2022/02/28 (月) 18:00 30
ようこそ【ASAI☆LAB】へ
〜これを見たあなたは得をする〜
ある後輩からこう言われた。
「浅井さんの事がずっと嫌いでした」と。
そして、私はこう伝えた。
全て聞こえてくるから「知ってたよ」と。
しかし、これが今の若者達の意見なのだろう…。いや違うな。デビューしてから若者がぶち当たる“壁”なんだと、その時私は感じました。その大きな壁に、私自身もぶち当たってきたからとてもよくわかります。
私は若い選手と話をする時には必ず「先行した方がいいよ」とアドバイスをします。
実はこの「先行した方がいいよ」にはとても深い意味がある。
多分、ですが…
深く考えて「先行した方がいいよ」と伝えてきた選手は今までいない気がする。ただ単に“自力がついて強くなる”程度の感じで言ってきた選手、若しくは“自分(番手)が勝ちたい”で言ってきた選手がほとんどのような気がします。
ここではなぜ先行をすることが強みなのかを一つだけ紹介しておきます。(他にもたくさんの理由がありますが…)
それでは読者の皆様、授業中の教室をイメージしてください。
あなたは椅子に座っていて、机の上にはノートと鉛筆があります。先生が黒板に大切な事を書きました。それをあなたはノートに書きますか? 書きませんか?
ノートに書くことを考えたあなた…。まず、骨盤が前傾します。その後、必ずノートに左手を添えますよね!? そして右手で書く(右利きの場合)。
逆にやる気のない人は浅く椅子に座り、背もたれを使い、ダラっとした体勢になる。意志・意欲がなく、そのままの体勢で右手だけで字を書こうとしてもノート(モノ)はズレて綺麗な字を書くことはできません。意志・意欲があるだけで、モノに対して自然といい位置へ身体が動き、モノに対して自然と力が伝わります。
では、競輪に置き換えてみましょう。
フォームを綺麗にすることが、太く長く活躍できる選手になれるかどうかの大切な部分になってきます。意志・意欲をもち、風を受けて走ることで風(負荷)があってもいい位置で踏み込む・回すという力が自然についてくる。その負荷に耐える場所を自然と身体が見つけ、フォームが作られていく。
だから私は後輩に対して「先行した方がいいよ」とアドバイスをしてきました。
しかしながら、ほとんどの後輩は…
逃げてきた。
レースで逃げずに、先行から逃げてきた。
競輪界において「先行しろ」という言葉は、若い子に“嫌われる言葉”でもある。同時に「先行しろ」という人間も嫌われる。
全ての答えを教えてもらうだけでは絶対に成長しないし、言われた事をやってみることで何かを見つけられる。その何かを見つけられたら、私はこのコラムを書いて良かったと感じます。
他人が強かろうが弱かろうが、私の人生には関係ありませんし、嫌われていても特に何も感じません。嫌われているのを感じた時点で、私の記憶から勝手に削除される脳になっているからです。だからその人を嫌だと感じることもなく、そしてまた、誰かを嫌いだという感覚もありません。
もし迷ってしまった時は聞きにきてください。100%のアドバイスを差し上げます。
“知識”と“経験”
これが私のドーピング。
【ドーピング】に私は反対派です。
“飲んだら乗るな、乗るなら飲むな”と同じで “飲んだらやるな、やるなら飲むな”です。
勝ちたい気持ちはとても良くわかるけれど…ドーピングはダメ。
競輪界では過去にドーピング検査が厳しくなるという話が出ていましたが、なくなりました。
私からすれば「なんで??」
競輪はスポーツであり、お金も絡むギャンブルでもあります。徹底的に厳しくやるのが当たり前なのではないでしょうか!?
PCR検査は6日前に唾液をとり、前検日の朝に抗原検査。このようにレースに向けて2回の検査はやるけれど、ドーピング検査は毎回やらない…。そこは全員対象で、徹底してやってもらいたいと思います。そして排除するものはしっかりと排除する。
先日、他の公営ギャンブルで“疑われる行為”がありました。
競輪界も気を引き締めるタイミングなのかもしれません。全てを徹底することで選手間での信頼や業界への信頼、そして何より競輪ファンへの信頼を得る事にも繋がるはずです。
浅井康太
Asai Kota
1984年、三重県生まれ。日本競輪学校90期卒、ホームバンクは四日市競輪場。2005年7月松坂競輪場にてデビュー。第20回寛仁親王牌(GI)で特別競輪初優勝を決めた。その後もKEIRINグランプリを2度制するなど競輪界の中心選手として活躍、中部を牽引する存在としていまなお進化を続けている。キーワードは「KEEP LEFT」