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前田睦生の感情移入

【2022年】競輪界の行方は…変わらないものとは何か。

2022/01/11 (火) 12:00 20

今年、光を浴びるのは誰か(写真は2016年GP村上義弘V)

競輪界の年間の注目事は

 2022年があっという間に過ぎ去っていく。1月7日に最終日を行った立川記念は新S班の吉田拓矢(26歳・茨城=107期)が優勝。まだ10日ほどしか経たないが、グレード戦線はどうなっていくのか…と気が焦る。平原康多(39歳・埼玉=87期)は2日目の落車で途中欠場。ケガはひどくはなかったようだが、また今年も山あり谷あり…か。

 決勝の2着は浅井康太(37歳・三重=90期)で3着は新田祐大(35歳・福島=90期)だった。ともに実力は疑いようのないS班クラス。返り咲きを狙う2人、そして脇本雄太(32歳・福井=94期)が復帰してくると、またどうなるのか。繰り上がりの4着という結果だったが清水裕友(27歳・山口=105期)は変わらない“ヒロトらしさ”に満ちていた。

 和歌山記念が開催中で、初日(9日)の特選はバトルロイヤルと呼べるあまりにも素晴らしいレースだった。競輪界の一年が始まり、またそれはKEIRINグランプリの少し前から、にも生まれるのが「次のグランプリはどんな9人になる? 」だ。さっくりここで予想してしまうのもありかもしれないが、すでにいろんなことが起きていて、ファンのみんなはすでに今年の12月30日を待ち遠しく思っているだろう。

 野暮なことはせず、1日、また1日を見ていきたい。

村上義弘が山口拳矢をマーク

村上義弘が築く歴史は重みがある

 1月8日に初日を行った名古屋競輪S級シリーズの特選で村上義弘(47歳・京都=73期)が山口拳矢(25歳・岐阜=117期)をマークした。競輪界に衝撃が走る出来事だ。村上はかな〜り昔に他地区の選手の後ろに付いたことがあるが、地位を確立してからは、ない。

 おそらく今回は山口幸二さん(引退=62期)とのつながりの深さから、拳矢をマークするという決断になったと思う。おいそれと、無論、近畿地区でも簡単に後ろを回るとは言わない。今後も容易に他地区の選手に付くとは思えない。先行選手という看板は村上義弘の全身に貼り付いている。

 そんな歴史の中、村上さんに付いてほしいと願った他地区の選手もいる。取材していて見たことがあるのが、吉田敏洋(42歳・愛知=85期)と早坂秀悟(35歳・宮城=90期)。早坂は村上に話に行った後、「やっぱりダメでした」と寂しそうにしていた。少ししてから村上に早坂のことを聞いてみると「とても魅力ある選手だし、付きたい気持ちはあるんですよ」と笑った。

 だが、近畿という地区で、その走り方、競輪選手としての生き様を近畿の後輩に伝えないといけない。背負うものがあるからこそ、他地区の選手に付けることはしなかった。深谷知広(32歳・静岡=96期)も自身のSNSでお願いしたことがある、と明かしていたが、多くの選手が抱えていた思いがあるのだ。

どこまでもドラマは続く

高木隆弘(右)に指導を求める高木真備

 ガールズケイリンはまた戦国時代に入る。児玉碧衣(26歳・福岡=108期)の4連覇を阻止したのは高木真備(27歳・東京=106期)。高木も最初は逃げてはつぶれの繰り返し、決勝進出もそんなに安定してなかった。優勝なんか、量産するようになって驚いたくらいだ。

 あきらめなかった一念で夢をかなえた。高木が見せた、夢をかなえた、あの瞬間はガールズケイリンの選手たちみんなの胸に届いたことだろう。

 スポーツ選手の道は、とりわけ競輪選手の道は険しいと思う。喜べる瞬間など、ほんのわずか。そこに立ち向かい続ける姿は2022年も輝き続ける。それだけは、変わらない。

高木真備も地道にタイヤ引きをやっていたころがある


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前田睦生

Maeda Mutuo

鹿児島県生まれ。2006年東京スポーツ新聞社入社、競輪担当として幅広く取材。現場取材から得たニュース(テキスト/Youtube動画)を発信する傍ら、予想系番組やイベントに出演。頭髪は短くしているだけで、毛根は生きている。

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