2024/12/23 (月) 15:00 39
“光陰矢の如し”ってほどじゃねえが、あっという間にグランプリの時期を迎えたね。少し今年を振り返ってみるべ。
昨年、郡司浩平と平原康多がS班を陥落し、時代の移り変わりとともに新陳代謝が始まったかと思われたが、郡司が全日本選抜競輪を取り、平原康多がダービーの初優勝を成し遂げ、早々にグランプリ出場権とS班のカムバックを決めた。正直タマゲタよ! あえて言えば、まだ底力のあることを証明したってことだよね。
一方、北井佑季がラインの結束で高松宮記念杯の初タイトルをモノにした。この前半戦だけでS班の入れ替わりが3人になりグランプリ出場権とS班は「残り6席」になった。こうなると、ますます熾烈なレースが展開されると踏んでいたっけ。だが、その後、古性優作がオールスター競輪と寛仁親王牌を、脇本雄太が小倉競輪祭を取り現S班の面目躍如ってことで、ほぼ順当な結果に落ち着いたっけ。
一方、競輪祭を前に賞金ランキング9位の岩本俊介は薄氷を踏む思いだったに違いない。競輪祭の決勝戦が終わってみなければわからないところまで追い込まれていた。だが結果は岩本俊介に女神が微笑み、初のグランプリ出場を決めてくれた。オレにとっては同郷の後輩・和田健太郎以来のS班の誕生は嬉しい限りだ。これでグランプリは南関勢3人が揃い、ラインの厚みができた。
脇本、古性の近畿コンビに眞杉匠、平原康多の関東コンビがいるが、ラインの厚みで言えば南関勢が優位に思えるが、はたして。
ともあれ、グランプリの並びを整理し、検討に入ってみっか。関東コンビは④眞杉匠-②平原康多、南関勢は⑦北井佑季-③郡司浩平-⑤岩本俊介、近畿コンビは⑨脇本雄太-①古性優作で順当な並びに落ち着いた。後は⑧新山響平と⑥清水裕友が単騎となっている(⇐④②・⑦③⑤・⑨①・⑧・⑥)。
古性が1番車になった事で前受けか中団は脇本が取れる。脇本が前なら清水はその後を追う。眞杉が北井の上昇に合わせ切りに行く。そうなれば北井の逃げがほぼほぼ有力視され、番手の郡司に展開が向いてくる(⇐⑦③⑤・④②・⑥・⑨①・⑧)。では、相手となると位置取りの厳しい眞杉が南関勢の後位を狙うはず。もしくは岩本を捌いて郡司の後位を取る。
眞杉の仕掛けだが、早めの仕掛けだと脇本を引き出す。それを避けるためには遅い仕掛けがベストということになる。車券は郡司、眞杉③=④が本線。眞杉の動きを伺い後方から脇本が早めに仕掛ければ郡司がブロックし前に踏む。そうなれば古性が強襲し郡司、古性の番手車券③=①。脇本が出切ったときの近畿ワンツー古性、脇本①=⑨は押さえたいね。
おっと、妄想展開もやっておかねばね! もちろん北井の逃げから入るとこまでは一緒。郡司が後方からの仕掛けに合わせバンマク! そうなれば『南関でグランプリを取っているのは、千葉だけ』が思い起こされる。しかも4人(滝澤正光、鈴木誠、海老根恵太、和田健太郎)が栄冠に輝いている。理屈抜きに“グランプリの流れは千葉”にあり!
岩本俊介のV大有り。郡司の残り⑤-③に、同郷の後輩を応援する意味でも手広くいって岩本から⑤-全-全で1年の妄想締めくくりにするべ!
グランプリの前にも注目すべき戦いがある。ガールズグランプリは佐藤水菜のひとり舞台の様相が濃く、相手探しになってこよう。はたして「世界のサトミナ」に土をつけることができるのか? できるとすればどの選手なのか。焦点はそこになる。また、ヤンググランプリでは太田海也と中野慎詞のナショナルチーム対決が濃厚に思える。ここに割って入るのが後藤大輝、村田祐樹、纐纈洸翔になるか。
ざっと振り返りグランプリシリーズを展望してみたが。これを書いていてもケツがもぞもぞし、アレやこれやと妄想が膨らみ出し、はやる気持ちが押さえきれそうにない。どうなる? グランプリ覇者は? まだ時間はある! 落ち着くには酒を飲んで寝るに限るべか!
吉井秀仁
Yoshii Hidehito
千葉県茂原市出身。日本競輪学校第38期卒。選手時代はその逃げるスピードの速さから「2週半逃げ切る男」と称され人気を集める。1978年競輪祭新人王戦を制し、翌年も小倉競輪祭の頂点に立つ。1980年の日本選手権は完全優勝、1984年オールスター競輪でも覇者となり、選手としての一時代を築き上げた。現役引退後はTV解説者やレポーターとして活躍、競輪場での予想会イベントやYoutubeのライブ配信なども精力的におこなっている。ファンからは「競輪客のような解説者」と親しまれており、独特のひらめきによる車券戦術を数多く披露している。