2025/04/13 (日) 10:00 21
KEIRINグランプリ二度制覇!“ヤマコウ”の愛称で知られる山口幸二さんの予想コラム。元トップレーサーならではの鋭い読みは必見です。
武雄競輪開設75周年記念大楠賞争奪戦GIII決勝メンバーが決まりました。ライン構成は以下の通りです。
⑤嘉永泰斗(熊本・113期)ー①山田庸平(佐賀・94期)ー⑥山口貴弘(佐賀・92期)ー⑧園田匠(福岡・87期)
②坂井洋(栃木・113期)ー④杉森輝大(茨城・103期)ー⑦高橋築(東京・109期)
③太田海也(岡山・121期)ー⑨山田久徳(京都・93期)
今節話題になったのは、二次予選11Rの成田和也(福島・88期)と小倉竜二(徳島・77期)の『競り』ですね。新山響平(青森・107期)が当日欠場して急遽決まった対決ですが、私は地区違いの大物選手がラインを組む「サプライズ」と言われる連係より、こっちの方が「サプライズ」で、ドリームマッチを見るようでドキドキします。
結果は成田が勝って2着。競りの技術は対等でも、急遽目標がいなくなり「競るしかない」と覚悟を決めた差が出たのかなと思います。成田はスタートから外競りで『競りにいくマーク選手の流儀』を貫きました。周回中の間合いは互角です。しかし、レースが打鐘まで動かなかったため、小倉が自分のコースを確保するため成田に当たります。これが敗因に繋がりました。成田はヨコの動きよりも小倉より肩が前に出ることだけに集中していました。そして石原が仕掛けた瞬間に締め込んで小倉のコースを遮ります。ギリギリまで待った成田の胆力が勝敗の行方を決めました。大ギヤの影響で繊細なヨコの動きが難しいと言われる『競り』ですが、両者の戦いはどつき合いではなく技術のぶつけ合いでした。残念ながら両者とも決勝に乗れませんでしたが、良いものを見せてもらいました。
さて決勝ですが、九州ラインが地元地区でラインの戦いを優先するように思います。前受けして突っ張ることも考えているでしょう。その時は中団が②坂井で後攻めが③太田です。②坂井は九州と③太田のもがき合い待ちですが、③太田に前を取られると自身が後攻めになり、③太田に突っ張られる懸念もあるので、前受けも考えているかもしれません。九州が前で考えます。
S.⑤①⑥⑧ ②④⑦ ③⑨
⑤嘉永は③太田を突っ張らなければ②坂井と中団の取り合いになり、九州全滅になる可能性もあるのでそれは避けたいはず。てことは前なら突っ張り先行ですね。
←③⑨
打鐘 ←⑤①⑥⑧ ②④⑦
これは②坂井が理想とするレース展開です。脚を使う⑤嘉永と③太田の動きを見て②坂井が仕掛けます。それより先に仕掛けたいのが①山田でしょう。連日追込みで自力の強さは未知ですが、坂井に行かれると⑤嘉永の動きが無駄になるので躊躇せず自力に転じると思います。
←③⑨
H.⑤①⑥⑧ ②④⑦
←③⑨ ②④⑦
B.⑤ ①⑥⑧
⑤嘉永が先行して①山田がチャンスをつかむのが本線。
本線
・1=2ー468
穴目は②坂井の読みが外れ、③太田と九州勢とやり合わなかった時ですね。
別線
3-921-9214
⑤嘉永が地元の前を回り、まくり不発で終わるイメージが湧きません。ダービーを見据えて布石を打つと読んでこの狙い目にしました。
山口幸二
Yamaguchi Kouji
岐阜県大垣市出身。日本競輪学校62期卒業の元競輪選手。1988年9月に大垣競輪場でデビュー、初勝利。1998年のオールスター競輪で完全優勝、同年のKEIRINグランプリ'98覇者となる。2008年には選手会岐阜支部の支部長に就任し、公務をこなしながらレースに励む。2011年、KEIRINグランプリ2011に出場。大会最年長の43歳で、13年ぶり2度目のグランプリ制覇を果たし、賞金王も獲得した。2012年12月に選手を引退、現在は競輪解説者としてレース解説、コラム執筆など幅広く活動する。父・山口啓は元競輪選手であり、弟の山口富生(68期)、息子の山口聖矢(115期)・山口拳矢(117期)は現役で活躍中。