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グランプリを振り返って

2023/01/11 (水) 11:03

グランプリを振り返って

KEIRINグランプリ2022は、脇本雄太が豪快に捲り、マークした古性優作とワンツーを決めた。注目を集めた4人の東北勢は、松浦悠士が番手勝負に出て連携は決まらなかった。前団のもつれを冷静にみていた脇本にとっては、絶好の展開だったのだろう。そうは言っても、後方からの仕掛けだっただけに、その強さが際立った。

それでは、東北勢の戦いはどうだったか? レース後は賛否両論あり、新田祐大がすぐに追い上げなかったことについての意見もあった。しかし、筆者個人の意見を言わせてもらえれば、新田が最後に追い上げたのは当然で、あのタイミングがベストだと思っている。前が踏み出す時、内にいては苦しいので外が有利になる。筆者は、守澤太志にもう少し頑張ってもらいたかったと思っている。結果論だが、3番手に松浦が入って、守澤が4番手、佐藤慎太郎は5番手になった。競輪にタラレバはないが、仮に守澤が3番手を死守していれば、捲ってくる別線に対しても抵抗できたのではないかと思ってしまう。その結果、脇本の捲りに対して何もできなかったように映った。新田も後ろが気になっていたのかもしれないが、ライン4人もいたのだから、その中の誰かが優勝しなければいけなかったはずだ。

そして、3着の郡司浩平と4着の平原康多だ。東北勢に松浦が絡んでいるのだから、前の動きを見るのは理解できるが、優勝するためには、ここ一番の判断力があと一歩なかったか。特に郡司は平塚競輪場で練習をしていたと聞いた。それなら、なおさら仕掛けるタイミングも分かっていたと思う。もちろん、選手個々の意見もあるのだから、郡司と平原はもったいなかったと感じる。

その点、脇本は肝が据わっていた。あの位置に置かれながら、平塚バンクの特性を理解して、あそこから仕掛けたのだろう。あくまでも仮定の話だが、きっと自分が勝てなくても、古性が勝ってくれればいいと思っていたのではないだろうか。それだけ2人の間には固い絆があったと考える。グランプリを制した脇本の獲得賞金は3億円を超えた。昨年はG1全てに出場したわけではないのに、3億超えは凄いのひと言だ。

KEIRINグランプリシリーズ3日間の売り上げは、前年を1.4%上回る131億3,355万7,500円。表彰式には女優の藤原紀香がプレゼンターとして登場するなど花を添えた。平塚競輪の底力を感じた。そして市田佳寿浩にとっては生涯、忘れられない年末になっただろう。ガールズグランプリは柳原真緒、KEIRINグランプリは脇本雄太。共に面倒をみてきた2人に、優勝インタビューできたのだから、これ以上ない喜びであっただろう。
2023年の戦いはすでに始まっている。競輪界に期待することは、今年こそ多くの血の入れ替えがあってほしいということだ。

Text/Norikazu Iwai

Photo/Perfecta navi編集部

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岩井範一

Perfecta Naviの競輪ライター

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