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鈴木誠のハイブリッド展望

【日本選手権競輪予想】本命は近畿ラインながらも、好調の眞杉が波乱を引き起こす? 地元の佐藤は関東ラインの後ろから優勝を目指していく!/鈴木誠の展望

2022/05/08 (日) 12:00 3

現役時代はトップ選手として長く活躍し、現在は評論家として活動する鈴木誠氏の競輪予想コラム。今回はいわき平競輪場で開催されている日本選手権競輪の決勝レース展望です。

連日ともに風が回っているいわき平のバンク! 決勝で追い風を受ける選手は?

【日本選手権競輪】が開催されている、いわき平競輪場は、400バンクの中でもみなし直線の距離が長く(62.7メートル)、先行選手が苦戦する傾向にあります。

 バンクに吹く風の吹き方も独特で、追い風や向かい風とも違う、『風が回っている』という表現を選手たちは使っていました。

 スピードチャンネルの解説もあり、現地で選手に直接話を聞く機会もあったのですが、「バンク内を風が回っていて、どこを走っていてもきつかったです」と話していた選手もいたほどです。

 その一方で風の影響が無かった3日目は、先行選手向きの軽いバンクコンディションとなりました。この日の5レースを捲って勝利した坂井選手は、バンクレコードタイとなる10秒5を記録しています。

 準決勝が行われた5日目ですが、バンク内をまた風が回っていたのか、差しでの決着が多く見られていました。最終日の予想をされる際にも、風が吹いているようなら差し、無風に近ければ、捲りや逃げ切りを想定して、車券を購入されることをおすすめします。

 ただ、決勝に進んできた先行選手たちは、総じて風の影響などものともしないほどの脚力を持ち合わせていました。

 その中でも能力の違いを見せているのが脇本選手です。決勝の並びはその脇本選手の後ろに、準決勝と同様に古性選手-東口選手で近畿ラインが並びました。

 また、眞杉選手-平原選手の関東ラインの後の3番手には、唯一の地元選手となった佐藤選手がつけました。2車となったのが清水選手-荒井選手の中国・九州ラインで、守澤選手は単騎を選択しています。

 このメンバー構成となれば、先行するのは3日間共にバックを取っている眞杉選手で間違いなさそうです。今大会の眞杉選手は速さだけでなく、調子の良さもあってか、強さも兼ね備えたような走りを見せています。

 前受けをするというより、前を取らされるのは脇本選手となるでしょう。中団は関東ラインと佐藤選手で、その後ろにいる清水選手が前を抑えにかかった時に、脇本選手は一度車を下げて、捲りを狙ってくるはずです。

 そこで一気に発進していきそうな眞杉選手ですが、場合によってはジャン前からの先行もあり得るかと思います。しかも今大会の調子の良さならば、脇本選手が相手でも、かなりいい位置まで粘り切れるのではないのでしょうか。

 そのスピードにさずかれるのが、眞杉選手の番手にいる平原選手となります。今大会はそつのないレース内容で決勝に臨んでいますし、番手捲りだけでなく、場合によっては、捲ってきた脇本選手の番手に飛びつくレースも考えているはずです。

 佐藤選手も平原選手の走りに全面的な信頼を置いているからこそ、関東ラインの後ろに付けたのでしょう。もし、平原選手の番手捲りが決まるようだと、直線の長さを生かして、ゴール前で差し切る可能性も充分にあります。

 中国・九州ラインの2人は、後ろから脇本選手が来る前に、眞杉選手を捲りたいと思っているのでしょうが、今大会のようにかかっている眞杉選手を捲りきるのは、清水選手と言えども至難の業です。

 もし、勝つ可能性があるとするなら、捲ってくる脇本選手を平原選手が止めに行ってラインが短くなり、しかも、内が空くといった展開の助けが必要となります。守澤選手は位置を決めずに切れ目から上位を狙うレースとなりそうです。

 本命は準決勝でも盤石の走りを見せた脇本選手-古性選手ですが、先行した眞杉選手がどこまで粘り切れるかで、別のラインが台頭してくる可能性もあります。

 今大会から優勝賞金が上がっており、優勝は勿論のこと、3着まで入れば賞金でのグランプリ出場も近付いてきます。少しでも上位を目指していくという選手たちの気持ちが、波乱を引き起こすのかもしれません。

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鈴木誠のハイブリッド展望

鈴木誠

千葉県市原市出身。日本競輪学校第55期卒。千葉経大付属高校の頃から競輪に没頭し、吉井秀仁氏に師事。現役時代はすべての戦法を完璧にこなし、「本物の自在型選手」と評されるほど多彩なストロングポイントを武器に、引退するまで長きにわたってトップ選手として君臨した。現役時代は通算3058戦665勝、優勝109回(うちGIは競輪祭新人王を含め4回、GP1回)、年間賞金王1回、通算獲得賞金は17億を超える。18年7月に、ケガのため惜しまれつつ引退。引退後は選手経験を生かし、解説者として活躍。スピードチャンネルなどの番組にも出演している。

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