2024/12/03 (火) 12:00 5
現役時代はトップ選手として長く活躍し、現在は評論家として活動する鈴木誠氏の競輪予想コラム。今回は大垣競輪場で開催されている水都大垣杯の決勝レース展望です。
今年の【水都大垣杯】には、【競輪祭】にも出場していた選手が参戦してきました。
中でも注目だったのは、初めてのグランプリ出場が決まった北井佑季選手でしたが、今大会は二次予選で敗退。一方でSS班陥落が決まった松浦悠士選手、山口拳矢選手は揃って決勝へと進出しています。
北井選手の最近の走りを見ていると、バックでのかかりが良くない印象を受けます。グランプリまでの残り1か月で、どこまで修正してくるかですが、最終日はその足がかりとなるようなレースを期待しています。
一方で今大会は松浦選手が、競輪祭で見せた調子の良さを持続するような走りを見せています。その松浦選手よりも更に好調と言えるのが、ここまで3連勝で来ている中野慎詞選手です。
準決勝は番手で瓜生崇智選手と、恩田淳平選手の競りが繰り広げられていました。先行選手としては番手で競られると、後ろの状況が見えづらくなる上に、他のラインへの牽制の意味で、車を外に振った際には、外で競っている選手の車輪と接触する可能性もあります。
中野選手も非常にレースがしづらかったはずです。それでも果敢に突っ張り先行をしていくと、スピードの違いでゴールまで押し切ってみせました。上がりタイムの11秒フラットもかなり優秀です。
このレースで2着となった瓜生選手が、西日本での連係を外して、決勝でも中野選手の番手を主張したのも、実際に番手を走ってみたことで、優勝の可能性を感じ取ったのでしょう。
③中野慎詞選手-④瓜生崇智選手以外の決勝の並びは、①松浦悠士選手-⑨中本匠栄選手の西日本ライン、②山口拳矢選手-⑧不破将登選手の地元岐阜ラインとここまでは2車。唯一の3車連係となった関東ラインの並びは、⑦森田優弥選手-⑤坂井洋選手-⑥白岩大助選手となりました。
車番的にスタートを取りそうなのが松浦選手です。その後ろが岐阜の2人、混成ラインの2人を挟んで、7番手となった関東ラインが西日本ラインを抑えにかかる展開が想定されます。
ここで森田選手はいったん前には出ますが、先行するのは、やはり中野選手となるでしょう。他のラインとしても先行していく中野選手には離されたくないところですが、そこで、3番手の飛びつきを狙っていくのが森田選手だと見ています。
それどころか、森田選手は横の動きもできます。競りにも行けるだけでなく、瓜生選手が車間を空けてしまったのならば、中野選手の番手を奪う可能性も考えられます。
一方、中野選手はライン戦とは言えども、後ろに付けているのが他地区の瓜生選手だけに、自分の踏める距離からのレースを考えているはずです。準決勝のように、後ろを気にすることなくレースを進められそうであり、先行さえしてしまえば、ゴールまで残す公算は強くなります。
松浦選手も山口選手も中野選手-瓜生選手の3番手を狙ってはいきたいところですが、そのためには後方から脚を使いながら、かかっている中野選手を追走していかなければいけません。
その辺りはスタートでの並びだけでなく、中野選手がジャンの前から動き出しを図ったときに、どう判断していくかがポイントとなってきます。
印としては◎は中野選手、◯は瓜生選手。△は森田選手で、×坂井選手となります。ただ、先ほども書いたように、森田選手が中野選手の番手に入った時には、ゴール前で中野選手を交わす可能性も充分に考えられます。坂井選手と共にこの決勝で高配当をもたらすのは、関東の選手となりそうです。
鈴木誠
千葉県市原市出身。日本競輪学校第55期卒。千葉経大付属高校の頃から競輪に没頭し、吉井秀仁氏に師事。現役時代はすべての戦法を完璧にこなし、「本物の自在型選手」と評されるほど多彩なストロングポイントを武器に、引退するまで長きにわたってトップ選手として君臨した。現役時代は通算3058戦665勝、優勝109回(うちGIは競輪祭新人王を含め4回、GP1回)、年間賞金王1回、通算獲得賞金は17億を超える。18年7月に、ケガのため惜しまれつつ引退。引退後は選手経験を生かし、解説者として活躍。スピードチャンネルなどの番組にも出演している。