アプリ限定 2025/04/23 (水) 12:00 8
岐阜競輪場で4月25〜27日に行われるガールズケイリンGI「オールガールズクラシック」。見どころや出場選手の近況を、デイリースポーツの松本直記者に解説いただきます。
2025年のガールズケイリンGI第1弾「第3回オールガールズクラシック」が4月25日に開幕。27日まで3日間の日程で開催される。
3日制のトーナメントで争われ、初日は特選「ティアラカップ」と予選、2日目は準決勝3レース、最終日にファイナリスト7名による決勝戦が行われる。優勝者には賞金900万円(副賞込み)と、12月29日に平塚で開催されるガールズグランプリへの出場権が与えられる。初日の番組は選考期間内の獲得賞金による選考順位での自動番組となっている。
まずは「ティアラカップ」出場メンバーの近況から紹介していく。
優勝候補の筆頭は佐藤水菜だ。昨年は8月のパリ五輪中心のスケジュールで、ガールズケイリン参加は8月の女子オールスター(平塚)から。フランス帰国直後のオールスターを3連勝の完全Vで飾ると、以降も連戦連勝。グランプリ出場へ優勝しかない勝負駆けとなった11月のGI第2回・競輪祭女子王座戦(小倉)も完全優勝ときっちり結果を出した。
迎えたグランプリ本番は圧倒的な1番人気に推された。しかし前受けから坂口楓華-石井寛子の3番手に飛び付き最終3角からまくり上げるも、石井寛子を捕らえることができず2着に終わった。グランプリのレース後には「来年はグランドスラムを目指す」と宣言した。
今年に入ってからは1月はナショナルチームの沖縄合宿に参加後、立川に参戦して3連勝。2月はマレーシアで行われたアジア選手権に参加してスプリントで金メダルを獲得と結果を出している。
岐阜バンクは3回目の参加。18年9月が117着、22年4月が111着と優勝実績があり心配はない。世界基準のスピードを発揮して、第1回松戸大会以来となる2回目のオールガールズクラシック制覇を目指す。
昨年のガールズグランプリを優勝した石井寛子。7年ぶり2回目のグランプリは反響が大きく、ガールズケイリン全体に勇気を与えた。
今年の前半戦はグランプリ覇者としての活動に力を注ぎ、ガールズケイリンのPRや優勝報告会をほとんど断らず引き受けた。練習、競走とハードなスケジュールをこなしながら、大きく崩れることなく前半戦を乗り切った。
今年最初のGI戦は昨年のガールズグランプリを優勝した恩恵で、選考順位は1位。初日特選ティアラカップは1番車からスタートできる。このアドバンテージを活かし、勝ち上がりを決めたい。
意外にもGIで決勝に勝ち上がったのは第1回オールガールズクラシックのみ。今回はまずは決勝進出、そして初のGI優勝を狙っていきたい。
坂口楓華は最高のリズムでオールガールズクラシックに臨む。昨年のガールズグランプリは打鐘過ぎの4角からのカマシ先行。最後の直線まで粘ったが4着に敗れた。
悔しい敗戦は坂口の闘志に火を付けた。今年はここまで29走して1着が28回、優勝8回と絶好調だ。坂口の強みはロングスパートを苦にしないこと。仕掛けを渋ることなく積極的に仕掛けていけば、単騎でカマしてくる選手の番手にはまることも十分。前々に攻める強い気持ちを持って戦う坂口のGI初優勝も十分ありそうだ。
尾崎睦は6年ぶりに出場した昨年のグランプリで3着と爪痕を残し、復活をアピールした。今年に入ってからも優勝は3回と少ないが、決勝は全て1〜3着までと安定感が抜群だ。
昨年はオールガールズクラシック、パールカップ、競輪祭女子王座戦と全てのGIで決勝進出と結果を残した。今年も引き続きGIでは決勝進出は外せない。尾崎にとって今年は大事な1年。年末のガールズグランプリは地元平塚開催。GI優勝で地元グランプリ出場を決めたい。
尾方真生は1月玉野から3月久留米まで5場所連続優勝。四日市は準優勝、玉野は途中欠場と心配したが、直前のいわき平で3連勝の完全優勝と悪い流れを自分の力で断ち切った。
