2021/09/12 (日) 12:00 3
現役時代はトップ選手として長く活躍し、現在は評論家として活動する鈴木誠氏の競輪予想コラム。今回は松阪競輪場で開催されている蒲生氏郷杯王座競輪の決勝レース展望です。
【蒲生氏郷杯王座競輪】は初日、2日目と松阪競輪場に赴き、番組出演と選手への取材をしてきました。
直線の長い松阪バンクですが、初日は少し風があっただけでなく、朝方には雨も降って湿気も含んでいたせいか、バンク状態を重く感じた選手が多かったようです。
一方、2日目は風の影響も余り無く、バンクも軽くタイムも出ていました。こうなると、先行捲りといった自力型が活躍し始めます。その意味でも決勝は、当日のバンクコンディションにも注目したいところです。
バンクコンディションなど関係無いかのように、このバンクを得意としているのが、決勝で8番車に入った園田選手です。
開設60周年記念(平成22年)に優勝しており、2日目に勝利者インタビューをした時にも「物凄くバンクの相性がいい印象がありますし、4コーナーからの長さも自分の脚質に合っています」と話してくれました。
その園田選手は清水選手-中本選手に続く、中国・九州ラインの3番手を回ります。園田選手は3日間の走りを見ても、決勝で車券圏内に入る脚も持っているだけに、車券の相手に入れておきたくもなります。
注目していた関東ラインの並びですが、準決勝の12レースで捲りを決めた宿口選手が前となりました。その後ろが平原選手で、3番手が木暮選手となっています。
初日の特選でも、黒沢選手の後ろが宿口選手-平原選手の並びでしたし、今大会では宿口選手の方が動けると見たのでしょう。平原選手もここまで4着、1着、1着と結果こそ出しているものの、自分ではレースを組み立てられないところを見ると、本調子では無いのではと思います。
郡司選手の後ろには守澤選手。この並びは初日の特選と一緒になります。地元の浅井選手は単騎となりました。浅井選手は全盛期に比べると脚力が落ちているのは否めません。また、単騎で清水選手、郡司選手の捲りに対抗するのは分が悪い気がします。
こうなると誰が先行するかですが、自分の見解としては、平原選手に前を任された宿口選手になると予想しています。ただ、宿口選手は先行よりも、捲りで力が発揮できる選手なのは間違いありません。
脚質的に先行が合っていると思えるのは、今大会も初日、2日目とバックを取っている清水選手でしょう。ただ、準決勝では捲りで11秒フラットの時計を出していますし、このバンクは捲りが有利というのも、実際に走って見て分かっているはず。先行するかどうかは、他のラインとの駆け引き次第にもなりそうです。
スタートも誰が取ってもおかしくなさそうです。車番的に郡司選手-守澤選手で、その切れ目には浅井選手。後ろを宿口選手-平原選手-木暮選手の関東ラインで進んでいき、7番手から清水選手が九州の2人を引きつれて抑えにかかったのを見た宿口選手が、一気に先行体制へと入りそうです。
その展開となった時、後ろに置かれる郡司選手ですが、2か月ぶりのレースとは思えないようなスピードに乗った走りを見せています。レース感も鈍ってないようなので、どの位置になったとしても早めに捲ってくるはずです。
郡司選手も園田選手と同じように、脚質的に松阪バンクとの相性がいいのでしょう。捲りが決まるようだと郡司選手-守澤選手のSSライン、もしくは清水選手の先捲りを、外から郡司選手が交わしていくSS決着も考えられます。
鈴木誠
千葉県市原市出身。日本競輪学校第55期卒。千葉経大付属高校の頃から競輪に没頭し、吉井秀仁氏に師事。現役時代はすべての戦法を完璧にこなし、「本物の自在型選手」と評されるほど多彩なストロングポイントを武器に、引退するまで長きにわたってトップ選手として君臨した。現役時代は通算3058戦665勝、優勝109回(うちGIは競輪祭新人王を含め4回、GP1回)、年間賞金王1回、通算獲得賞金は17億を超える。18年7月に、ケガのため惜しまれつつ引退。引退後は選手経験を生かし、解説者として活躍。スピードチャンネルなどの番組にも出演している。