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筋トレマニア加藤慎平の筋肉で語る競輪

【筋肉診断】オールスター競輪に出場する芦澤大輔選手、柴崎淳選手を解説!

2021/08/10 (火) 13:00 4

加藤慎平の「筋肉診断」。今回はいわき平競輪「第64回オールスター競輪(GI)」に出場する芦澤大輔選手と柴崎淳選手を解説する。

⚫︎芦澤大輔

撮影:島尻譲

撮影:島尻譲

 身長は170cm、体重は82kgとデータ上ではガッチリ系だが、体脂肪率が少ないため身体は数字ほど大きく見えない。

 その理由として、ラグビーをやっていたことが関係している。高校時代はラグビーでオール茨城に選出されたほどの芦澤選手は、フィジカル能力を持ち、体幹部は充分な太さがある。

 それでいて下半身にはそこまで筋肉がついていない。膝頭は小さく、そこに付着する大腿四頭筋とカーフ(ふくらはぎ)とのコントラストが、非常にアスリートチックで素晴らしい。

 上半身はしっかりと、下半身は引き締まっているのは、彼がウイングだったからだろう。スクラムなどでぶつかり合うフォワードではなく、イン側を俊足で走り抜けるポジションを担当することで、メリハリのあるボディーができたわけだ。

 そして芦澤選手と言えば、「最後の昭和競輪伝承者」と言われるほど、漢字の競輪にこだわる選手である。目標が居なければ1番強い先行選手の番手で競る。捲くってきた選手をしっかりとブロックしてアシストする。いたってシンプルな戦法を徹底しているのだ。

 関東ラインの番手に彼が居ることで、他のラインが脅威に感じる事は間違い無い。関東の自力選手達からの信頼が厚いのもうなずける。

●柴崎淳

撮影:島尻譲

撮影:島尻譲

 身長は173cm、体重は79kgと数値だけ見ると非常に均整のとれた体型である。人体というのはそんな簡単なものではないが、実際の見た目、身体バランスが完璧である。

 端正なルックス、明るい性格、高校時代から自転車競技のスプリントカテゴリーを総ナメ、若くして記念(GIII)も制覇し、愛車はマセラティ。

 そんなスーパーエリートの柴崎選手なのだが、このコラムは筋肉に特化したコラムである。柴崎選手の筋肉はどうなのか。これまた理想的である。ピュアスプリンター特有の、短い長さでメリハリの効いた筋肉の付着の仕方だ。

 とくに秀逸なのは下肢(下半身)のバランス。適度なボリュームも持ち合わせているが膝関節、足首が細くキレのある回転が出せる条件が揃っている。自転車競技においてトップスピードの高い選手はこのような特徴を兼ね備えていることが多い。

 とはいえ柴崎選手もデビュー当初から今のフィジカル・筋量を持っているわけではなかった。筆者と柴崎選手は昔から親交があり、よく一緒に合宿に行ったものだ。当時は身体の線も細く『ダッシュ、トップスピードだけが高いスプリンター』と言う感じだった。しかし年月を重ね、“重厚感”と“抜き”のテクニックが備わり、オールラウンダーになった印象だ。

 上半身に目を移しても、体幹部や広背筋がとくに発達して太いわけでもない。トータルパッケージ(身体全体)のバランスの良さで攻めるタイプだろう。

 そんな超ハイスペックなアッちゃん(柴崎選手)なのだが、1つ物申したい事がある。あのコロコロ変わる髪型はいかがなものか? アッちゃんはワイルド系の髪型を好むのだが、正直端正なルックスを生かしきれていないと思う。ミディアムヘアでスパイラルパーマを掛け、前髪はアップにし清潔感を出す。アッちゃんにはワイルド系よりも綺麗め系が似合うに違いない。…なんの話だ。

 最後に。若くしてGIにも出走したアッちゃんは本当に不運だった。当時の中部は個性の強烈な先輩達(僕も含め)が沢山居た時代。その先輩達を引き連れ先行勝負をした回数は数え切れないだろう。

 同じ環境の浅井康太(三重・90期)は自分の力で道を切り開き、競輪界の頂点まで上り詰めた。アッちゃんにもその能力はある。本当に報われて欲しいと思う。

 吉田敏洋、浅井康太、柴崎淳の3人は僕の盟友だ。同じ時代に苦楽を共にしたメンバーの活躍を心から願っている。

⚫︎本レースで注目すべき選手は…?

 東京オリンピックを終えた新田祐大、脇本雄太選手が、今回から国内競輪に復帰。この2人が優勝候補に浮上するのは間違いない。競輪界のパワーバランスは一気に崩れるだろう。

 問題は番手を回る選手が付いて行けるかどうかだ。特に脇本選手は先行勝負が基本。打鐘ガマシに付いていけさえすれば、古性優作、稲川翔、村上義弘、村上博之選手のチャンスが一気に広がる。今開催は近畿地区が躍進する可能性が高いと読む。

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筋トレマニア加藤慎平の筋肉で語る競輪

加藤慎平

Kato Shimpei

岐阜県出身。競輪学校81期生。1998年8月に名古屋競輪場でデビュー。2000年競輪祭新人王(現ヤンググランプリ)を獲得した後、2005年に全日本選抜競輪(GI)を優勝。そして同年のKEIRINグランプリ05を制覇し競輪界の頂点に立つ。そしてその年の最高殊勲選手賞(MVP)、年間賞金王、さらには月間獲得賞金最高記録(1億3000万円)を樹立。この記録は未だ抜かれておらず塗り替える事が困難な記録として燦々と輝いている。2018年、現役20年の節目で競輪選手を引退し、現在は様々な媒体で解説者・コメンテーター・コラムニストとして活躍中。自他ともに認める筋トレマニアであり、所有するトレーニング施設では競輪選手をはじめとするアスリートのパーソナルトレーニングを務める。

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