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伝説ヤマコウ 炎のレース展望

【ウィナーズカップ予想】「進化しなければならない」脇本の選択 古性の戦法からレースを読む/ヤマコウ展望

2023/03/21 (火) 12:00 51

競輪界では知らない者がいないヤマコウこと山口幸二さんの予想コラム。元トップレーサーならではの鋭い読みは必見です。

 別府ウィナーズカップ決勝メンバーが出揃いました。グレードレースらしく難解なレースが多い中で、以下の9人の選手が勝ち上がりました。

②松浦悠士(広島・98期)ー⑥福田知也(神奈川・88期)
③新山響平(青森・107期)ー⑨新田祐大(福島・90期)ー⑦守澤太志(秋田・96期)
⑤古性優作(大阪・100期)ー①脇本雄太(福井・94期)
⑧嘉永泰斗(熊本・113期)ー④山田庸平(佐賀・94期)

 まず、近畿の並びがいつもと違います。なんと①脇本が番手です。脇本が「進化しなければいけない」と言う気持ちは、これまで随所に伺えました。昨年、中西大(和歌山・107期)や寺崎浩平(福井・117期)の番手を回って新境地を開拓しようとしましたが失敗。今回は⑤古性の番手で優勝を狙います。

「餅は餅屋」という言葉があるように「向き不向き」があるので、今のままで追込み勝負するのはまだ厳しいですね。でも脇本の気持ちも分からない訳ではありません。毎日毎日人気を背負い「勝てば官軍負ければ賊軍」の世界の中、追込み選手と違い、負けた原因を前のせいにはできません。今回は調子も良くないし、少しはプレッシャーの世界から解放されたい気持ちが多少あるような気がします。

 さてレースはどのように動くでしょう。①脇本が⑤古性の後ろを回るので、先行タイプは③新山に絞れます。⑧嘉永も先行はしますが、どちらかと言えば、先行も辞さずの気持ちで先頭に立ち、叩かれたら番手や3番手で粘るタイプです。トップスピードが足りない分を持久力で補ってますね。②松浦も先行もしますが、後ろに地区が違う⑥福田が付くなら位置取りで活路を見出したいところです。そして⑤古性、後ろが①脇本ということもあり、北日本勢を叩くレースをすると思います。北日本勢は、まだ⑦守澤がGIやGIIを獲ってないので、そこにもチャンスがある走りをしたいはず。

 ⑤古性は①脇本の後ろで何度もタイトルを獲っているので、自分が前の時は①脇本にもチャンスがある走りをしたいが、⑤古性クラスになると発進はできません。となると⑤古性が狙うのは1周カマシだと思います。初手が見えてきました。

S.③⑨⑦ ②⑥ ⑤① ⑧④

 まず⑧嘉永が動いて、③新山が突っ張ります。その後に仕掛けるのは⑤古性だと思います。その動きを見て⑨新田が番手から出ます。これだと①脇本は絡まれる可能性があります。

    ←⑤① ⑧④
B. ←⑨⑦ ②⑥
   ③

・5=9ー724

 ⑤古性が①脇本にもチャンスがある走りなのは1周カマシの時。

H.←⑤①
    ③⑨⑦ ②⑥ ⑧④

 この時は①脇本が余裕で抜け出すと思います。脚力があり過ぎて後ろが付いてくる可能性もあると読んで…。

・1ー397ー9735

 ①脇本が後ろを回ることを⑤古性に告げると、即決で「わかりました」と返事をしたようです。普通なら慌てふためいて「どうしたんですか?」となるはずです。⑤古性は常日頃から前を回ることを意識して、走りを磨いてきたのだと思います。ここにも⑤古性の覚悟を感じます。さて、どのような決勝戦になるでしょうか。

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山口幸二

Yamaguchi Kouji

岐阜県大垣市出身。日本競輪学校62期卒業の元競輪選手。1988年9月に大垣競輪場でデビュー、初勝利。1998年のオールスター競輪で完全優勝、同年のKEIRINグランプリ'98覇者となる。2008年には選手会岐阜支部の支部長に就任し、公務をこなしながらレースに励む。2011年、KEIRINグランプリ2011に出場。大会最年長の43歳で、13年ぶり2度目のグランプリ制覇を果たし、賞金王も獲得した。2012年12月に選手を引退、現在は競輪解説者としてレース解説、コラム執筆など幅広く活動する。父・山口啓は元競輪選手であり、弟の山口富生(68期)、息子の山口聖矢(115期)・山口拳矢(117期)は現役で活躍中。

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