2021/09/22 (水) 18:00 10
こんにちは! 110期愛知支部の佐々木恵理です。
みなさんは『地元3割増し』という言葉を聞いたことがありますか?
競輪ファンなら1度は聞いたことがあるかもしれません。ホームバンクのレースは、他のバンクのレースよりも3割増しで力を発揮できるという意味です。前検日のインタビューで地元選手が「”地元3割増し”で頑張ります!」と地元レースへの意気込みを表すのに使ったりします。
おそらくこの言葉は競輪界に古くから伝わる言い伝え? 名言? いや、業界用語だと思います(他のスポーツなどでも言うのかもしれません。他にも使う競技があるなら教えて欲しいです)。
なぜ競輪選手は地元3割増しと言えるのでしょうか? 私自身の経験も踏まえて考えてみたいと思います。
やはり、練習で走り慣れているのでバンクの特徴を熟知しています。例えば同じ1周400メートルのバンクでも、直線の長い短いで追い込みのタイミングが違ったり、カント(バンクの傾斜角度)の違いで感覚は大きく変わります。そういった微妙な違いを感じられるので、走り慣れた地元選手は他の選手に比べて有利になると思います。
地元はとにかく気持ちが入ります。他の競輪場に比べてファンの方からの声援も多いですし、地元ということで注目も浴びるので、気合の入り方がいつもと違うんです。
また、いつも練習させてもらっている競輪場の開催を盛り上げたいという感謝の思い、恩返しの思いも湧いてきます。競輪は”気持ちで走る”とも言いますね。私自身も愛知県のバンクで走る時は、いい成績を残したい、いいところを見せたいと気合が入るし、いつも以上にファンの皆さんの声援や応援に背中を押されるような、不思議な力が湧いてくる感覚があります。ここでアイドルオタク佐々木の登場です。
私は、アイドルにも『地元3割増し』があると思っています。それは、『地元凱旋公演』(アイドルが自身の出身地でライブをすること)です。
凱旋公演は新人アイドルの目標のひとつにもなるくらい大きな意味があります。いつもより推し色のペンライトが多かったり、声援が大きいというのもありますが、アイドル本人のパフォーマンスからも「今日は自分が主役」だというのが伝わってきます。推しじゃなくても「今日の〇〇ちゃんは一味違う! めっちゃいい! 最高!」と注目してしまいます。
ライブ中のトークにある、アイドルとファンとの「ただいまー!」「おかえりー!」のやりとりは、どのメンバーの凱旋公演でも胸が熱くなります。さらに、名物や観光地などの地元トークをイキイキと楽しそうに話す姿はいつもより光り輝いてみえます。眩しさが違いますね。
そして、凱旋公演は地元ファンとのメンバーとの距離がグッと近づく瞬間です。私は愛知出身なのですが、出身地が同じ愛知県のメンバーは推しでなくても無条件に応援したくなる感情がありますし、豊橋出身なんて聞いてしまえば、さらに注目して見てしまいます。地元凱旋公演はアイドルだけでなく、ファンにとっても大きな意味を持っているんです。
選手目線で見たとき、地元バンクと地元ファンの力は偉大だと感じています。また、ファンの立場に立ってみて、同じ地元の選手を応援したくなる気持ちもわかりました。
選手だけでなくファンとの相乗効果があったから『地元3割増し』という言葉が生まれたのだと思います。ファンからの応援とその応援に応えたい選手がいて初めて完成するんです。
競輪は全国に43箇所の競輪場があって全国に選手がいます。地元はもちろんですが、全国にいるさまざまな選手の『地元3割増し』に注目し、応援してみてはいかがでしょうか?
それでは、より楽しい競輪ライフを! 次回更新をお楽しみに!
佐々木恵理
Sasaki Eri
愛知県豊橋市出身。大学卒業後、システムエンジニアとして社会人を経験し、テレビ番組でガールズケイリンの存在を知って競輪選手を志願。T-GUP(豊橋ガールズケイリン育成プロジェクト)を経て、2016年に名古屋競輪場でレースデビュー、初勝利。アイドルと競輪を愛する、アイドルヲタクレーサー。