2025/08/01 (金) 12:00 8
限定ドリンクに、光るマスコット。函館競輪がこの夏、地元企業との連携と現場の創意で生み出したのは、予想外の熱量と仕掛けの数々だ。勝負の味に仕上げたご当地ガラナと、仮面やアフロをまとったマスコット「りんりん」。非日常と親しみを同時に感じさせる、函館競輪ならではのコラボの裏側を取材した。
北海道では定番の炭酸飲料「コアップガラナ」が、競輪と手を組んで進化した。その名も「函館オールスターコアップガラナ」。今年のGIオールスター競輪開催にあわせて、地元清涼飲料メーカーとのコラボ第2弾として限定リリースされた。
最大の特徴は、通常の2倍配合されたガラナエキス。“勝負の世界”を象徴するような濃厚な味わいに仕上がっており、初めて飲んだ人にも強く印象を残す。実際に口にしてみると、炭酸の刺激と深みのある甘みが一気に駆け抜ける。まるでGLAY・HISASHIさんのギターリフのように、ビリッと突き刺さるような鮮烈な味だった。
デザイン面でも妥協はない。広報チームと代理店の間で「ポスターと同じにしたい」「ボトルは別の打ち出し方をすべきだ」と議論が交わされ、最終的には色味を合わせて統一感を演出した。
「飲み終わった後も、ボトルを飾ってもらえるように。写真に写った時にもちゃんと“函館らしさ”が伝わるように意識しました」
販売は市内のスーパーや競輪場のPRブースで行われ、限定1万本を展開。早めに手に入れたい方は、市内のスーパーでぜひお買い求めください。
一方、競輪場内で話題をさらっているのが、マスコットキャラクター「りんりん」の姿。巨大アフロにLEDライト、きらびやかな仮面まで、その変身ぶりはまさに自由奔放だ。
これらの小道具を仕掛けたのは、運営を担うトータリゼータエンジニアリングの久保田誠アシスタントマネージャー。「りんりんをもっと目立たせたい」との思いから、余っていたLEDライトを巻いてみたのが始まりだったという。
以降は“サイズ命”のこだわりを持って、市内の量販店や通販サイトで素材探しを重ねる日々。普通サイズでは物足りないため、とにかく「でかくて映える」ものを基準に選んでいる。
仮面のアイデアは、2年前のサマーナイトフェスティバルのポスターから着想を得たという。夜の幻想的な雰囲気にぴったりの「仮面舞踏会」的演出は、観客との記念撮影やファンサービスでも好評だ。
「たとえ“スベって”もいい、まずやってみる精神が、現場にはあるんです」と久保田さんは笑う。りんりんはこれまで、自転車に乗ったり、スケートリンクで滑ったり、プロレスのリングに立ったりしてきた。今後は「空を飛ぶ」ことが夢だという。
「来てよかった」「面白かった」と感じてもらえたら、それが一番。そんな空気が、函館競輪には流れている。
「制約があまりないんです。仮面をつけても、アフロをつけても、誰も止めない。むしろ『もっとやれ』って感じ(笑)。だから、やってて楽しいんですよね」と久保田さん。
今回のガラナや小道具に限らず、スタッフは日々「どうしたらもっと楽しんでもらえるか」を考えている。「堅い」「渋い」と思われがちな競輪のイメージを、少しでもやわらかく。そんな狙いもある。
ガラナに込めた地元企業の想いと、仮面やアフロで彩られた現場の熱量。その両輪が回って、函館競輪の夏はかつてない盛り上がりを見せている。ただ勝負を眺めるだけでは終わらない。“笑い”も“驚き”も“おいしさ”もある非日常が、ここにはある。この夏、函館競輪場に行ってみれば、きっと理由がわかるはずだ。“仕掛けすぎな夏”を体験したいなら、ぜひ函館競輪場へ。
日本最北の競輪場であり、ナイター競輪発祥の地・函館競輪場では、8月12日から17日にかけて「オールスター競輪(G1)」が開催される。キャッチコピーは「真夏の頂点を決めようぜ」。メインアンバサダーには、地元・北海道出身の松岡昌宏さん。熱気に包まれる夏の夜、光と歓声のなかで、新たな“夜の物語”が生まれる。
netkeirin取材スタッフ
Interview staff
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