2022/04/27 (水) 12:00 8
4月21日に最終日を行った函館競輪ナイターの決勝12Rで吉田有希(20歳・茨城=119期)は河端朋之(37歳・岡山=95期)に突っ張られて7着で大敗した。河端は重度の腰痛に苦しみ、やっと復調途上といったところだが、そのダッシュ力はやはり世界で戦ってきたもの。
上には上がある。有希は今、多くのことを感じているだろう。
青森競輪「施設整備等協賛競輪 縄文小牧野杯(GIII)」が4月28日〜5月1日の日程で開催される。3月のウィナーズカップでビッグレース初出場、そこでも壁に当たった。
競輪は勝って覚えることは少なく、負けて覚えることの方が多いという。“何が足りないか”、“どうすればよかったか”。失敗を繰り返さず、足りないものを補っていくことが強さ、それが結果に直結する。まだこれからの選手だけに、今多くの失敗が必要だ。
今シリーズには河端も出場する。長くナショナルチームで酷使した肉体は悲鳴とともに壊れた。日常生活すら困難になったという。昨年10月から4ヶ月ほどの欠場となり、2月に復帰してすぐは、見る影もなかった。
だが、体が戻ってきたのだろう。明らかに良くなってきた。目指す五輪出場には何度もかなわず、最後までその切符をつかめなかった男。彼の笑顔の裏に隠れる“灰色のページ”がある。
後悔はないだろうが、それを埋める何かは欲しい。世界選手権ケイリン銀メダルの実績も、すべてを埋めはしない。競輪での結果こそが、河端にもう一度、あの笑顔をもたらす。イースター島のモアイ像の破顔一笑。チリに行かなくても、日本で見ることができる。その時が訪れるのはもう少し先だと思うが、待ちたい。
競輪場にはそれぞれのマスコットキャラクターが定着している。
青森競輪場では葵萌輪ちゃんが活躍している。思ったよりガタイがよくて、そうした好みの方にはたまらない感じだ。私もファンの一人だ。
世の中にはちょっとしたポスターやキャラクターでさえ、『性差別』などと糾弾される流れがある。女子高生のようなキャラクターが取り上げられれば、『性の搾取』と叩かれる…。といってもまぁ…一部の人々からだろう。
冷静になり、キャラクターの良さ、を感じ取れる時代になってほしい。目に見える壁と目に見えない壁が世の中にはあるが、その壁はすべて人間が勝手に生み出すもの。
〜〜愛の中には常にいくらかの狂気がある。しかし狂気の中には常にまた、いくらかの理性がある〜〜
フリードリヒ・ニーチェ
人間は、そうした理不尽な日常や現実をコントロールしてこそ、人間としての実力がある。乱雑な言説に惑わされず、目の前にあるものを丁寧にとらえる必要がある。
どんな壁も、乗り越えるのが、人間だ。
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前田睦生
Maeda Mutuo
鹿児島県生まれ。2006年東京スポーツ新聞社入社、競輪担当として幅広く取材。現場取材から得たニュース(テキスト/Youtube動画)を発信する傍ら、予想系番組やイベントに出演。頭髪は短くしているだけで、毛根は生きている。