2025/09/25 (木) 08:00 3
平安賞といえば地元勢はもちろん、近畿勢で牙城を守ってきた大会だよ。思い返せばここはレジェンド・村上義弘が「魂の走り」で時代を切り開き、“近畿の競輪”を築き上げた聖地ってわけだ。そのバトンを脇本雄太、古性優作らがしっかり受け継ぎ、さらに進化させてきたのは、もはや誰もが知るところ。
前回大会は、近畿が別戦を選んで脇本雄太VS窓場千加頼、そして清水裕友の三分戦。清水が逃げ、中団から窓場がまくる。そのさらに上を脇本がまくり切ってのV! いやぁ、力がぶつかり合った一戦だったな。これぞ“近畿の競輪”の醍醐味ってやつ。
さて今回は舞台を奈良競輪場に移しての平安賞。主役はもちろんS班・古性優作だったが、残念ながら欠場! S班の重責は犬伏湧也の肩に託された。だが深谷知広の機動力なら互角とみていい! そして京都勢は山田久徳が控える。三谷竜生は地元開催の利を生かして、平安賞らしい意地の走りを見せるだろう。展開ひとつで、別線勝負も十分あり得る…。今回も熱いバトルになりそうだ。
伏兵たちのラインナップをじっくり見ていこうか。まずは藤井侑吾。この小回りバンクは機動力勝負になりやすい舞台だが、藤井は持ち味の積極策で一次予選を難なく突破するだろう。思い切った仕掛けができるタイプだけに、二次予選や準決勝でも展開ひとつで主役を食う可能性がある。相手が構えれば構えるほど、藤井の思い切りの良さが生きてくるはずだ。
続いて町田太我。警戒されると脆さを見せる一面もあるが、やっぱり逃げてこその選手。この小回りバンクは“自分のリズムで踏み切る”には絶好の舞台だ。大物食いなんて言葉もオーバーじゃない。流れさえつかめば、一気に主役を食ってしまうシーンも十分あるだろう。
藤田周磨も地味に見えて、実は展開をかき回す存在。彼が動くとレースは一気に荒れる。ここで“妄想”が広がるのも、競輪の醍醐味だよな。そして忘れちゃいけないのが佐々木堅次と五十嵐綾。どちらも前々から動いて自力自在に戦える選手で、脚質に幅があるのが強みだ。流れの中で仕掛けを変えられる分、相手からしたら一番イヤな存在。人気どころが牽制し合えば、スルッと抜け出して一発大穴…なんて展開も十分にあり得る。
最後に触れておきたいのが、今シリーズも注目せざるを得ない窓場千加頼だ。ここ最近は低迷が続いているが、昨年のあの輝きを知っている者からすれば、「どうしたんだ窓場!」と言いたくなるよな。競輪人生は長い。山あり谷あり、紆余曲折はつきものだ。
でも、こんなところで終わる男じゃないだろう。あの強気の仕掛け、スピード感あふれる走りをもう一度見たいんだ。平安賞という大舞台で再び光を取り戻し、ファンを沸かせる復活劇ーー、それを心から願っている。窓場よ、ここで殻を破れ!
さあて、妄想レースの舞台は7Rをチョイス。まずはお約束の並び整理から。
④谷内健太-①高久保雄介-⑨渡辺十夢の近畿トリオ。
②佐々木堅次-⑤竹内智彦-⑥佐々木省司で北日本ライン。
③藤田周磨-⑦岡本大嗣-⑧上原龍の関東勢。
この顔ぶれ、カギはやっぱり初手の並び!スタートは佐々木堅次がスッと出て前受け、形は⇐②⑤⑥・④①⑨・③⑦⑧。で、佐々木堅は自力自在のスタイルだからね。ここは番手飛びつきも十分ある展開。藤田が仕掛ければ、その番手へズバッとで②=③、谷内が来たら? 当然ここも飛びつきで②=④、佐々木堅が主導権握って竹内が続けば②=⑤ってわけだ。
一方で、藤田が押さえでモタつくようならーー。谷内が迷わずかまし一撃! そこから高久保と決めての④=①、これが押さえってことにしたが、もしかしたら本命になるかもだね。
吉井秀仁
Yoshii Hidehito
千葉県茂原市出身。日本競輪学校第38期卒。選手時代はその逃げるスピードの速さから「2週半逃げ切る男」と称され人気を集める。1978年競輪祭新人王戦を制し、翌年も小倉競輪祭の頂点に立つ。1980年の日本選手権は完全優勝、1984年オールスター競輪でも覇者となり、選手としての一時代を築き上げた。現役引退後はTV解説者やレポーターとして活躍、競輪場での予想会イベントやYoutubeのライブ配信なども精力的におこなっている。ファンからは「競輪客のような解説者」と親しまれており、独特のひらめきによる車券戦術を数多く披露している。