2022/12/11 (日) 15:00 28
競輪界では知らない者がいないヤマコウこと山口幸二さんの予想コラム。元トップレーサーならではの鋭い読みは必見です。
松戸競輪開設72周年記念燦燦ダイヤモンド滝澤正光杯決勝メンバーが出揃いました。
メンバー、ライン構成は以下の通りです。
⑦松井宏佑(神奈川・113期)ー⑨岩本俊介(千葉・94期)ー①和田健太郎(千葉・87期)
②高橋晋也(福島・113期)
④中西大(和歌山・107期)ー③三谷将太(奈良・92期)
⑥山口翼(茨城・98期)ー⑤磯田旭(栃木・96期)
⑧上田尭弥(熊本・113期)
昨日の準決勝12Rは、人気の北井佑季(神奈川・119期)が8着に沈んで3連単120,900円という大きな配当になりました。山崎芳仁(福島・88期)や山口翼は、北井に前を取られたら突っ張られて終わりと思っていたのでしょう。スタートは北井に取らせず、山口ラインが取り中団に山崎ライン、後攻めが北井ラインでした。北井の動きに合わせて山崎が前を叩いて3番手に飛び付きます。ここで、北井が流したところを山口が叩いてレースが混戦になりました。山口に対しては完全にノーマークだったから流しても仕方なかったと思います。北井はS級の厳しさを体感しただろうし、山口は次の開催で他選手のマークが厳しくなる。ここを越えられるのかどうなのかが課題になります。常に選手には課題があり、それを見つけられない選手は壁があることも気づかないでしょう。勝っても負けても課題は常にあり続けます。
決勝は各ラインどのように考えているでしょう。まず地元千葉勢が後ろに付く⑦松井は、ナショナルチームを離れ結果が欲しい(優勝)けど、後ろが地元勢なのでなるべく積極策で行きたいはず。対して④中西は、いつも通りの運行で緩んだところで仕掛けようという気楽な立場。⑥山口も初めての決勝ながらも、後ろには自力がない⑤磯田なので、準決勝同様1周なら駆けてもいいかなと思っているでしょうが、決勝になるとハイペースになるので出番は厳しいかなと思います。
単騎の②高橋や⑧上田はどうでしょう。高橋は、今年6月の松戸記念で脇本雄太(福井)相手に先行して見せ場を作りました。ラインの先頭で常に頑張っているのでそろそろ自分もという意識は強いでしょう。⑧上田は復調の兆しが見えてきたものの、ハングリーさは②高橋の方が上だと思います。④中西も⑥山口も1番強い南関勢を後ろに置かないと勝負になりません。レースは⑦松井が前を取らされる形で始まると想定しました。
S.⑦⑨① ② ④③ ⑥⑤ ⑧
まず、後ろの関東勢が動きます。場数が足りない⑥山口は、押さえ方が甘いと⑦松井に突っ張られる可能性もあります。そうなると地元⑨岩本が有利に運べます。しかし、⑥山口を突っ張っても中団の④中西は緩んだところで仕掛けると思います。そうすると、南関勢と近畿勢の踏み合い。後攻めの⑥山口が前受けの⑦松井をしっかり押さえても、今度は④中西が先行態勢に入るのでカマす⑦松井と踏み合うことになります。いずれにしても、南関勢が簡単に主導権を取ることは考えづらいですね。
←④③
H.⑦⑨① ② ⑥⑤ ⑧
又は、 ←⑦⑨①
H.④③ ⑥⑤ ② ⑧
展開は②高橋が有利になると考えます。
・狙い目
②ー⑨①⑧ー⑨①⑧③
②高橋も、ナショナルチームを辞めたり不調の時期が長かったりして、辛い思いもたくさんしてきたでしょう。近況の走りを見ているとそろそろ結果が出る時期だと思います。
山口幸二
Yamaguchi Kouji
岐阜県大垣市出身。日本競輪学校62期卒業の元競輪選手。1988年9月に大垣競輪場でデビュー、初勝利。1998年のオールスター競輪で完全優勝、同年のKEIRINグランプリ'98覇者となる。2008年には選手会岐阜支部の支部長に就任し、公務をこなしながらレースに励む。2011年、KEIRINグランプリ2011に出場。大会最年長の43歳で、13年ぶり2度目のグランプリ制覇を果たし、賞金王も獲得した。2012年12月に選手を引退、現在は競輪解説者としてレース解説、コラム執筆など幅広く活動する。父・山口啓は元競輪選手であり、弟の山口富生(68期)、息子の山口聖矢(115期)・山口拳矢(117期)は現役で活躍中。