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毒熱!闘う競輪記者マッチーが行く!

全日本選抜を振り返って!

2023/03/01 (水) 18:01 46

 競輪記者を30年以上やっているが、実は高知競輪場には、あまり縁がなく3度目の取材。最初は23年前のオールスター競輪。ただ、この時、パニック障害みたいになり、救急車を呼んで病院に行き、そのまま途中欠場。競輪場が改装されたばかりで塗料の匂いや、大きな地震、エレベーターの記者室と検車場の往復で、今考えると三半規管がやられた気がする。

 当時、60歳を過ぎた先輩記者が救急車で付き添ってくれたが、最後に会うのがこの人では嫌だと思い、意地でも生きてやろうと思った。病院に行っても、医師と看護師がふざけ合っており、この場所を死に場所にはしたくないと思い、あちらの世界に行かずに済んだ。その後は、7、8年前にイー新聞杯があり、あかり姫とニコ生に出演。それ以来の取材であり、高知と佐世保だけは、取材回数が何故か少ない。

古性優作と脇本雄太

 さて、古性優作の優勝で幕を閉じたが、個人の出来、不出来より現状の競輪は地区の勢いが左右している。7、8割の状態だったとしても、ワッキーが不在なら、絶好調の古性優作でさえ、優勝は難しかったかもしれない。ワッキーが途中欠場していたら、売り上げも数億円は違ったと思うと、ぞっとする。

 取材を通じてワッキーから「極度の腰痛の影響で調子は悪い。日に日に、感触も悪くなっている」との言葉を貰った。もちろん、ワッキーは東京オリンピックが頂点だし、今後一切、絶好調宣言はしない。メディアに、その情報が載っていたから、決勝も古性優作から売れていた。取材の大切さを改めて実感したが、選手のコメントにプラスの味付けも重要かもしれない。泣きの選手、リップサービスで吹く選手、自分の状態をオブラートに包む選手と千差万別。その意味合いや、ニュアンスが違わない様にしながら伝えるのが僕らの仕事。

 決勝戦に関しては、色々な人が評論しているので、ここでは触れない。レース後のコメントも出ているので、ファンも答え合わせが出来たはず。僕らネット競輪のニュースチームが大切にしている事は、勝った選手より、負けた選手のコメント。ここが一番の競輪のファクターであり、ファンも知りたいところ。コロナ禍で、準決にしても負けた選手のコメントは拾えなかったが、このスタンスでファンには面白い情報を伝えていきたい。

郡司浩平

 個人的な見解になるが、古性優作が優勝した一番の要因は、二日目のスタールビー賞。脇本雄太が叩かれたとみるや、瞬時に切り替えた事だ。普通、無条件で勝ち上がれるレースは、シビアな運行は控えるし、まして、前が世界の脇本雄太だ。普通なら簡単に出来る芸当ではないし、強い気持ちがないと出来ない。我々が思っている以上に選手は“切り替え”に関してアレルギーがある。信頼関係を崩す原因にもなるし、あの2人はそんな甘い関係でない事も立証した。古性優作が阿修羅になった瞬間、優勝が決まったのかもしれない。逆に郡司浩平は、初日特選で深谷知広を残しに行き、中を割られて、みすみす1着を逃してしまった。今回に限って言えば、この差だった気がする。

町田太我

 九州は二次予選で全員が脱落して準決に進めなかった。ヨコの強い自力選手は多いが、勝ち上がりの段階で先行する勇気のある選手は不在。500バンクの穴の車券戦術は、昔から“捲りより先行選手”だと思っている。脚を使わず駆ける事が出来るから、意外と持ってしまう。これが二次予選の町田太我だった。あとは、北津留翼の不在も痛かった。それでも、大塚健一郎の“古豪復活”と言えるレースは良かったし、有能な記者から教えてもらったが、大塚健一郎の語彙力は凄いそうだ。瞬時に、面白いキーワードがポンポン出てくる。

大塚健一郎

 犬伏湧也もシリーズを通して3勝した。もし、準決が大師匠の小倉竜二でなく、カマシ、捲りの組み立てなら決勝に乗っていたかもしれない。中四国は、やはり松浦悠士がいるから、若手にきちんとした教育をやっている。

犬伏湧也

 関東は、いつもと違い眞杉匠が積極性に欠いた。吉澤純平が孤軍奮闘で決勝に乗ったが、吉田拓矢と坂井洋の仕上がりが今ひとつだった。これで平原康多も苦戦した。だが、ニュースタイルで武田豊樹が、厳しいコース取りを魅せていた。あれは、渋いマーク屋の走りだ。車券は今回もかなりやられて高い授業料になったが、生きているだけで丸儲けだと思うしかない。続く。

眞杉匠

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毒熱!闘う競輪記者マッチーが行く!

町田洋一

Machida Yoichi

基本は闘うフリーの記者。イー新聞総合プロデューサー、アオケイ・企画開発パブリストの肩書きも持つ。自称グルメでお酒をこよなく愛す。毒のある呟きをモットーにして、深夜の戯言も好評を得ている。50代独身で80代の母親と二人暮らし。実態はギャンブルにやられ、心がすさみ、やさぐれている哀しき中年男である。

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