2022/10/23 (日) 12:00 31
競輪界では知らない者がいないヤマコウこと山口幸二さんの予想コラム。元トップレーサーならではの鋭い読みは必見です。
寬仁親王牌決勝メンバーが出揃いました。今節は関東勢の層が厚く、有利な戦いが予想されましたが、決勝に乗ったのは吉田拓矢と平原康多の2人。層の厚さに助けられた感じでした。
準決勝の吉田拓矢のレース(眞杉匠を番手捲り)を巡って、中野浩一さんと見解が分かれました。「最終ホームで松浦に競り勝ったので、外の郡司を止められるスピードだった。番手から出る必要はない」と言う私に対して「郡司に捲られていたかもしれないし、内から松浦が息を吹き返すかもしれないので番手から出て正解」と言う中野さんの見解です。
プロの目から見ても分かれる判断ですから、走る選手も難しいと思います。ただ、私は追い込み選手、中野さんは自在選手の価値観をベースに考えているので、自在選手が増えた今の競輪は番手捲りが正解なのかもしれません。10、11、12Rと本格先行が不在で非常に読みづらい一戦を、ファンがどう受け止めているか気になるところです。
ライン構成は以下の通りです。
①古性優作(大阪・100期)ー⑧稲川翔(大阪・90期)
⑤松浦悠士(広島・98期)ー⑥井上昌己(長崎・86期)
⑦吉田拓矢(茨城・107期)ー②平原康多(埼玉・87期)
⑨新田祐大(福島・90期)ー④小松崎大地(福島・99期)ー③守澤太志(秋田・96期)
似たようなタイプが揃って難解な一戦となりました。まず、誰が前を取るかを考えます。
早駆けの選手がいないので、前受けしてもかますチャンスはあると思います。チャンスはあるが7、8番手になる可能性もある。1番車の古性は積極的に前を取る理由がありません。前を狙う選手がいたら前中団はあるので「どーぞどーぞ」でしょう。⑤松浦が前を取ると、1番後方になるのは⑨新田ラインです。
新田の後攻めはイメージが湧きません。この大会を優勝するとグランドスラムを達成する⑨新田は、ムダ脚を使いたくないと思うので「後攻めなら前で」と考えると思います。スタートは⑨新田でそこからは車番通りです。
S.⑨④③ ①⑧ ⑦② ⑤⑥
まず⑤松浦がレースを動かします。
打鐘.⑦② ⑤⑥ ⑨④③ ①⑧
吉田拓矢が優勝を狙えるレースは、眞杉が決勝に勝ち上がることでした。それが叶わなかったので決勝は自分で駆けることになりました。準決勝で眞杉を残せなかったことは、GIを獲るための戦略を感じないのです。⑦吉田が先行すれば3番手は⑤松浦です。
←⑤⑥ ⑨④③ ①⑧
B.⑦②
・狙い目
5ー6ー238
5=2ー368
⑦吉田が先行態勢に入った時に8番手になる①古性がかました時が穴目です。今節の①古性、⑧稲川は、村上義弘が引退したことで、これまでよりレースに懸ける意気込みは強いと思います。①古性にとっても⑧稲川が優勝すれば、グランプリを脇本雄太と3人で走ることが出来て有利に走れます。
←⑦② ⑤⑥ ⑨④③
B.①⑧
ただ、①古性の思惑通りには運べるかどうかは別問題。3番手に⑦吉田が入っているからです。ヨシタクにとっては絶好の展開ですね。
・穴目
7=2ー853
①古性が前中団、後中団かでレースがガラッと変わります。レースはナマモノなので、みなさんもいろんなパターンを考えてみて下さい。
山口幸二
Yamaguchi Kouji
岐阜県大垣市出身。日本競輪学校62期卒業の元競輪選手。1988年9月に大垣競輪場でデビュー、初勝利。1998年のオールスター競輪で完全優勝、同年のKEIRINグランプリ'98覇者となる。2008年には選手会岐阜支部の支部長に就任し、公務をこなしながらレースに励む。2011年、KEIRINグランプリ2011に出場。大会最年長の43歳で、13年ぶり2度目のグランプリ制覇を果たし、賞金王も獲得した。2012年12月に選手を引退、現在は競輪解説者としてレース解説、コラム執筆など幅広く活動する。父・山口啓は元競輪選手であり、弟の山口富生(68期)、息子の山口聖矢(115期)・山口拳矢(117期)は現役で活躍中。