 | 山原さくら | 高知 | 104 | 30 |
6 | 野口諭実可 | 大分 | 102 | 30 |
7 | 奥井迪 | 東京 | 106 | 41 |
松本直
千葉県出身。2008年日刊プロスポーツ新聞社に入社。競輪専門紙「赤競」の記者となり、主に京王閣開催を担当。2014年からデイリースポーツへ。現在は関東、南関東を主戦場に現場を徹底取材し、選手の魅力とともに競輪の面白さを発信し続けている。