2025/07/28 (月) 12:00 5
現役時代はトップ選手として長く活躍し、現在は評論家として活動する鈴木誠氏の競輪予想コラム。今回は京王閣競輪場で開催されている「東京オーヴァルカップレース」の決勝レース展望です。
東京オーヴァルカップレースは、同じ京王閣競輪場で行われた、シン東京ミリオンナイトレースと同じく、3日制でのG3となります。
今でこそ記念競輪は4日制となっていますが、以前は前節と後節の3日制で行われていただけでなく、その頃はまだ競輪場の数も多かったので、記念競輪と言えどもメンバーが手薄になることもありました。
東京オーヴァルカップレースは、SS班の眞杉選手や清水選手を筆頭に、競走得点上位の選手が揃いました。
それでも過去の3日制競輪と同様に、特選に出場していた9名と、予選に回っていた選手たちとの力の差は歴然としています。基本的には堅いレースが多くなり、決勝にも特選組のうち、6名が決勝へと勝ち上がってきました。
準決勝11レースではSS班の清水選手が、敗れるという波乱こそあったものの、そのレースを勝利したのは、来期からSS班となる吉田選手でした。
続く12レースでは、サマーナイトフェスティバルを制した眞杉選手も勝ち上がってきており、決勝では両者ともにこの上ない援軍を得たと言えるでしょう。
その決勝の並びですが、関東地区の3人に北日本も加わった4車のラインとなったのが、①眞杉選手-⑦吉田選手-④鈴木選手-⑧内藤選手。西日本ラインが②荒井選手-⑤小倉選手。③寺崎選手-⑨三谷選手と近畿の2人の後ろは、準決勝でもこの2人と連携した、⑥友定選手となりました。
自分は2日目から京王閣競輪場へと入り、ガーデンシアターでの予想会イベントだけでなく、決勝に向けての取材もしてきました。その際、「関東ラインで上位を独占したい」と話していたのが眞杉選手でした。
眞杉選手は準決勝12レースでも前受けをしています。この時は先行態勢へと入った後藤選手を一度は突っ張りながらも、打鐘で後藤選手が再度捲ってくると車を下げて、九州ラインの3番手だった徳永選手を、横の動きで捌いてみせました。
タテ脚の強さだけでなく、横の動きも上手い眞杉選手ならではの見事なレースでした。ただ、後ろに3車を引きつれたこの決勝では、突っ張り先行も辞さない走りをしてくるはずです。
寺崎選手との先行争いを眞杉選手が制するようならば、番手捲りをしてくる吉田選手が優勝に近づきます。その時は3番手を固めている鈴木選手も引きつれて、関東ラインでの上位独占も叶えられそうです。
ただ、寺崎選手の一気のスピードに併せられなかった場合には、寺崎選手と三谷選手は前に出すものの、眞杉選手は準決勝のように、3番手に入っている友定選手を捌いていくはずです。
そこで捌き切れたのならば、眞杉選手の捲りだけが届く展開となりますが、寺崎選手もかかりきっているだけに、近畿両者も3連単の圏内に残る可能性が出てきます。
一方で眞杉選手、寺崎選手との先行争いの間隙を縫ってきそうなのが荒井選手です。
眞杉選手が突っ張りにかかった時には、5番手からの突っ込みも考えられます。また、寺崎選手が眞杉選手を抑えにかかった時に、展開がごちゃつくようだと、一気に捲っていくかもしれません。
印としては◎⑦吉田選手、〇①眞杉選手、△③寺崎選手、×②荒井選手に打ちます。決勝を含めた後半のレースの予想に関しては、本日の京王閣競輪場で行われる予想会イベントでも、後閑信一さんと共に披露します。
開催最終日は平日となりますが、予想会の他にも様々なイベントが開催されます。好天どころか、かなり暑い一日となりそうですが、このコラムをお読みになっている、皆様の来場をお待ちしております。
鈴木誠
千葉県市原市出身。日本競輪学校第55期卒。千葉経大付属高校の頃から競輪に没頭し、吉井秀仁氏に師事。現役時代はすべての戦法を完璧にこなし、「本物の自在型選手」と評されるほど多彩なストロングポイントを武器に、引退するまで長きにわたってトップ選手として君臨した。現役時代は通算3058戦665勝、優勝109回(うちGIは競輪祭新人王を含め4回、GP1回)、年間賞金王1回、通算獲得賞金は17億を超える。18年7月に、ケガのため惜しまれつつ引退。引退後は選手経験を生かし、解説者として活躍。スピードチャンネルなどの番組にも出演している。