2021/12/16 (木) 12:00 3
加藤慎平の「筋肉診断」。今回は伊東競輪「椿賞争奪戦(GIII)」に出場する成田和也選手を解説する。
⚫︎成田和也
身長は172cmと、体重は73kgとトップ競輪選手の中では小柄な部類だ。そのうえ年齢は42歳。ただ成田選手は、超一流の追走技術と、横の捌きで競走得点も110点を超える。身体の見た目も絞れており身体的な衰えはまったく感じない。
さすがに30代前半時のような直線の伸びは見られないが、追い込み選手としての技術が今も突出している。踏み出しの安定感はピカイチで、若手追い込み型の教材のような選手である。
成田選手のストロングポイントは、何と言っても「ダッシュ力」だ。20代の頃はナショナルチームにも籍を置き、スプリント競技でW杯銅メダルも獲得。日本選手権競輪を初め、GI3勝を上げている。
しかし、成田選手の競輪人生は順風満帆では無かった。
故障もあり、近年のGIレースでは存在感を示す事が出来ていなかった。そこから復調し、今年に入ってから、実に成田選手らしいブロッキングが多く見られるようになった。
10年前は成田選手の横を捲くるのは、至難の業と言われていた。対戦する自力選手にとって、成田選手は恐怖の対象だったが、またそんな風に言われる日が来るかもしれない。
⚫︎本レースで注目すべき選手は…?
間違いなく、新田祐大がこのシリーズの目玉になる。今年はグランプリへの出走は叶わなかったものの、近況のレースは完全に国内競輪にアジャストしている。自力選手の中では抜けた存在だ。
先行主体の組み立ては、隙がなく、対戦する自力選手達にとって恐怖でしかない。新田選手の組み立てミスや、番手離れなど、トリッキーな仕掛けを狙ったレースが必要になってくるだろう。
そんななか、別線からはなかなか面白そうな選手達が顔を揃えた。
深谷知広選手・寺崎浩平選手・原田研太朗選手・北津留翼選手など、スピードタイプのレーサーが数多く揃った。伊東競輪場(333バンク)の特性を考えると、新田祐大の捲くりを抑え切る可能性もある。
あくまでも「勝負所で新田選手を後方に置かなければいけない」という条件付きだが、上記の選手達のラインは4日間狙ってみたい。
加藤慎平
Kato Shimpei
岐阜県出身。競輪学校81期生。1998年8月に名古屋競輪場でデビュー。2000年競輪祭新人王(現ヤンググランプリ)を獲得した後、2005年に全日本選抜競輪(GI)を優勝。そして同年のKEIRINグランプリ05を制覇し競輪界の頂点に立つ。そしてその年の最高殊勲選手賞(MVP)、年間賞金王、さらには月間獲得賞金最高記録(1億3000万円)を樹立。この記録は未だ抜かれておらず塗り替える事が困難な記録として燦々と輝いている。2018年、現役20年の節目で競輪選手を引退し、現在は様々な媒体で解説者・コメンテーター・コラムニストとして活躍中。自他ともに認める筋トレマニアであり、所有するトレーニング施設では競輪選手をはじめとするアスリートのパーソナルトレーニングを務める。