最近の勝ちパターンはカマシかまくりだが、逃げて勝負できるのも尾方の強み。緩急自在に攻めてGI優勝を狙いたい。
今年の石井貴子(千葉)も堅実だ。昨年6月、GIパールカップ(岸和田)を優勝。5年ぶりにグランプリの舞台へ戻ると、今年は年明けから安定した戦いを続けている。
9場所走り優勝は4回。3連対率は100%と車券への貢献度は高い。石井は千葉登録だが、生まれ故郷は岐阜県美濃加茂市で今回は凱旋レース。クレバーな組み立てできっちり決勝進出を決めて、最後は得意の差し脚を発揮したい。
昨年のグランプリは補欠選手だった吉川美穂は、グランプリ復帰を成し遂げたい。ここまで優勝3回と堅実に結果を出している。
今年はホームバンクの和歌山競輪場がバンク改修中で練習面のハンデはあるが、本番に向けてきっちり仕上げてくるはず。第1回の松戸、第2回の久留米とオールガールズクラシックは2年連続準優勝。もう2着はいらない。狙うは優勝のみだ。
ここからは予選の注目選手をピックアップしていく。
予選は5レース行われ、準決への勝ち上がりは1〜2着の10人プラス3着が4人と狭き門となっている。
前回覇者・児玉碧衣はオールガールズクラシック初めての予選回り。初日から勝負駆けになるが、修羅場は何度もくぐり抜けてきているだけに心配は少ない。
ガールズケイリンを長く牽引してきた児玉碧衣だからこそ、モチベーション低下や燃え尽き症候群を心配したが、少しずつ“やる気スイッチ”が入ってきている。昨年は並々ならぬ意気込みで臨んだ地元久留米開催で、きっちり優勝を勝ち取った。今年は予選スタートで挑戦者の立場。攻めるレースで結果を出したい。ガールズケイリンは児玉碧衣が強くないと、盛り上がらない。
久米詩はここまで賞金ランキング1位を走っている。今年は年頭から正規あっせんだけでなく、追加も断らず受けて、賞金を上積みしている。ここまで優勝は7回と結果を残している。オールガールズクラシックは第1回が3着、第2回が6着と2年連続で決勝進出中。今年も自力基本のレーススタイルを崩さず、まずは決勝進出を目指していく。
奥井迪のパワフルさは衰え知らず。今年に入ってからもスタイルを変えず、緩んだら仕掛ける自力選手のお手本のようなレースで結果を出している。
小林莉子も自在戦が冴えている。昨年11月からフレームメーカーを変更し、新車の扱いにも慣れてきた。昨年のオールガールズクラシック決勝はスタートけん制で前を取り、逃げる形になった。今年もまずは決勝に乗り、昨年の分まで結果を残したい。
太田りゆ、梅川風子は昨年前半までナショナルチームの活動をしていたため、選考順位は下位だが脚力で勝るのは言うまでもない。
太田りゆは昨年秋からガールズケイリンに本腰をいれるとダッシュ力を生かしたまくりで白星量産中。昨年11月の競輪祭女子王座戦は決勝2着と、タイトル奪取は目前だ。
梅川風子は昨年12月の京王閣で落車。胸椎を骨折したが、復帰後はケガを感じさせない動きを披露している。今年に入って連戦連勝。1月熊本から21連勝、7場所連続完全Vと最高のリズムでGIに臨む。
新鋭・熊谷芽緯も侮れない存在だ。GI初出場となった昨年11月の競輪祭女子王座戦は、3日間とも先行勝負し積極駆けが光っていた。初出場のオールガールズクラシックでも自慢の先行力をアピールしたい。
3月伊東のフレッシュクイーンでは仲澤春香をまくらせない強じんな逃げを見せ優勝。ジャイアントキリングを起こすなら熊谷芽緯の先行勝負だ。
地元勢は増田夕華と宇野紅音の2名が参加。ビッグレースの盛り上がりに地元勢の活躍は欠かせない。走り慣れたバンクのアドバンテージを活かして1回でも多く車券に絡み、本場を盛り上げてもらいたい。
松本直
千葉県出身。2008年日刊プロスポーツ新聞社に入社。競輪専門紙「赤競」の記者となり、主に京王閣開催を担当。2014年からデイリースポーツへ。現在は関東、南関東を主戦場に現場を徹底取材し、選手の魅力とともに競輪の面白さを発信し続けている。