2025/11/16 (日) 08:00 17
KEIRINグランプリ二度制覇!“ヤマコウ”の愛称で知られる山口幸二さんの予想コラム。元トップレーサーならではの鋭い読みは必見です。
小田原施設整備等協賛競輪G3決勝メンバーがそろいました。G1前の開催なので、「抜けた存在」はいませんが、脚力は拮抗してそれが味となっています。強い選手たちと比較して「自分が何をしたいのか」が分からない選手も多く、行き当たりばったりの組み立てでは殻は破れません。脚力も大切ですが、展開を運任せではなく自分自身で切り開くことも欠かせません。
メンバー、ライン構成は以下の通りです。
①松坂洋平(神奈川・89期)
②山田諒(岐阜・113期)-⑦西村光太(三重・96期)
⑨阿部将大(大分・117期)-⑤宮本隼輔(熊本・113期)-③塚本大樹(熊本・96期)
⑥一戸康宏(埼玉・101期)-④岡本大嗣(東京・88期)-⑧志村太賀(山梨・90期)
連日レース内容がいいのは②山田諒と⑨阿部将大ですね。山田は自在戦が板に付いてきて流れを読むことに長けてきた、逆に阿部はヨコの動きもできますが、あえて封印して大きな舞台まで余力を残している印象です。両者とも、G1前の開催だからこそ走りがハマっているように見えますし、逆に言えば、普段はそれをさせないトップ勢の強さがよく分かります。
隙を突く走りに徹するのが地元の①松坂洋平でしょうね。展開有利に決勝に乗りましたが、目標がいない決勝は苦戦が考えられます。まずは前受けラインに続いて好位狙いが濃厚でしょう。初手は直線短い小田原バンクなので、前を取ったラインが一度突っ張って中団を確保するレースが多いですね。これをやりやすいのは車番がいい②山田だと考えます。そこへ⑨阿部が飛んでくれば番手を含めた柔軟な立ち回りが想定されます。
S.②⑦ ① ⑨⑤③ ⑥④⑧
動きがいい⑥一戸ですが、②山田に突っ張られると脚を貯めざるを得ない。ペースが一度落ちたところで⑨阿部がカマシを狙う展開ですね。
打鐘.←⑨⑤③
②⑦ ① ⑥④⑧
②山田は⑤宮本の追走が甘ければ飛び付きまで狙ってくるでしょう。まずは九州勢が3人で先手を取れたら有利なのは⑤宮本ですね。
H.⑨⑤③ ②⑦ ① ⑥④⑧
そこから…
←②⑦
B.⑨⑤③ ① ⑥④⑧
九州先行、⑤宮本が番手を無風で回れたら⑤宮本を中心に狙うのが本線。②山田のまくりに合わせて前に踏み込む展開もあります。
・5-93-93127
②山田が番手に飛び付いたパターン。⑤宮本にとって厳しい展開ですね。
H. ⑨⑤③ ←⑥④⑧
②⑦ ①
←⑥④⑧
⑤③
B.⑨ ②⑦ ①
・2=7-193
②山田が前に踏んで番手や3番手を奪う展開なら⑦西村も優勝争いに食い込めます。
G1前の開催で「G3優勝」が大きな意味を持つ大会です。トップ戦線の足掛かりを作りたい選手にとっては、ここが試金石となります。この大会で“自分の形”を掴めるかどうか、その差が結果となって表れそうです。
山口幸二
Yamaguchi Kouji
岐阜県大垣市出身。日本競輪学校62期卒業の元競輪選手。1988年9月に大垣競輪場でデビュー、初勝利。1998年のオールスター競輪で完全優勝、同年のKEIRINグランプリ'98覇者となる。2008年には選手会岐阜支部の支部長に就任し、公務をこなしながらレースに励む。2011年、KEIRINグランプリ2011に出場。大会最年長の43歳で、13年ぶり2度目のグランプリ制覇を果たし、賞金王も獲得した。2012年12月に選手を引退、現在は競輪解説者としてレース解説、コラム執筆など幅広く活動する。父・山口啓は元競輪選手であり、弟の山口富生(68期)、息子の山口聖矢(115期)・山口拳矢(117期)は現役で活躍中。
