2025/01/16 (木) 08:00 5
正月気分も抜け、いよいよ本格的に世の中が動き出した。思えば現役のころは、「一年の計は元旦にあり!」と自分を戒め、紅白歌合戦やゆく年くる年などもほとんど見ることはなく早寝をし摂生をしていたっけ。元旦には朝練を兼ねて、薄暗い中レーサーに跨がり海岸までひとっ走り。そこで初日の出を拝むことが元旦の行事だったよ! 太陽が昇ってくる瞬間は神々しく、「今年もやるぞ!」と気持ち新たに誓っていたね!
それから雑煮を食し競輪場へ直行。競輪場に着けば先輩たちを見つけて直立不動になり新年の挨拶を交わす。そこから先輩の号令で一斉に初乗りをするんだ。その初乗りには約束事があって、ゆっくりと周回を重ね千切れることなく全員で終了するのが慣わしだった。「正月早々千切れるのは縁起が悪い」という理由でご法度。あの頃の選手は結構ゲン担ぎをしたもんだよ。現代はあんな事を果たしてやってるのか? 良いか悪いかわからないが古い良き時代だったよね。
さて、東日本発祥倉茂記念杯がはじまる。S班は地元のエース平原康多に脇本雄太と北井佑季が参戦になる。地元からは武藤龍生に森田優弥と宿口陽一に群馬の佐々木悠葵が加わり関東地区の層が厚い。他地区をみれば寺崎浩平や伊藤颯馬、佐々木眞也らが上位陣に肉薄しそうで、激戦必至になる。
注目は昨年のグランプリで脇本に翻弄され、主導権を取れず惨敗した北井。ここがリベンジとばかりに燃えに燃えて挑むはず。そうなればもつれる。ここに関東勢が参戦してくれば混戦激戦になり穴党にはもってこいになるべ。
さらに500バンクを恐れ自力型は躊躇し仕掛けが遅くなったりする。そうすると逃げても十分戦えたりして「え」?と拍子抜けすることもあるんだよ。とにかくここは難しいこと請け合いのバンクだね。
妄想枠?ではないかもしれないが、狙えるのは根田空史が良いね。展開を考えずドカンと仕掛けられれば、パワーでねじ伏せるシーンがある。そしてA級上りの徳田匠がこれまた良い。積極的に攻めれば同格戦で真価を発揮しそうだし、勝ち上がったら近畿勢には強い味方になるはず。さらに、脚をため一発に懸ければ外田心斗の大外強襲は魅力だよね。
妄想は5Rにする。⑦山口多聞-①雨谷一樹-⑤山下渡の関東ライン、⑨平尾一晃-②嶋田誠也-⑥名川豊の九州ライン、近畿中部は⑧徳田匠-③岡崎智哉-④今藤康裕の三分戦となっている。初手は雨谷がスタートを決め山口が前受けから入る。枠なりで九州ラインの平尾が中団になり、後方は徳田ライン。(⇐⑦①⑤・⑨②⑥・⑧③④)
本線は勝負どころで徳田が押さえ、平尾が叩く。そこを山口が素早く巻き返し雨谷が抜け出し、山口の残り①-⑦、山下の流れ込み①-⑤、徳田に乗り強襲する番手車券岡崎①=③までが本線になるね。
妄想の狙い目は山口が前受けから。スタートの早い徳田がこの後を追う。そうなれば平尾が押さえる。平尾は出て流し、山口は内に詰まって抜け出せない(⇐⑧③④・⑨②⑥・⑦①⑤)。そこを徳田がかませば岡崎が車間を切る。そうなると徳田が逃げ残り③-⑧、平尾に乗り嶋田が強襲し③-②。脚をためる平尾の一発が怖いし②③⑧⑨ボックスで妄想〆にしとくべ!
吉井秀仁
Yoshii Hidehito
千葉県茂原市出身。日本競輪学校第38期卒。選手時代はその逃げるスピードの速さから「2週半逃げ切る男」と称され人気を集める。1978年競輪祭新人王戦を制し、翌年も小倉競輪祭の頂点に立つ。1980年の日本選手権は完全優勝、1984年オールスター競輪でも覇者となり、選手としての一時代を築き上げた。現役引退後はTV解説者やレポーターとして活躍、競輪場での予想会イベントやYoutubeのライブ配信なども精力的におこなっている。ファンからは「競輪客のような解説者」と親しまれており、独特のひらめきによる車券戦術を数多く披露している。