2025/09/20 (土) 08:00 0
福井の共同通信社杯は南修二の優勝で幕を閉じた。ここから終盤戦にどんなドラマが待ち受けているか。話は変わるが、選手ってのは一年中走りっぱなしが仕事。「常にベストコンディションを保て」というのは口で言うほど簡単じゃない。そこへ賞金ランキングだの、GI・GIIの選考期間だの、さらにはS級ボーダーの点数計算だの……。神経をすり減らす日々ってやつだ。
もうだいぶ前に引退したオレは、そういう心配からは解放された身。けど、現役の連中から切実な話を聞くと、「ああ、オレも昔はそんなことで本気で悩んでいたな…」なんて、妙にしみじみしちまう。他人事なのに、つい共感しちまうタチで困ったもんだ。
本来なら冷たく「もっと練習しろよ」と喝を入れて済むんだろうが、今の時代それ言ったら一発アウト! なにハラだのなんだので、炎上間違いなし。言葉は“言霊”ってやつらしいし、つい口汚い言葉を発すれば、幼い孫に「チクチク言葉はダメよ」なんて諭される始末。もうこの辺で「昭和」を脱ぎ捨て、“令和仕様”にアップデートしてみっかな。まあ、オレにそれができるかどうか、自信はねえけどね(笑)。
さて、みちのく記念「善知鳥杯争奪戦」は共同通信社杯から間がなく、上位陣はコンディション維持で精一杯ってところだろう。去年は眞杉匠に新山響平が競られ、もつれたところを佐々木眞也がまくって“漁夫の利V“。今年は同じ轍を踏まないと信じたいね。
みちのくといえばやっぱり主役はS班・新山響平。ここに対抗するのは同じくS班の郡司浩平になる。近況の嫌な流れを引きずって共同通信杯へ入り、初日でつまずき「またか」と落胆した! だが、それを払拭し、流れを取り戻したようにも見えた。こうなれば郡司の逆転Vも期待できる。さらに共同通信社杯を制して勢いに乗る南修二が目標次第でタテ脚を使い強襲ってことも十分!
新山を盛り立てる面々は地元の永澤剛、坂本貴史、木村弘に、守澤太志、佐藤友和ら北日本の実力者たちだ。これは“秋の新山祭り”とばかりに、北日本総出で神輿を担ぎ、「もう勝ってください」と言わんばかりのメンバー構成じゃないか。2班の阿部力也までついてる。格付けは2班でも、中身は最強クラスだよ。
さて、妄想タイムに話を移そう。オールスターでは果敢に逃げ、名を売った125期の山崎歩夢。あの舞台で存在感を示す勝負度胸は父・芳仁譲りのモノか! あの走りを続けてれば、いずれ北日本を背負って立つ存在に成長し、北に待望のニュースター誕生ってことに!
忘れちゃいけないのが月森亮輔。若手の陰に隠れているが、ツボにハマればまくり一発を決めてくる。軽く見ていると足元をすくわれるぞ。
妄想は4Rに狙いを定める。まずは並びから確認しておこう。①根田空史-⑦石塚孝幸の南関コンビ、⑨木村弘-②阿部力也-④佐藤愼太郎で北日本ライン、③緒方将樹-⑤田中誠の九州コンビ、⑧三好恵一郎-⑥伊藤亮の関東コンビの細切れ戦になる。初手は阿部がスタートを決めて木村が前受け。枠なりに(⇐⑨②④・①⑦・③⑤・⑧⑥)と並ぶ。
三好が押さえて緒方が叩く。木村は根田を警戒しながら出ていく。結果、根田は後方へ。木村の逃げに乗って阿部の差し切りが濃厚だが、念のため折り返しで②=⑨。さらに根田に乗る石塚の強襲②-⑦、根田が行ききれば⑦=①、このあたりが本線だろう。ただ一見すれば堅そうに見えるレースだが、どういうわけか阿部の気配がピリッとしない。
そこで妄想の出番だ。緒方がスタートを決めて前受け。木村が続いて根田がその後ろ。三好が押さえにいき、根田が木村を封じ込めながら先行。木村もすぐさま巻き返すと二人のもがき合いになる。そうなれば緒方のまくり一発。田中の流れ込みで③-⑤、石塚が切り替えての③-⑦も面白い。
吉井秀仁
Yoshii Hidehito
千葉県茂原市出身。日本競輪学校第38期卒。選手時代はその逃げるスピードの速さから「2週半逃げ切る男」と称され人気を集める。1978年競輪祭新人王戦を制し、翌年も小倉競輪祭の頂点に立つ。1980年の日本選手権は完全優勝、1984年オールスター競輪でも覇者となり、選手としての一時代を築き上げた。現役引退後はTV解説者やレポーターとして活躍、競輪場での予想会イベントやYoutubeのライブ配信なども精力的におこなっている。ファンからは「競輪客のような解説者」と親しまれており、独特のひらめきによる車券戦術を数多く披露している。