2021/09/26 (日) 12:00 3
現役時代はトップ選手として長く活躍し、現在は評論家として活動する鈴木誠氏の競輪予想コラム。今回は青森競輪場で開催されているみちのく記念善知鳥杯争奪戦の決勝レース展望です。
【みちのく記念善知鳥杯争奪戦】の行われる青森競輪場は標準的な400バンクで、山の中にあるからか、風の影響も無くて走りやすい印象がありました。ただ、寒くなってくるこの時期だとバンクが重たくなり、スプリンターの選手よりも、持久力のある選手の方が活躍する傾向が見られます。
決勝に進んできた選手も持久力タイプが多く見られますが、スプリンタータイプながらも、力の違いを見せているのが深谷選手です。
決勝の並びですが、南関東ラインが深谷選手-東選手-石毛選手。北日本ラインが阿部選手-坂本選手-佐々木選手。吉澤選手の後ろは東口選手となり、上田選手は単騎となりました。
やはり注目すべきは、坂本選手の地元ということもあるのでしょうが、阿部選手が前となった北日本ラインの並びと言えます。
坂本選手は準決勝の上がりタイムが11秒3と時計も出ていましたし、普段からこのバンクで練習をしていることもあるのでしょうが、番手から捲っていくような縦の勝負だと、強さを発揮できるなと思いました。
先行するのも北日本ラインだと思います。1番車に佐々木選手が入ったので、スタートの位置も決めやすいですし、深谷選手が前を取ったのならば、北日本ラインはその後ろでいいと思います。そして、後ろから吉澤選手が深谷選手を抑えにかかったのを見て、一気に先行していくのではないのでしょうか。
ただ、今大会の深谷選手は後ろに置かれてからも、早めに巻き返していますし、準決勝では後ろを回っていた岡村選手がついていけないほどに、踏み出しが違っていました。決勝でも番手を回る東選手が、深谷選手に付いていけるかがポイントになりそうです。
もし、東選手が付いていけるようならば、優勝のチャンスも出てくると思いますが、付いていけないようだと、番手捲りをした坂本選手が深谷選手の番手に飛びついたり、吉澤選手の中団からの先捲りが決まる可能性も出てきます。
今大会では調子の良さが目を引く、単騎の上田選手も怖い存在と言えます。吉澤選手の後ろを回る東口選手もしぶといレースを見せていますし、深谷選手の本命は揺るがないと思いながらも、この2人にも印を回そうかどうか悩みどころです。
鈴木誠
千葉県市原市出身。日本競輪学校第55期卒。千葉経大付属高校の頃から競輪に没頭し、吉井秀仁氏に師事。現役時代はすべての戦法を完璧にこなし、「本物の自在型選手」と評されるほど多彩なストロングポイントを武器に、引退するまで長きにわたってトップ選手として君臨した。現役時代は通算3058戦665勝、優勝109回(うちGIは競輪祭新人王を含め4回、GP1回)、年間賞金王1回、通算獲得賞金は17億を超える。18年7月に、ケガのため惜しまれつつ引退。引退後は選手経験を生かし、解説者として活躍。スピードチャンネルなどの番組にも出演している。