2025/11/19 (水) 08:00 3
小倉競輪祭が始まると、「ああ、今年も終わりが近いな」と思う。グランプリを懸けた最後のGIだ。この大会が終われば、1年の流れがひと区切りつく。選手にとっても、ファンにとっても、ひと区切りの場所だ。
すでに嘉永泰斗、脇本雄太、吉田拓矢、寺崎浩平の4人は優勝で出場権を確定。さらに賞金上位で古性優作、眞杉匠が当確ライン。残る3枠をめぐる戦いは、例年以上に神経の削り合いになりそうだ。
まず注目は、やっぱり嘉永泰斗。GI初優勝で勢いに乗ったが、今度はタイトルホルダーとして試される立場になる。熊本の若武者が地元・九州のGIでどう戦うかが見ものだね。
さらに古性優作はといえば、決して順風満帆ではなかっただろう。それでも古性らしさが随所に見られ安定感はあった。グランプリ出場はほぼ確実でも、「タイトルを取り、納得して終わりたい」の思いだろうが、脇本雄太の欠場は影響大。そこで寺崎浩平が近畿の重責を担い、引っ張っていくことになるはず。
さらに吉田拓矢がどうレースを動かし支配するのか? 親王牌で見せた腹のくくり方が印象に残っている。関東勢、特に眞杉との連携実績においては信頼度抜群だし、タイトル争いの一角になるだろう。
そして犬伏湧也だ。親王牌は痛恨だったろう。実質逃げイチ、しかもライン3車を生かせず…! あの悔しさをどうやって払拭するのか。あの悔しさをバネに本来の思い切りのいい走りができれば、一気に主役に返り咲くポテンシャルを持っているが、果たして。
嘉永がタイトルホルダーになり、潮目が変わるのか? はたまた今まで通りに戻るのか?変わったとすれば“ニューヒーローの誕生”も期待できるが···! 6日間の長丁場にどんなドラマが隠れているのかワクワクが止まらねえ!
おっと、注目選手をピックアップしておかないとだね! 高速バンクにつき、ナショナルチームの太田海也、中野慎詞、山崎賢人を挙げておこう。さらに山口拳矢の気配が良く見えるし、伊藤旭も面白い。今シリーズも思わぬ伏兵が頭角を現したりして…!
さて、高配当の匂いがする“妄想レース”をピックアップしてみっか! 今回は2Rを狙ってみようと思う。まずは並びの整理から。⑨寺崎浩平-⑦南修二-②稲川翔の近畿3車、⑤新田祐大-①成田和也の福島コンビ、⑧簗田一輝-③小原太樹の南関タッグ、⑥後藤大輝-④小岩大介の九州コンビとなっている(⇐⑨⑦②・⑤①・⑧③・⑥④)。
ここは北日本が前受けからになろう。簗田が切りに行くが、新田は突っ張りだろうね。その上を後藤が叩いていくが、グランプリ出場を懸けた南を連れた寺崎のこと、早めに巻き返すに違いない。寺崎の後ろから抜け出し、南のアタマで⑦-⑨、タイミングによっては相手が稲川のパターンも考えられ⑦-②、このあたりが本線。
妄想展開は後藤-小岩の九州が先制したときに後ろがもつれにもつれるときに、そのまま逃げ切りが決まっちまう可能性だ。この場合、④⇔⑥と折り返しは必要になる。そのほか、北日本が好位置を取り切っちまったら、新田に加えて、各ラインの番手、番手の車券も浮かび上がってくる。この場合なら手広く行くのが無難!“良いとこ獲り”で①③④⑤の2車単ボックスあたりは面白い!
吉井秀仁
Yoshii Hidehito
千葉県茂原市出身。日本競輪学校第38期卒。選手時代はその逃げるスピードの速さから「2週半逃げ切る男」と称され人気を集める。1978年競輪祭新人王戦を制し、翌年も小倉競輪祭の頂点に立つ。1980年の日本選手権は完全優勝、1984年オールスター競輪でも覇者となり、選手としての一時代を築き上げた。現役引退後はTV解説者やレポーターとして活躍、競輪場での予想会イベントやYoutubeのライブ配信なども精力的におこなっている。ファンからは「競輪客のような解説者」と親しまれており、独特のひらめきによる車券戦術を数多く披露している。
