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筋トレマニア加藤慎平の筋肉で語る競輪

【筋肉診断】ゴールド・ウイング賞に出場する野口裕史、渡邉一成を解説!

2021/04/14 (水) 12:30 5

加藤慎平の「筋肉診断」。今回は、西武園競輪場で行われるゴールド・ウイング賞(GIII)に出場する野口裕史、渡邉一成を解説する。

●野口裕史

 身長は177cmと充分なフレーム(骨格)があり、なんと言っても体重が100kgを超えてくる。数字だけを見ると『どこかの部位だけが異常に発達したいびつな体型』を想像してしまうが野口選手の場合まったくそういう事は無い。それもそのはず、競輪選手になる前はハンマー投げ日本選手権優勝と言うとてつもない経歴を持っている。『アンバランスな体型』で、そのような偉業を成し遂げるのは不可能であろう。

 彼のストロングポイントはまず上半身の筋肉である。けたたましく発達した背部は脊柱起立筋から僧帽筋に掛けてパーフェクトな盛り上がりを見せる。そしてなんと言ってもド太い体幹部。背部と体幹部と言うのは非常に密な関係であり、このルーツはハンマーをより遠くに飛ばす為の回転軸となる体幹部の安定性、そしてハンマーをリリースする瞬間に最高出力を出す為のガイドをする背部の筋肉が連動している証拠だろう。

 前経歴から下半身の筋バランスを疑ってしまうが全くそんな事はない。筆者は直立時の全体的なフォルムを重要視するが、野口選手の下半身は豊富な筋量を持つ上半身に対して充分な筋量を持っているので違和感が全く無いのだ。

 脚質は地脚だが、パワータイプでありながら自転車に対しての出力の出し方はロスがあまり無く、柔軟な肩甲骨と股関節を持っているのだろう。

●渡邉一成

 身長は176cm、体重は80kgを超えるが、彼の特徴はなんと言っても『そうは見えない』身体のフォルムだ。他のトップ選手と比べると間違いなく細身に見えるが、そのスタイリッシュな身体とは裏腹にレースでは破壊的なダッシュ力を見せ付ける。

 筋肉の付着の仕方はスプリンターにありがちな『太く短く』ではなく四肢に満遍なく付着するタイプ。パッと見、地脚タイプかな?と思ってしまうほどだ。それが蓋を開けてみれば日本を代表するピュアスプリンターなのだから人の身体は面白い。

 乗車フォームにあまり柔軟性は感じないのだが、とにかくペダリングが綺麗で上死点から下死点の切り返しが早い。年々モガける距離が長くなってきている事から“抜き”の技術も会得していっているのだろう。

●本レースで注目すべき選手は…?

 SS自力選手が平原康多のみで磐石の体制と思いきや、今回は関東自力選手が若干手薄だ。平原自身の自力でも4日間勝負出来るが磐石とまでは行かない。

 高橋晋也、野口裕史、取鳥雄吾をピックアップしたい。どの選手も番手には和田健太郎、守澤太志などの一流追い込み選手が控えラインの総合力で関東勢に充分立ち向かえるだろう。

 そしてなんと言っても町田太我。次世代の競輪界を担うスーパースター候補の走りには全競輪ファンは注視するはずだ。

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加藤慎平

Kato Shimpei

岐阜県出身。競輪学校81期生。1998年8月に名古屋競輪場でデビュー。2000年競輪祭新人王(現ヤンググランプリ)を獲得した後、2005年に全日本選抜競輪(GI)を優勝。そして同年のKEIRINグランプリ05を制覇し競輪界の頂点に立つ。そしてその年の最高殊勲選手賞(MVP)、年間賞金王、さらには月間獲得賞金最高記録(1億3000万円)を樹立。この記録は未だ抜かれておらず塗り替える事が困難な記録として燦々と輝いている。2018年、現役20年の節目で競輪選手を引退し、現在は様々な媒体で解説者・コメンテーター・コラムニストとして活躍中。自他ともに認める筋トレマニアであり、所有するトレーニング施設では競輪選手をはじめとするアスリートのパーソナルトレーニングを務める。

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