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毒熱!闘う競輪記者マッチーが行く!

四日市の犬伏湧也の優勝について

2022/02/27 (日) 14:54 24

 1年半の工期期間が終わり、玉野競輪場が新たな姿に生まれ変わった。いつからか玉野競輪場が自分のホームグランドになり、一番力を入れ、一番居心地の良い競輪場になっていた。54歳のロートル記者にとって、いつ病気になるか分からない。人よりエッジの効いた仕事をやっているから、いつ消えてもおかしくない。この競輪場を見るまでは、何があっても競輪界にしがみつこうと思っていた。風光明媚な瀬戸内の海に癒やされるより、仕事の失敗で、海を見ながら泣き、黄昏れていた時間の方が多い。岡山からローカル線の宇野線に乗り、高菜巻きのおにぎりを頬張り、小説を読む、いつもの時間が戻ってきた。まだ重機が何台もあり、所々で工事中だが、新しいホテルを見た時は、異空間に来た様で不思議な気分だった。そこには昭和のレトロな玉野競輪でなく、未来型の競輪場に変貌していた。

 さて、ホテルで原稿を書いているが、26日の四日市F1の決勝の結果が気になっていた。並びは石原颯・犬伏湧也・湊聖二・山下一輝で中四国は4車結束で2段駆け態勢。熊本勢は松岡辰泰に瓜生崇智。そして地元の伊藤裕貴は単騎。人気は断然、話題の犬伏湧也。自力でやっても圧勝しそうなのに、石原を使えて、更に有利。実際のレースは石原の先行に松岡が飛び付き、犬伏は苦しい態勢。完全に飛ばされたが、脚でカバーして、自ら捲って優勝した。

 犬伏選手がSNSでレース後「四日市開催ありがとうございました! 優勝は出来ましたが、番手戦はまだまだ技術不足なので、もっと頑張ります。次のルーキーチャンピオンレースも応援よろしくお願いします」と呟き、自分の4月の出場予定を書き込んだ。そこで僕も犬伏選手とはツイッターで繋がっているが、リツイートの形でなく、自分の意見をこう書き込んだ。原文のままだが「四日市F1の犬伏湧也選手の優勝について。前に踏まない競輪が美徳の時代に、技術不足の思いからかタテに踏んだ事は称賛されるべき。これが本来の姿だが、格好つけて横に振り、外を行かれるか、内を掬われる競輪を何度見てきた事か。実戦は選手の練習や技量を磨く場所ではない。恥じるべき優勝ではない!」。間違いなく“前に踏まない競輪”が美徳化されているし、これは、このコラムで何度も警鐘を鳴らしている。もちろん、僕の意見に対して、反対意見もあるが、ツイッターは議論する場所でないと決めている。だから、自分の考えを少し掘り下げる。

犬伏湧也

 常に2段駆けを推奨している訳ではない。だけど、前が頑張ってくれたから1着を取るより、2人で捲られても良いから4、5着の競輪が主流になっている。選手は1着を取るのが前提だが、実際は権利を考えた走りが多い。勝ちに徹して、いつもいつも早めに踏んでいたら誰も行ってくれない。ただ、決勝とか、G1の勝ち上がりとか、要所・要所のレースなら問題ないと思っている。来てから併せて踏んでも遅いし、素通りされる競輪に抵抗があるだけだ。もしくは若手自在型に多いが、止められないスピードで捲って来ているのに、イエローラインぐらいまで持って行き、内をごっそり行かれるケースだ。勝てる時は鈍臭くて良い。形を作り魅せてから勝つ走りは、平原康多選手ら、ごく一部だし、そう言う選手に任せておけば良い。そこで踏めば勝てるのに、何か放棄しているレースが多い。ゆとり教育世代、資本主義の形骸化などが理由のひとつだろうが「見栄えを気にする競輪」に、いつからかなってしまった。時代によりレースは変遷するが、少しでも多くの選手の賛同がある事を願いたい。

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毒熱!闘う競輪記者マッチーが行く!

町田洋一

Machida Yoichi

基本は闘うフリーの記者。イー新聞総合プロデューサー、アオケイ・企画開発パブリストの肩書きも持つ。自称グルメでお酒をこよなく愛す。毒のある呟きをモットーにして、深夜の戯言も好評を得ている。50代独身で80代の母親と二人暮らし。実態はギャンブルにやられ、心がすさみ、やさぐれている哀しき中年男である。

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