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筋トレマニア加藤慎平の筋肉で語る競輪

【筋肉診断】ちぎり賞争奪戦に出場する金子貴志選手を解説!

2023/01/26 (木) 12:00 9

加藤慎平の「筋肉診断」。今回は豊橋競輪「ちぎり賞争奪戦(GIII)」に出場する金子貴志選手を解説する。

⚫︎金子貴志

撮影:島尻譲

撮影:島尻譲

 公式プロフィールでは身長175cm、体重80kg。愛知県を代表するグランプリレーサーである。爆発的なスプリント能力を武器に、国内競輪の幅を超えて、自転車競技の第一人者として数々の栄光を手に入れた。

 そんな金子貴志選手も47歳を迎えた。もともと華奢な体型であったが、高重量を用いたウエイトトレーニングと食トレで、全盛期はゴリゴリにビルドアップされていた。

 筆者も金子選手と同じ中部地区の後輩で、何度も何度も金子選手と連携を重ねたものだ。金子さんの持ち味と言えば“ダッシュ力”に尽きる。筆者は小嶋敬二さん、浅井康太選手、深谷知広選手、永井清史選手、柴崎淳選手など、国内のトップレーサー達のダッシュを経験してきた。しかし、その中でも金子選手のダッシュは質が違うのだ。

 踏み出した瞬間「ドギャ!」という爆発音と共に、後輪から煙が出るようなイメージだ。一瞬でも離れた瞬間、気付いたら取り残されてしまうのだ。言語化するのが非常に難しいが、金子選手のダッシュを表す言葉は『ドギャ!』で決定だ。

 しかし近年は、金子選手も現代競輪に対抗しきれていないシーンも多くなってきた。競輪界の頂点を極めた男の苦悩をヒシヒシと感じる。加齢による筋力や腱、視力、骨密度の低下は、間違いなく競輪に影響を及ぼす。

 さらに10年前は、最盛期を迎えていた中部軍団も、今や全国的に戦力不足感が否めない。自力勝負が持ち味の金子選手が、番手線で力を出しきれないことも、中部地方の低迷化の一因だろう。

 しかし、金子選手は努力する事を絶対に辞めない男だ。筆者はよく知っている。頂点を極めた自力勝負と同様に、マーク戦にも間違いなく対応してくるはずだ。

 そして今回のちぎり賞争奪戦は、金子選手にとってプラス材料が揃っている。浅井康太選手を筆頭に、山口拳矢選手、橋本優己選手など、頼もしい自力選手が豊富に揃っているのだ。地元となる豊橋で金子選手の復活を見たいものだ。

⚫︎本レースで注目すべき選手は…?

 珍しく地元中部勢の層が厚い。それ以外だと、近畿勢から脇本雄太選手と古性優作選手が出場する。今の脇本選手は勢いがあり、地元中部勢と近畿以外の地域は半分諦めムードだろう。

 他地区からしたら、近畿勢よりも多くの選手を決勝戦に載せたいところだが、さすがに今節はどの地区も厳しそうだ。脇本選手と同じ番組にならぬよう祈る事だ。

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加藤慎平

Kato Shimpei

岐阜県出身。競輪学校81期生。1998年8月に名古屋競輪場でデビュー。2000年競輪祭新人王(現ヤンググランプリ)を獲得した後、2005年に全日本選抜競輪(GI)を優勝。そして同年のKEIRINグランプリ05を制覇し競輪界の頂点に立つ。そしてその年の最高殊勲選手賞(MVP)、年間賞金王、さらには月間獲得賞金最高記録(1億3000万円)を樹立。この記録は未だ抜かれておらず塗り替える事が困難な記録として燦々と輝いている。2018年、現役20年の節目で競輪選手を引退し、現在は様々な媒体で解説者・コメンテーター・コラムニストとして活躍中。自他ともに認める筋トレマニアであり、所有するトレーニング施設では競輪選手をはじめとするアスリートのパーソナルトレーニングを務める。

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