2025/08/28 (木) 08:00 3
平原康多の引退で関東勢はどうなんだよ?と、正直ちょいと不安だった。“関東壊滅か…?”なんて。いやいや、だが、「案ずるより産むが易し」ってやつだったね。今じゃ眞杉匠に吉田拓矢がしっかり自覚を持ち始めて、機能が戻ってきた感がある。そこに武藤龍生が“ポスト平原”的なまとめ役で登場ってわけだ。急に厚みが出たよな、関東も。
問題は、だ。この武藤が若手をどうまとめていくかってとこだ。「最近の若いのはさ〜」なんて愚痴で終わっちまうのか? それとも、今の時代に合ったやり方で“競輪とは何か”を丁寧に教えられるか? 下手打ちゃ「また説教が始まった」と言われ、すぐにSNSで晒される時代だ。パワハラ認定なんざ日常茶飯事よ。やりづらい時代になったよ、ホントに。
オレらの頃なんか「先輩は絶対」で、口答えしようものなら鉄拳が飛んできたもんだ。理不尽? それが競輪の洗礼だったんだよ。今じゃとても言えねえけど、あれはあれで良き時代だったとも思うよ。
さて、西武園記念・ゴールド・ウイング賞。この大会、武藤教官がどんな風に関東勢をまとめ、誰が勝ち名乗りを上げるのかーー。これは見ものだ。メンバーを見ると、S班からは新山響平、眞杉匠。同格とみるのが吉田拓矢、武藤龍生が絡んでくる。西武園は“逃げ有利”のバンク。となりゃ、新山には追い風だが、アウェイ戦でそう簡単に逃げさせてくれるか? ハマれば勝機は大いにあるが、甘くねえのがこの世界。
妄想ネタも少し挟ませてもらうとーー。やっぱ若手に注目したくなるよな。まずは地元の山口多聞。着実に力をつけてきて、まだ伸びしろもある。西武園のバンクとも相性は悪くなさそうだし、番狂わせがあっても驚かねえ。森田一郎は落車明けってのがネックだが、本来持ってるポテンシャルは関東随一。一発あってもおかしくねえ。
それと長野の堀江省吾。この男、器用な立ち回りができるタイプで、対戦相手に出られれば番手戦もこなせる。混戦になった時に飛びついて、格上を食っちまう…なんて展開も見えてくる。さらに静岡の齋木翔多が最近ガンガン攻めてて面白い。走りに迷いがねえんだ。遠征勢だと、田中大我、林昌幸、甲斐俊祐、兼本将太。この辺の積極策も怖いね。
思い出すのは、71周年開催のとき。野口裕史がガンガン逃げて完全優勝、アレにはシビれたな。西武園は「逃げなきゃ負けよ!」のバンク。守りに入った奴から沈む。それがこの舞台の鉄則だ。さぁ、攻めて、攻めて、攻め倒して、勝利をつかむのは誰だ!?
ここは7Rを妄想に取り上げてみるか! いつものように並びの整理から。⑤田中大我-②山本伸一の奈良コンビに⑦岩本和也が続く近畿中部ライン、九州ラインは①伊藤旭-⑨田中誠-③山口貴弘、茨城の⑥梁島邦友-④早坂秀悟に単騎の⑧泉慶輔になる(⇐⑤②⑦・①⑨③・⑥④・⑧)。
本線はどうみても伊藤旭で仕方ない。田中大我も梁島も後ろに先輩を連れているし、行く気満々だろう。もちろんスタートで前受けだっていいし、どっちが逃げても伊藤は中団を取れる。二人の動きを見極め、一気に仕掛けて田中誠とのゴール勝負①-⑨、伊藤が末脚を欠けば少々逆転の目があり⑨-①。田中大我が梁島を強引に叩き番手の山本で①-②、これが本線の狙いで仕方ないよね。
さて、妄想を捻り出せば! 伊藤が前受けから、スタートの早い梁島がこの後を追う。田中大我が押さえスローペースに持ち込む。そこを梁島が渾身のかまし逃げを打てば! 車間が空く。田中大我が追いかけ「まくりに行けば」いくら伊藤でもその上は厳しい。
田中大我から山本へ⑤-②、梁島に乗る早坂へ⑤-④。梁島がドカンと行って伊藤が追い上げ田中大我ともつれてしまえば、「競輪は番手だ」で早坂から梁島の残り④-⑥。単騎の泉が早坂をマークしていたら。時折見せる強烈な差し脚を持つ泉が強襲④=⑧! こんなことになれば、松戸記念の無念を一気に晴らせるんだけどな(笑)。
真夏の炎天下ーー。今年も子ども養護施設で恒例のスイカ割りと水鉄砲大会をやってきた。そこに顔を出してくれたのが名輪会に加わったばかりの平原康多さん。いわばイベントの“デビュー戦”だ。正直、どうなるかと少し心配もしていた。だが、そんな不安はすぐに吹き飛んだね。
子どもたちと本気で遊び、時には遊ばせる。その姿から伝わってきたのは、底知れぬ優しさと懐の深さ、そして慈愛に満ちた表情だった。レースで見せていた『勝負師の顔』とはまた違う、“人としての格”。あらためて「康多は最高にかっこいい男だ」と感じたよ。
吉井秀仁
Yoshii Hidehito
千葉県茂原市出身。日本競輪学校第38期卒。選手時代はその逃げるスピードの速さから「2週半逃げ切る男」と称され人気を集める。1978年競輪祭新人王戦を制し、翌年も小倉競輪祭の頂点に立つ。1980年の日本選手権は完全優勝、1984年オールスター競輪でも覇者となり、選手としての一時代を築き上げた。現役引退後はTV解説者やレポーターとして活躍、競輪場での予想会イベントやYoutubeのライブ配信なども精力的におこなっている。ファンからは「競輪客のような解説者」と親しまれており、独特のひらめきによる車券戦術を数多く披露している。