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伝説ヤマコウ 炎のレース展望

【瀬戸の王子杯争奪戦予想】太田海也がぶち当たる壁 決勝は前受け突っ張り?それとも引くか?/ヤマコウ展望

2023/03/29 (水) 12:00 32

競輪界では知らない者がいないヤマコウこと山口幸二さんの予想コラム。元トップレーサーならではの鋭い読みは必見です。

 玉野競輪開設72周年記念瀬戸の王子杯争奪戦、決勝メンバーが出揃いました。

③佐藤慎太郎(福島・78期)
④森田優弥(埼玉・113期)ー⑦坂井洋(栃木・115期)ー②吉澤純平(茨城・101期)
⑤渡邉雄太(静岡・105期)ー⑧小原太樹(神奈川・95期)
⑥太田海也(岡山・121期)ー①松浦悠士(広島・98期)ー⑨荒井崇博(長崎・82期)

 決勝戦、一番気になるのは⑥太田海也の走り方ではないでしょうか。ネーションズカップ(エジプト・カイロ)が終わり3ヶ月ぶりの実戦となりました。中野慎詞(岩手・121期)や玉野記念を走っている山崎賢人(長崎・111期)は、帰国後結果を残せない中、太田は決勝戦まで進出しました。初日予選は6Rに組まれたところを見ても「地元なので期待はしているが、他にも強い選手はたくさんいますよ」という扱いでした。しかし、初日、2次予選の走りで周囲の眼も変わったように感じます。

 1次予選は前受けから引いてホームかまし。1着になりましたが、メンバーも軽かったので「まぁこれくらいは強いよね」と言った感じでした。2次予選、太田は前受けからの突っ張り先行で2着に粘りました。「9車の競輪で前受けから突っ張り先行2着」ができたことで、一気に認知されたように思います。

 私たちの時代は誘導ペースも遅かったので、後ろを取って押さえて駆ける「押さえ先行」でレースを覚えました。しかし今は、誘導ペースも上がり、残り2周までは誘導員を斬ってはいけないルールなので、前をとってそのまま先行する「突っ張り先行」でレースを覚えます。そして、他の自力選手に「あいつに前を取られたら手も足も出ない」となり、「もがき合いになったら共倒れする」という選手も現れます。そこから9車の競輪を経験し、突っ張り先行だけでは次第に限界を感じるようになります。それが今、北井佑季(神奈川・119期)がぶち当たっている壁です。

 北井は、前を取ったり後ろを取ったり、時には捌くレースをして現状を打破しようとしています。いずれ⑥太田にもやってくると思います。準決勝の太田は、前受けして突っ張っても末脚に自信がないので、引いて巻き返すチャンスを伺ったのでしょう。しかし、経験不足で巻き返すチャンスを逸しながらも、強靭な脚力で何とか3着に決勝に食い込んだ印象です。決勝戦は①松浦が番手なのでどういうレースをするのでしょう。

 ⑥太田が前受けして突っ張るパターンと、引くパターンを想定しました。

・突っ張るパターン

S.⑥①⑨ ③ ④⑦② ⑤⑧

    ←④⑦②
H.⑥①⑨ ③ ⑤⑧

   ④⑦② ⑤⑧
B.←①⑨ ③
  ⑥

 展開有利は①松浦ですね。③慎太郎は隙があったら①松浦の番手を狙うことも考えます。

1=9ー378
1ー3ー978

・引くパターン

      ←⑥①⑨
H.④⑦② ③ ⑤⑧

    ⑥①⑨
B.←⑦② ③ ⑤⑧
   ④

 展開有利は⑦坂井ですね。

7=2ー138

 ⑥太田に対して敵愾心を持って戦うのは④森田だと思うので、引いてカマシを狙った時、他のラインにチャンスが訪れそうですね。⑥太田がどれくらい強いのか楽しみです。

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山口幸二

Yamaguchi Kouji

岐阜県大垣市出身。日本競輪学校62期卒業の元競輪選手。1988年9月に大垣競輪場でデビュー、初勝利。1998年のオールスター競輪で完全優勝、同年のKEIRINグランプリ'98覇者となる。2008年には選手会岐阜支部の支部長に就任し、公務をこなしながらレースに励む。2011年、KEIRINグランプリ2011に出場。大会最年長の43歳で、13年ぶり2度目のグランプリ制覇を果たし、賞金王も獲得した。2012年12月に選手を引退、現在は競輪解説者としてレース解説、コラム執筆など幅広く活動する。父・山口啓は元競輪選手であり、弟の山口富生(68期)、息子の山口聖矢(115期)・山口拳矢(117期)は現役で活躍中。

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