2025/04/22 (火) 15:00 7
現役時代はトップ選手として長く活躍し、現在は評論家として活動する鈴木誠氏の競輪予想コラム。今回は川崎競輪場で開催されている「桜花賞・海老澤清杯」の決勝レース展望です。
川崎競輪場で行われている【桜花賞・海老澤清杯】では、2日目の二次予選で脇本選手が、従来のバンクレコードを更新する走りを見せました(10秒6→10秒5)。
脇本選手は準決勝でも捲っていきながら10秒8のタイムを出しています。そのスピードは現役選手でも屈指の存在となっていますが、だからといってスピードだけでは勝てないのが競輪です。その事実を証明したのが、初日の特選における郡司選手の走りでした。
このレース、3番手でジャンを聞いた郡司選手は、その前にいた平原選手の牽制をいなしただけでなく、後方から捲っていった坂井選手の後ろに切り替えていきます。
脇本選手は8番手から捲り上げていきますが、郡司選手はそれよりも先に捲っていっての勝利。脇本選手は上がりタイムで10秒8を出していますが、その前でレースを進めていた郡司選手も10秒9で上がっているので、さすがの脇本選手でも捉え切れませんでした。
郡司選手はこの特選の勝利から、3連勝での決勝進出となっています。体調の良さだけでなくてレース感の良さ、そして、走り慣れた川崎バンクということもあってか、どのコースが伸びるかを分かっているのでしょう。
決勝では①郡司選手がラインの先頭となり、同じ神奈川の⑨松谷選手-⑦佐々木選手との並びとなりました。
南関東の括りで④根田選手との連係も考えられましたが、自力を出したいと思えるほどに郡司選手は状態がいいのでしょう。根田選手は単騎戦で一発を狙う形となりました。
他のラインは②犬伏選手-⑧久米選手の徳島両者の後ろに、⑤吉本選手が入った西日本ライン、③脇本選手-⑥小森選手の徳島ラインと三分戦での戦いとなっています。
1番車は郡司選手ですが、そのままスタートを取ってしまうと、他のラインから逃がされる形となってしまうので、ここでは犬伏選手か脇本選手を前に入れると見ています。
脇本選手が前受けをした場合には、その後ろが神奈川ラインとなります。後方から犬伏選手が抑えてきた時に、郡司選手はその後ろをついていけば脇本選手は後方まで車を下げるので、4番手でレースを進められます。
犬伏選手が前受けをした場合だと、後方にいる脇本選手は抑えに行かないので、犬伏選手はそのままのペースでの先行態勢へと入っていきます。もし、脇本選手がかましてきた時にも3番手に入れるので、いずれにしても、有利なポジションでレースを進められるのは間違いありません。
郡司選手がそのポジションから捲りを打って行ったのならば、初日の特選の再現は充分に可能と言えるでしょう。ただ前受けをした犬伏選手がマイペースで先行してしまうと、思った以上にかかってしまうので、その場合は前残りもあるかもしれません。
印としては◎①郡司選手、〇⑨松谷選手、△③脇本選手、×⑧久米選手に打ちます。久米選手は今大会で勝利こそあげていませんが、先行していけるような脚力を備えています。
久米選手にとって犬伏選手の番手は、願っても無い位置取りとなっただけに、そこから抜け出すような展開となれば、高配当の使者ともなってくれそうです。
鈴木誠
千葉県市原市出身。日本競輪学校第55期卒。千葉経大付属高校の頃から競輪に没頭し、吉井秀仁氏に師事。現役時代はすべての戦法を完璧にこなし、「本物の自在型選手」と評されるほど多彩なストロングポイントを武器に、引退するまで長きにわたってトップ選手として君臨した。現役時代は通算3058戦665勝、優勝109回(うちGIは競輪祭新人王を含め4回、GP1回)、年間賞金王1回、通算獲得賞金は17億を超える。18年7月に、ケガのため惜しまれつつ引退。引退後は選手経験を生かし、解説者として活躍。スピードチャンネルなどの番組にも出演している。