2022/04/10 (日) 12:00 2
現役時代はトップ選手として長く活躍し、現在は評論家として活動する鈴木誠氏の競輪予想コラム。今回は平塚競輪場で開催されている湘南ダービーの決勝レース展望です。
スピードチャンネルの解説で平塚競輪場に来ています。連日共に好天に恵まれただけでなく、気温も20度超えする日が続いており、温度調整がされているスタジオから外に出ると、暑いと思えたほどでした。
準決勝までの3日間を通して、多くのファンの皆さんが足を運んでくれており、その声援に応えるかのように、地元神奈川に所属する選手や、SS班といった実力者が決勝に進んできました。準決勝の12レースで神奈川ラインが上位独占を果たした時には、場内から大歓声も起こっていたほどです。
その決勝の並びですが、神奈川ラインは準決勝と同様に、郡司選手-和田選手-大塚選手で並びました。他は2車で古性選手-神田選手の大阪ライン。山田選手-井上選手の九州ライン。そして準決勝と同様に、平原選手-佐藤選手で並ぶSSラインとなっています。
ラインの先頭を任せられた自力型の中には、徹底先行しそうな選手は見受けられません。そうなると3車かつ、地元の郡司選手が先行する流れとなりそうです。
前受けをするのは車番的にも古性選手でしょう。大阪ラインの後ろは神奈川ラインの3人で、以下SSライン、九州ラインで道中は流れていくと思います。
最後方の九州ラインが、大阪ラインの2人を抑えにかかった時、そこでインを切っていくと思われるのがSSライン。そこで車間が詰まるようなら、郡司選手にとって格好の仕掛けどころとなります。
郡司選手は【湘南ダービー】の大会連覇もかかっていますし、300勝を達成した準決勝での11秒2という上がりタイムからしても、体調の良さは疑いようがありません。
その郡司選手に対抗できそうなのが、番手を回る和田選手です。和田選手にとっては、ここ平塚競輪場がホームバンクとなります。初日の特選では和田選手が前、郡司選手が後ろだったにもかかわらず、準決勝と決勝で並びを入れ替えたあたりは、郡司選手が前で走った方が優勝に近い、あるいはラインから優勝者を出せるという判断なのでしょう。
このコラムを書くまで、神奈川の両者のどちらを本命にするかで迷いました。ただ、郡司選手の積極的な仕掛けに乗っていけそうなだけでなく、地元からの声援も力としてくれそうな和田選手が、最も優勝に近いと見ています。
ただ、準決勝ではその郡司選手よりも、速い上がりタイム(11秒0)で捲り切ったのが平原選手です。平塚バンクは比較的捲りが決まりやすいバンクながらも、特選や準決勝、そして決勝と選手同士の実力が拮抗してくるにつれて、3コーナーからの捲りが止まってしまう傾向が見られます。
ただ、4コーナーからの捲りでは不思議と伸びてくる、まるでヴィクトリーロードのようなコースが開けることがあります。先行した神奈川ラインのすぐ後ろに付けられた平原選手が、そのヴィクトリーロードを回ってくるようだと、番手の佐藤選手のSSラインが、神奈川ラインを捲り切る可能性は充分にあると見ています。
古性選手は立ち回りの上手さを生かして、どこまで伸びてくるかでしょう。そして初日、2日目は脚が重いと話していた山田選手も、準決勝では番手に入った古性選手の追撃を振り切って勝利と、好調を維持しています。この2人も車券の相手として狙ってみたいところです。
鈴木誠
千葉県市原市出身。日本競輪学校第55期卒。千葉経大付属高校の頃から競輪に没頭し、吉井秀仁氏に師事。現役時代はすべての戦法を完璧にこなし、「本物の自在型選手」と評されるほど多彩なストロングポイントを武器に、引退するまで長きにわたってトップ選手として君臨した。現役時代は通算3058戦665勝、優勝109回(うちGIは競輪祭新人王を含め4回、GP1回)、年間賞金王1回、通算獲得賞金は17億を超える。18年7月に、ケガのため惜しまれつつ引退。引退後は選手経験を生かし、解説者として活躍。スピードチャンネルなどの番組にも出演している。