2025/03/23 (日) 08:15 29
KEIRINグランプリ二度制覇!“ヤマコウ”の愛称で知られる山口幸二さんの予想コラム。元トップレーサーならではの鋭い読みは必見です。
伊東温泉競輪第9回ウィナーズカップGIIの決勝メンバーが出揃いました。メンバー、ライン構成は以下の通り。
②郡司浩平(神奈川・99期)ー④深谷知広(静岡・96期)ー⑨岩本俊介(千葉・94期)
③新山響平(青森・107期)ー⑧浅井康太(三重・90期)
⑤寺崎浩平(福井・117期)ー①古性優作(大阪・100期)ー⑥村田雅一(兵庫・90期)
⑦眞杉匠(栃木・113期)
このメンバーで目を引くのは⑦眞杉の勝ち上がり方です。初日は主導権を取ろうとする取鳥雄吾(岡山・107期)の3番手に収まりながら、打鐘で巻き返す深谷に当たり取鳥を叩きます。深谷のスピードはかなり良かったので止めるのは難しく、さらに取鳥まで叩いたことに驚きました。そして3着。今はギアが重いのでバランスを崩しながら前に踏むのはとても困難です。それをサラッとやってのける⑦眞杉は日毎に成長していると感じました。
それは準決勝も同じです。先行意欲が高いのは林慶次郎(福岡・111期)で、番手は自力がある山田庸平(佐賀・94期)。33バンクは仕掛け所を間違えると、番手の選手に簡単に合わされるリスクがあります。眞杉はホーム線直前で仕掛けました。ここで仕掛けると外に膨らむ1角でスピードが乗ったまま牽制を越えられます。ただ、最終ホームはスピードが乗っている所なので、余裕がないと仕掛けられません。ホームは番手選手が前に踏むのをためらい、ひと息付きたい所でもあります。スピード差もあって山田のブロックを越えて2角で先頭に出ます。そこからも眞杉は魅せました。まくる佐々木眞也(神奈川・117期)に最終4角で頭を引っ掛けて踏み勝ちます。普通なら4角で頭を出す時点で内側の選手が脚が一杯のケースが多いですね。眞杉は「ただがむしゃらに前に踏んでいるだけです」とは言うものの、自然に自転車が出ているのは好調の証でしょうね。
さて、レースはどう進むでしょうか。②郡司は④深谷の前を回りますが、自分も残る自力を考えていると思います。名古屋記念の決勝のような感じですね。理想は⑤寺崎に前を取ってもらい中団です。後ろ攻めが③新山です。
S.⑤①⑥ ②④⑨ ③⑧ ⑦
③新山の動きに合わせて②郡司が動きます。⑤寺崎は脚を使いたくないのであまり抵抗しないと思います。中団は②郡司が取るでしょう。
2.③⑧ ⑦ ②④⑨ ⑤①⑥
②郡司は④深谷の前を回る以上、3番手を⑦眞杉と取り合って自滅するより、早めの動きを心掛けると思います。
←②④⑨
H.③⑧ ⑦ ⑤①⑥
←⑤①⑥
②④⑨
B.③⑧ ⑦
準決勝、①古性に捲られながらも2着に粘る③新山の先行はデキの良さを感じました。②郡司も簡単に捕えることはできないと思います。混戦を捲る⑤寺崎を本命に推します。
本線
・5-1-6784
⑤寺崎が捲れない時は⑦眞杉が3番手から有利に進めます。⑦眞杉の後ろは②郡司が回っていますね。
別線
・7=2-481
・7-384-3814
縦足に専念したい②郡司が3番手を⑦眞杉と取り合うことはないと思います。好位を回っているのは⑦眞杉ですね。早めの巻き返しを図る⑦郡司、混戦待ちの⑤寺崎といった構図です。ちょっとした判断ミスが勝機を逃す33バンクだけに感性が鋭い選手が優勝に近いでしょう。
山口幸二
Yamaguchi Kouji
岐阜県大垣市出身。日本競輪学校62期卒業の元競輪選手。1988年9月に大垣競輪場でデビュー、初勝利。1998年のオールスター競輪で完全優勝、同年のKEIRINグランプリ'98覇者となる。2008年には選手会岐阜支部の支部長に就任し、公務をこなしながらレースに励む。2011年、KEIRINグランプリ2011に出場。大会最年長の43歳で、13年ぶり2度目のグランプリ制覇を果たし、賞金王も獲得した。2012年12月に選手を引退、現在は競輪解説者としてレース解説、コラム執筆など幅広く活動する。父・山口啓は元競輪選手であり、弟の山口富生(68期)、息子の山口聖矢(115期)・山口拳矢(117期)は現役で活躍中。