2021/03/28 (日) 12:00 1
現役時代はトップ選手として長く活躍し、現在は評論家として活動する鈴木誠氏の競輪予想コラム。今回は松阪競輪場で開催されているウィナーズカップの決勝レース展望です。
今大会は取材で松阪競輪場へと来ています。
松阪競輪場は現役時から風が強いという特徴がありました。特に今大会は雨となった初日は、それほど風の影響を受けなかったのですが、2日目、3日目と強い風がバンクの中を吹き荒れていました。しかも決勝が行われる最終日は風だけでなく、雨も強くなる予報が出ています。当日は天気状況も踏まえた上で、予想に組み入れたいところです。
ウィナーズカップ決勝ですが、並びは細切れ戦となりました。準決勝と同じ並びも多く、高橋選手-守澤選手の北日本ラインと、深谷選手-郡司選手の南関東ライン。大阪コンビですが古性選手が前で、その後ろが稲川選手。山田選手は単騎の競走を選択しています。
注目していたのは中国ラインの並びです。準決勝では松浦選手が番手を走り、清水選手が3番手を回っていましたが、決勝では松浦選手-清水選手の並びとなっています。調子がいいのは清水選手なのですが、この並びだと、松浦選手は先行も視野に入れているのではとも思ったほどです。
ただ、先行するのは高橋選手か深谷選手となるでしょう。その中でも連日に渡って先行を見せている高橋選手ですが、初日から1着、3着、2着に来ているように、体調の良さは明らかです。なので、このメンバーを相手にしても高橋選手が先行すると見ています。
高橋選手が先行した場合の深谷選手ですが、準決勝と同じように、まずは前を取りに行ってから一度引いて、そこから自分の行けるタイミングで踏み出していくと思います。もし、先行した高橋選手が流していくようなら、一気にカマしていくこともあり得ます。
もし、高橋選手が思いっきり駆けた場合ですが、その時に有利なポジションとなってくるのが北日本ラインの3番手です。高橋選手が前受けをする深谷選手を抑えにいったとき、北日本ラインの3番手を取っていそうなのが古性選手であり、そこから捲っていくには絶好の流れともなりそうです。
怖いのがその後ろで脚を溜めている松浦選手です。準決勝の後はインタビューもさせてもらいましたが、あまり調子は良くないと話していました。ただ、決勝までにケアを重点に置いた、身体の微調整すると話していましたし、この決勝で肩の力が抜けたレースができるのならば、そこは能力の高いS級S班の選手。いいところまで来るのではと思います。
もう一人、肩の力が抜けたようなレースを、3日間に渡って見せているのが、全日本選抜競輪を勝利した郡司選手です。調子の良さもあるのでしょうが、今大会はどのレースでも、高いポテンシャル通りの力を発揮できている印象を受けます。
高橋選手の後ろを回る守澤選手も、今年は全てのレースで決勝に乗っている程に堅実なレースを見せています。しかも、昨年のウィナーズカップは共に決勝へと進出。守澤選手が2着で、高橋選手は3着と悔しい思いもしているだけに、今回はリベンジをしたいという思いも強いはずです。
鈴木誠
千葉県市原市出身。日本競輪学校第55期卒。千葉経大付属高校の頃から競輪に没頭し、吉井秀仁氏に師事。現役時代はすべての戦法を完璧にこなし、「本物の自在型選手」と評されるほど多彩なストロングポイントを武器に、引退するまで長きにわたってトップ選手として君臨した。現役時代は通算3058戦665勝、優勝109回(うちGIは競輪祭新人王を含め4回、GP1回)、年間賞金王1回、通算獲得賞金は17億を超える。18年7月に、ケガのため惜しまれつつ引退。引退後は選手経験を生かし、解説者として活躍。スピードチャンネルなどの番組にも出演している。