2025/07/29 (火) 12:00 9
江戸鷹の愛称でおなじみの競輪評論家・山口健治氏のコラム。今回は競輪界のお盆の風物詩となりつつある「オールスター競輪」について。当時の思い出や歴史、さらに今年の注目選手を挙げてもらいます。
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みなさんこんにちは! 山口健治です。いやー、それにしても暑い! みなさん体調を崩したりしていないですか? 先月のこのコラムでも暑くなってきたと言いましたが、その時よりも厳しさが増している気が…。8月になったらさらに気温も高くなるかもしれません。大事なことなので今月も言いますね。水分はしっかり摂りましょう!
さぁ、まもなく8月。競輪界で8月といえばオールスターだね。俺が現役の頃は涼しくなり始めた9月の彼岸の時期に開催されていた。でも10年位前かな、真夏に行われるようになって、今ではお盆開催がすっかり定着してきた(※2016年から8月開催になった)。ということで今回はオールスターについてちょっと語らせてもらおうと思う。
オールスターに初めて出場したのは1977年の千葉開催。そのころはデビューしてまだ10か月くらいだったので出場権はなかったんだけど、推薦選手に選ばれて走ることができた。
決勝にも結構上がれたし、大会相性は良かった。ただ優勝にはあと一歩届かなかったんだよね。一番惜しかったのは西宮(1984年)。まくり切った吉井(秀仁)を差せず2着だった。あれをチョコンと差していれば俺もオールスター覇者の仲間入りができたんだけど。滝澤(正光)が行けなかった上を吉井がまくっちゃったんだよね。あの時の吉井は強かったよ(笑)。
苦い思い出はオールスターに向けて練習している時に体調を崩したこと。なんとか出場はしたんだけど、あっさり予選敗退だった(苦笑)。
ファン投票も昔からあったかな。当時は中野浩一さんという大スターがいたから、1位はいつもダントツで中野さん。俺は1位になったことはなかったけど、ドリームレースにはよく選んでもらっていた。このオールスターのドリームレースというのは特別な雰囲気があった。選ばれると責任感や緊張感もあったけど、それ以上にとにかく走れることがうれしかったね。オールスターはどこか「お祭り」のようなムードがあって、「ザ・GI」って感じでみんながピリピリしていたダービーや宮杯の時とはちょっと空気が違っていたんだよ。
さて、今年のファン投票1位は去年に続いて古性優作だった。この結果に異を唱える者はいないだろう。それくらい今の古性は競輪界でも“抜けた存在”といえるんじゃないかな。ただ、残念ながらサマーナイトフェスティバルの準決勝で落車してしまった。ケガの具合が心配で、まず本番までに治るのか、出場できたとしてどこまで調子を戻せているのか。
いずれにしても厳しい戦いになるかもしれないが、古性にはこういう逆境を跳ね返す力と、むしろそれを糧にしてさらに強くなる力がある。まずは早期の回復を祈ろうと思う。そして出場できるようなら、ファン投票1位からのドリームレース1着、そして決勝も制する「完全優勝」を期待したい。なんといっても、ドリームレースを勝って、そのまま優勝した選手というのは意外とあまりいないからだ。
あと、若手の活躍が多いのもオールスターの特徴だと思う。新たなスターが誕生するようなら、それは競輪界にとってもうれしいことだ。
また、今年から「女子オールスター」もGIとして開催されることになった。俺が現役の頃は、まさかこんな時代が来るなんて全く想像もしていなかった。ガールズケイリンのファン投票1位には9年連続で児玉碧衣が選ばれた。人気も実力もある選手で、多くのファンが児玉の久々のGI制覇を望んでいるのだろう。ほかにもこの大会でGI初出場を果たす人気選手が何人かいるよね。いつものガールズGIとはちょっと違う展開になるかもしれないし、どんなレースになるのか今から楽しみだ。
今年のオールスターは第68回大会になる。歴史の積み重ねでここまできたし、今年も新たな歴史を作るような熱いレースを男女ともに見せてほしいね。そして、投票してくれたファンに走りで恩返しをしてもらえればと思う。
※(文中敬称略)
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山口健治
Kenji Yamaguchi
山口 健治(ヤマグチ ケンジ) 東京都荒川区出身 “ヤマケン”、“江戸鷹”の愛称で親しまれる元トップ競輪選手。兄を追い38期生として在所1位でデビューし、3年も経たずうちダービー王に輝く。その後は競輪祭を二度制覇し長らく活躍するも2009年に惜しまれつつ引退。現在はスポーツ報知の競輪評論家として活躍中。