2022/10/04 (火) 12:00 26
競輪界では知らない者がいないヤマコウこと山口幸二さんの予想コラム。元トップレーサーならではの鋭い読みは必見です。
熊本競輪開設72周年記念火の国杯争奪戦決勝メンバーが出揃いました。昨年は嘉永泰斗(熊本・113期)が優勝して盛り上がりましたが、今年は地元から松岡辰泰だけが決勝進出。何とか見せ場を作って欲しいですね。
車番、ライン構成は以下の通り。
①松岡辰泰(熊本・117期)
⑨深谷知広(静岡・96期)ー②郡司浩平(神奈川・99期)
③小松崎大地(福島・99期)ー⑤守澤太志(秋田・96期)ー⑧佐々木雄一(福島・83期)ー⑥高橋陽介(青森・89期)
⑦松浦悠士(広島・98期)ー④村上博幸(京都・86期)
どの選手も前受けからレースを組み立てる印象が強いです。
⑨深谷が前を取ると、中団は③小松崎が取るので⑦松浦が後ろ攻めになります。
S.⑨② ① ③⑤⑧⑥ ⑦④
⑦松浦が後ろから進めると、一度動いて⑨深谷を叩きます。そこに③小松崎ラインが続きます。⑨深谷は中団で粘らないので③小松崎が続き打鐘を迎えます。
⑨②
打鐘.⑦④ ③⑤⑧⑥ ①
⑦松浦が駆けないと③小松崎がすぐ巻き返したり、⑨深谷のカマシを誘発する恐れがあります。いずれにしても⑨深谷を中心にレースは動くでしょう。
←⑨②
H.⑦④ ③⑤⑧⑥ ①
←③⑤⑧⑥ ①
B.⑨② ⑦④
この流れだと②郡司が圧倒的有利です。初日も深谷の2角捲りを差しました。上がりタイム10秒8です。深谷は長い距離をもがくのが長所ですが踏み直しも強烈です。
深谷の番手を回った時に私が気を付けたのが、ダッシュもそうですが踏み直しです。ダッシュに付け切った後、今度は巻き返して来る選手を確認するために2角で一度後ろを見ます。そして前を見ると深谷と1車身空いている(離れている)。強い自力選手ほど踏み直しは強烈です。その深谷の捲りを郡司はよく捕らえたと思います。これは「どこから深谷が仕掛けても差せる」と言う精神的余裕を与えました。逆に深谷は「何をしても差される」と開き直ってレースに挑むのではないでしょうか。
⑦松浦は、先日行われた名古屋共同通信社杯決勝で郡司を捲れませんでした。今回直接対戦するのは⑨深谷ですが相当意識して戦うと思います。それでも⑨深谷ラインを捲るのは難しいでしょう。
・狙い目
2ー9ー7451
次は、⑨松浦が後ろ攻めを嫌って前受けした時を考えます。
S.⑦④ ⑨② ① ③⑤⑧⑥
この並びだと、まず③小松崎が動き、中団で⑨深谷を抑えます。しかし⑨深谷はサッと引いて巻き返すタイミングを計ります。
←③⑤⑧⑥
打鐘. ⑦④ ① ⑨②
北日本ラインが前に出る時、⑦松浦が粘るのは⑤守澤ではなく⑧佐々木のところだと思います。
⑧⑥ ⑨②
H.③⑤ ⑦④ ①
←⑨②
←⑦④ ⑧⑥
B.③⑤ ①
・狙い目
5=7ー9241
③小松崎、⑦松浦、⑨深谷が先行した2次予選の上がりタイムは約0.5秒⑨深谷が速い。目安として0.1秒が約1車身なので半周で5車身違います。圧倒的に南関ラインが有利と考えました。
山口幸二
Yamaguchi Kouji
岐阜県大垣市出身。日本競輪学校62期卒業の元競輪選手。1988年9月に大垣競輪場でデビュー、初勝利。1998年のオールスター競輪で完全優勝、同年のKEIRINグランプリ'98覇者となる。2008年には選手会岐阜支部の支部長に就任し、公務をこなしながらレースに励む。2011年、KEIRINグランプリ2011に出場。大会最年長の43歳で、13年ぶり2度目のグランプリ制覇を果たし、賞金王も獲得した。2012年12月に選手を引退、現在は競輪解説者としてレース解説、コラム執筆など幅広く活動する。父・山口啓は元競輪選手であり、弟の山口富生(68期)、息子の山口聖矢(115期)・山口拳矢(117期)は現役で活躍中。