2023/03/25 (土) 12:00 31
玉野競輪場で3月26〜29日に開設72周年記念「瀬戸の王子杯争奪戦(GIII)」が開催される。太田海也(23歳・岡山=121期)がネーションズカップ2大会での大活躍後、楽しみな参戦となる。
エジプトで開催された大会のスプリントでは圧倒的な世界王者として君臨するオランダのハリー・ラブレイセンから1本取った。
脇本雄太(34歳・福井=94期)がかつて国際大会の準決でラブレイセンを破って決勝に勝ち上がった時のことだ。決勝も…と期待したものだが、ラブレイセンの優勝だった。脇本は「(ラブレイセンは)準決で負けて怒ってた」で、決勝は本気を出したと表現していた。
あまりにも野性的なラブレイセンなので、そうした表現になったと思う。太田に1本取られた後も同じだったか…。自転車経験の浅い太田が見せている成長は世界王者にしても脅威だろう。その走りを今回、見ることができる。
競輪で見せる太田の走りは、荒い。競技経験の豊富な中野慎詞(23歳・岩手=121期)が30連勝まで到達した洗練さはない。ただ、より上。もはや、誰も見たことのないレベルに到達するには、今はこれがいいと思う。
もちろんそれでも競輪は競輪。ウィナーズカップで復活の優勝を飾った松浦悠士(32歳・広島=98期)との連係が待ち望まれる。松浦の考えとのハーモニーがどんな形で成就するのか。
松浦の競輪脳からすれば、太田に対してすでに様々なものが把握できているだろう。松浦がいい状態だからこそ、より太田の良さを引き出せると思うと、今節の太田を見れば、これからが見える。国内の競輪の参加は少ない中になるものの、「太田はやってくれる」とファンに植え付けるいい機会だ。復調した町田太我(23歳・広島=117期)もいるので、瀬戸内勢の持ち上がりは相当なものになるだろう。
取鳥雄吾(28歳・岡山=107期)も地元記念Vを目指す立場。大挙して決勝に進出となれば、町田ー松浦と太田ー取鳥で別線勝負まであるかもしれない…。
山崎賢人(30歳・長崎=111期)はナショナルチームで年長となり、成績の面で若手に押されている。正直、ピンチと言っていい。この正念場でどんな力を発揮できるのか、が問われる。
エジプトでは落車もしているが、そうも言っていられない。そもそも「この男は何かやってくれる」を強く感じさせていたのが、アフロ怪人だ。
さびしい表情は見たくない。新田祐大(37歳・福島=90期)、佐藤慎太郎(46歳・福島=78期)の福島SSコンビもいる中で、どれだけ存在感を発揮できるか。圧倒的な笑顔を、期待したい。
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前田睦生
Maeda Mutuo
鹿児島県生まれ。2006年東京スポーツ新聞社入社、競輪担当として幅広く取材。現場取材から得たニュース(テキスト/Youtube動画)を発信する傍ら、予想系番組やイベントに出演。頭髪は短くしているだけで、毛根は生きている。