2021/10/24 (日) 12:00 7
競輪界では知らない者がいないヤマコウこと山口幸二さんの予想コラム。元トップレーサーならではの鋭い読みは必見です。
第30回寬仁親王牌(弥彦競輪場)決勝メンバーが出揃いました。
今節は弥彦競輪場の直線が長いので大きな配当が続出(弥彦競輪場はみなし直線63.1mメートル。直線が一番長いのは武雄競輪場の64.4メートル)。直線の長い競輪場の難しさを痛感しました。
決勝常連組の松浦悠士(98期・広島)や清水裕友(105期・山口)、郡司浩平(99期・神奈川)も決勝進出を逃しましたが、新田祐大(90期・福島)のグランドスラムや、107期同士の対決(吉田拓矢と新山響平)など見所はたくさんあります。
メンバーとライン構成は以下の通り。
②山田庸平(94期・佐賀)
④新山響平(107期・青森)ー③新田祐大(90期・福島)ー⑥菅田壱道(91期・宮城)ー⑧大槻寛徳(85期・宮城)
⑤吉田拓矢(107期・茨城)ー⑨平原康多(87期・埼玉)ー①諸橋愛(79期・新潟)
⑦野原雅也(103期・福井)
このレースは、まず⑤吉田拓矢と④新山響平の先行争いをどう考えるか? がポイント。
④新山のコメントは「北の役割をしっかり果たす。新田さんのグランドスラムも見てみたい」。対して⑤吉田拓矢は「宿口さんが宮記念杯を優勝してタイトルを意識する様になった。自分も納得する走りをしたい」とコメントしています。
コメントも大切ですが、その行間を読むことも非常に大切だと思います。私は両者のコメントから「2人とも先行意欲は高いが、新山の方がより強い」と読み取りました。
北日本勢は伝統的に自転車競技の縦足重視の選手が多く揃っています。対して関東地区は、横の捌きの厳しい選手が多いです。なぜなのかは分かりませんが、地区の特性ってあるんです。
関東勢は2019年の競輪祭決勝、同じ並びで清水裕友にイン粘りをされて失敗しています(優勝は松浦悠士)。今回は諸橋の地元戦、しかも同期の新山相手ということもあり、先行意欲は負けてないとは思いますが、自分自身もGPを狙える位置なので、(自分も)可能性がある走りをすると思います。前受けから突っ張り、もしかしたら自分にもチャンスがあるかも…って走りです。
新山に出られたらイン粘り。この戦法こそが自分自身の着にも繋がるし、後ろの勝機にも繋がる。
前受けは関東勢で考えます。
S.⑤⑨① ② ④③⑥⑧ ⑦
この初手でレースが流れます。単騎の②山田や⑦野原は混戦を捲る事を狙っていると思います。
まず④新山が動く。関東勢も北に先制されたら終わりなので、残り3周くらいからかなり後ろを意識するでしょう。
そして、残り2周で両者スパート!
←④③⑥⑧
残り2周. ←⑤⑨① ② ⑦
⑤吉田は④新山に出られたらイン粘り。③新田も外で競りを耐えるほど長けてません。⑨平原も⑥菅田を捌いていそうなので、後ろ攻めだと厳しそうです。
③⑥⑧
H. ④ ⑤⑨① ② ⑦
この態勢なら関東勢にチャンスが訪れます。
③⑥⑧
B. ←⑨① ② ⑦
⑤
④
9=1ー2758
9ー27ー1
決勝戦は、前を取ったラインの方が有利に動くと思います。1番車が諸橋なので、私は前受けから考えましたが、北日本に前を取られると関東は苦戦を強いられるでしょう。
関東と北日本、勢力は全く互角ですが、横ができる分関東勢を本線にしました。
山口幸二
Yamaguchi Kouji
岐阜県大垣市出身。日本競輪学校62期卒業の元競輪選手。1988年9月に大垣競輪場でデビュー、初勝利。1998年のオールスター競輪で完全優勝、同年のKEIRINグランプリ'98覇者となる。2008年には選手会岐阜支部の支部長に就任し、公務をこなしながらレースに励む。2011年、KEIRINグランプリ2011に出場。大会最年長の43歳で、13年ぶり2度目のグランプリ制覇を果たし、賞金王も獲得した。2012年12月に選手を引退、現在は競輪解説者としてレース解説、コラム執筆など幅広く活動する。父・山口啓は元競輪選手であり、弟の山口富生(68期)、息子の山口聖矢(115期)・山口拳矢(117期)は現役で活躍中。