アプリ限定 2021/03/25 (木) 18:00 3
今年最初の特別レース『ガールズケイリンコレクション2021 松阪ステージ』が28日に開催されます。出場選手の近況や注目すべきポイントなど、デイリースポーツの松本直記者に同レースの"みどころ"を届けてもらいました!
2021年のガールズケイリンコレクション第1弾が開幕する。このレースは2020年後期(7〜12月)の平均競走得点上位7人で争われるものだ。昨年末12月28日に平塚で行われたガールズグランプリの出場組が6人参加するだけに、主役を務めるのは(ガールズグランプリを制している)児玉碧衣になるだろう。
ガールズグランプリ2020は最終2角3番手からまくって優勝。前人未到のグランプリ3連覇を達成した児玉。今やガールズケイリンの女王の座を不動のモノにしている。今年はさらなる進化を求め、ただ勝つだけではなく、内容も重視している。『逃げ切り』をテーマに取り組み、ロングスパートで白星を量産。ここまで7場所20走して1着が18回。2着2回。優勝5回と安定感は抜群。最終バックをとれなかったレースはわずか3回。
特に直前の別府ミッドナイトの内容が秀逸だった。予選1は最終ホーム6番手からロングまくりで1着(上がりタイム11秒8)。予選2は最終2角3番手からまくって1着(上がりタイム11秒7)。決勝は高木真備とのコレクション前哨戦となり、3番手から先にまくった高木を力でねじ伏せる豪快なまくりで1着(上がりタイム11秒8)。完全優勝を成し遂げた。松阪は2020年3月に初参戦し完全優勝しており、バンク相性も抜群。内容重視の積極駆けで4回目のコレクション制覇を狙う。
梅川風子は選考期間の平均競走得点第1位で車番は1番車。ガールズケイリンで有利とされている1番車で戦えるのは大きいだろう。2020年7月からナショナルチームに参加し、2024年パリ五輪出場を目指している。そのためガールズケイリンに参加する機会は減っている。
今年は1月の四日市で完全優勝と好スタートを切ったが、2月取手は決勝で落車してしまった。幸い大けがはなく、ナショナルチームの練習に参加しているので、体調面での不安はなさそうだ。位置取り重視の自在戦で昨年8月のアルテミス賞以来のコレクション優勝を目指す。
高木真備はリベンジに燃えているはずだ。前述した別府ミッドナイト決勝で児玉に完敗しているだけに、作戦は練りに練ってくるはず。高木の強みは”根性”。児玉のキレ、梅川のパワーに対して、高木は根性で挑み、狭いコース、併走も苦にしないオールラウンダーとしての実力を見せるだろう。
松阪は2017年4月、2019年3月、12月と3開催連続優勝中とバンク実績はメンバーの中でも1番いい。好位確保から自力勝負で打倒児玉を狙っている。
石井貴子は大一番での狙い澄ました一発が得意だ。今年はグランプリの疲れからかスロースタートしており、今年の初優勝は2月の防府だった。今は先を見据えての積極策が多く、意識的に脚力強化を狙ってレースをしているのが伝わってくる。コレクションは目標を絞ってレースに臨むことが多いだけに、ここは動く選手の後ろにこだわって差し脚勝負か。
佐藤水菜も昨年7月からナショナルチーム入り。持ち味のスピード地脚にくわえてダッシュ力も強化され、バランスのいい選手に成長している。22歳でまだまだ伸び盛り、一戦一戦武器を増やしていくだろう。逃げても勝負できる持久力はあるが、コレクション初優勝を狙うなら、まくり一撃。ストロングポイントを活かせるかどうかが鍵になるだろう。
鈴木美教は状態が気掛かりだ。1月の伊東初日に落車。途中欠場することなく気力を振り絞り地元優勝をつかみ取った。しかし、その代償は大きかったのかもしれない。肩を痛め、レースでは鈴木の持ち味である”粘り強さ”が影を潜めている。
しかし、直前の静岡では高木真備を苦しめる外併走まくりで決勝2着。少しずつ気配は上向いているように思う。昨年末のグランプリでは「児玉(碧衣)さんの後ろへいきたい」と回りたい位置をアピールした。今回のコレクションでも、その動向が気になるところだ。
コレクション初参戦となるのは、昨年大飛躍を見せた坂口楓華だ。自在から自力に戦法をチェンジし、タテ攻撃に磨きがかかった。結果として、航続距離が長くなり、逃げてまくって1着を量産。優勝も10回。念願だったコレクションの出場権利を自分の力でつかみ取った。今年に入ってからも勢いそのままに優勝は4回。依然として好成績を残している。
初出場のコレクションでは「内容重視になるか、結果追求になるか」がみどころだ。こればかりは坂口本人にしか分からないが、弱気にならず、思い切りよく仕掛けるレースで魅せて欲しい。
松本直
千葉県出身。2008年日刊プロスポーツ新聞社に入社。競輪専門紙「赤競」の記者となり、主に京王閣開催を担当。2014年からデイリースポーツへ。現在は関東、南関東を主戦場に現場を徹底取材し、選手の魅力とともに競輪の面白さを発信し続けている。