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伝説ヤマコウ 炎のレース展望

【火の国杯争奪戦】あの北津留翼から気迫を感じる…新世代を引き連れどう戦うか?/ヤマコウ展望

2021/10/10 (日) 12:00 10

競輪界では知らない者がいないヤマコウこと山口幸二さんの予想コラム。元トップレーサーならではの鋭い読みは必見です。

 熊本記念競輪「火の国杯争奪戦」in久留米、決勝メンバーが出揃いました。

 地元熊本から嘉永泰斗や瓜生崇智が決勝に乗ったので「こうやって世代交代は進んでいくのだな」という印象を受けました。中川誠一郎や中本匠栄らも頑張っていましたが、次世代の勢いに飲まれた感じです。

 その昔、長州力がいつまでも続く猪木時代に「藤波、前田、このままでいいのか?」と噛み付いて世代闘争が始まりました。

 嘉永や瓜生がそう言った訳ではありませんが、誠ちゃんらが「お前ら俺の首を掻っ切ってみろ!」…とは言わんか(笑)。

 ライン、メンバー構成は以下の通り。

⑦北津留翼(90期・福岡)ー①嘉永泰斗(113期・熊本)ー④瓜生崇智(109期・熊本)
⑨平原康多(87期・埼玉)ー②諸橋愛(79期・新潟)ー⑥磯田旭(96期・栃木)

③松浦悠士(98期・広島)ー⑤佐藤慎太郎(78期・福島)
⑧谷口遼平(103期・三重)

 主力選手で仕上がっているなと感じるのは⑨平原ですね。スピードにキレが戻ってきました。③松浦はあまり目立っていませんが、堅調といった所でしょうか。ただ、キレはあまり感じません。レースの組み立てと、横の強さで勝負できている印象です。

 九州3選手の準決勝は、誰からも気迫を感じました。あの⑦北津留からもです。

柔和な北津留翼だが…(撮影:島尻譲)

 岐阜の共同通信社杯の準決勝で、嘉永は北津留を連れて失敗しています。しかし、北津留は大らかな性格なので、そんな小さなことは気にせず「後輩の地元だから頑張ろう!」と割と簡単に考えているように見えましたが、準決勝は熊本の御大中川誠ちゃんを連れ込めなかったことで、決勝は先行基本に考えているのでは? と思います。①嘉永が「翼さんに甘えます」とコメントしているのは「優勝を狙いに行きます」ということでしょうね。

 初手はどうなるか?

 ③松浦ですが車番が悪いので苦戦は免れないでしょう。

 九州勢の初手は難しいですね…。岐阜共同通信杯準決勝の嘉永ー北津留は、後ろ攻めで失敗しているので、前受け〜突っ張ることもあるかもしれません。

 ただ、③松浦は後ろ攻めを避けたいはずなので、彼が前を取ると考えました。

S.③⑤ ⑦①④ ⑨②⑥ ⑧

 ⑨平原は③松浦に突っ張られて中団を明け渡さないようしっかり叩く。そして九州勢の先行、中団⑨平原、後方③松浦、単騎⑧谷口となります。

打鐘.←⑦①④ ⑨②⑥ ③⑤ ⑧

 こうなると①嘉永有利に進められますね。先輩の⑦北津留に遠慮することなく、番手まくりをしたら優勝の可能性があります。バックから、①嘉永と⑨平原のまくり合い、その上を捲ろうとする③松浦の態勢です。

     ←⑨②⑥ ③⑤ ⑧
B  ←①④
  ⑦

 準決勝は渡邉一成に捲られそうになった①嘉永ですが、決勝は先行が⑦北津留なので簡単には⑨平原もまくれないと考え、

 優勝①嘉永、⑨平原や④瓜生の逆転も考えて…

1=49ー234569

 ここで①嘉永や④瓜生が優勝することができれば、今後の自信に繋がりGI戦線を賑わすでしょう。

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山口幸二

Yamaguchi Kouji

岐阜県大垣市出身。日本競輪学校62期卒業の元競輪選手。1988年9月に大垣競輪場でデビュー、初勝利。1998年のオールスター競輪で完全優勝、同年のKEIRINグランプリ'98覇者となる。2008年には選手会岐阜支部の支部長に就任し、公務をこなしながらレースに励む。2011年、KEIRINグランプリ2011に出場。大会最年長の43歳で、13年ぶり2度目のグランプリ制覇を果たし、賞金王も獲得した。2012年12月に選手を引退、現在は競輪解説者としてレース解説、コラム執筆など幅広く活動する。父・山口啓は元競輪選手であり、弟の山口富生(68期)、息子の山口聖矢(115期)・山口拳矢(117期)は現役で活躍中。

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