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前田睦生の感情移入

【北京五輪】2021年の売り上げは9千億円超え! 五輪代表・原大智が起こした奇跡の意味は

2022/02/14 (月) 18:00 10

「競輪、最高! 」。(右から)原大智、佐藤拓哉、桜井祐太郎

2020年よりも2千億円以上アップ

 競輪の2021年の1年間の総売り上げは9199億7532万300円だった。前年の2020年が6808億2396万1500円だったので大幅な増加。前年比135.1%という伸び率になる。コロナ禍における巣ごもり需要でネット投票が伸び続けている。またミッドナイト、モーニングの開催が増え、ネット投票の伸びと相まって総体として大きく前進した。

 昨年3月に発表された競輪中期計画では“2025年度”と、年度の設定だが、その時に1兆円到達をという目標設定があった。現在も開催中止がなくならないなど、コロナ禍の弊害が残るにしても、すでに1兆円が見えるところにきている。

 明るい話で喜ばしく「競輪、さらによくならんかな…」と思っていたら、北京五輪でとんでもない雄姿を披露してくれた競輪選手がいた。雪上を疾駆するのは間違いなく競輪選手だった。

 原大智(24歳・宮城=117期)が「競輪選手・原大智」としてモーグルの代表選手となり、北京五輪に挑戦していた。

原大智の生き様は感動を呼ぶ

 いくら前回の平昌大会で銅メダルをつかんだ実力者といっても、長期間競輪選手養成所に入って、選手の資格を得て、デビューして競輪を走って、その上で、の話だ…。

 養成所時代から時折、取材させてもらったが、とにかく芯が強くブレず、前向き。でも、本当にその二刀流はかなうのかと、信じ切れない思いもあった。その瞳を直視できていたかどうか、私には自信がない。

 競輪選手として走りながら、他の競技で五輪の代表になることなど、はっきり言って考えられなかった。

 しかし、準決勝にまで進出した。勝ち上がり段階の走りは「メダル獲得も!! 」と感じさせるもので、モーグルの採点はわからないが決勝に乗っていておかしくなかったのでは…と思った。

 こんな奇跡はなかった。

 すさまじい障壁をはねのけ、不可能を可能にした原のような選手も競輪界にいて、「いや、競輪はすでにすごいんだよ」と壁に向かって放った尿は自分の方に跳ね返ってきた(鹿児島の山奥の実家の私有地内の話です)。

S級のミッド戦も復活する

あらゆる階層にわたって競輪は既に国民のものである。

 ミッドナイト競輪は実質的に2場までの開催がメインとなっているが、2022年度のミッドナイト競輪で3場同時開催が4回にわたって計画されている。

 以前、中止順延の影響で3場同時開催の日はあったのだが、それぞれの売り上げが崩れるということはなかった。ファンが3場は忙し過ぎないかどうか、を試す意味合いにおいても注目が集まってくる。この3節競合の際は7レース制度になるので、レース時間の割り振りも気になるところだ。

 ミッドナイトの創生期にS級のシリーズも開催されたこともある。が、近年は様々なバランスを考慮して行われていなかった。当面は2節、S級5個レース、A級1・2班戦4個レースのシリーズが予定されている。売り上げの面でS級の戦いがどう影響するのかにも注目だ。

 2011年1月にミッドナイト競輪が生まれてから、いろんなことが試されてきて、その試行錯誤はまだまだ続く。現在の前向きな動きをずっと維持しつつ、より世間に「競輪をPR」することが、様々な角度から求められる。

 PRできる力、個性、話題はどれだけでもある。コロナとの戦いはまだ続くだろうが、競輪は戦うほかない。

 まだまだ、これからだ。


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前田睦生

Maeda Mutuo

鹿児島県生まれ。2006年東京スポーツ新聞社入社、競輪担当として幅広く取材。現場取材から得たニュース(テキスト/Youtube動画)を発信する傍ら、予想系番組やイベントに出演。頭髪は短くしているだけで、毛根は生きている。

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