2024/11/17 (日) 09:00 20
KEIRINグランプリ二度制覇!“ヤマコウ”の愛称で知られる山口幸二さんの予想コラム。元トップレーサーならではの鋭い読みは必見です。
松阪競輪施設整備等協賛競輪レオニズカップGIII決勝メンバーが出揃いました。車番、ライン構成は以下の通り。
②塚本大樹(熊本・96期)ー⑨堤洋(徳島・75期)
③長島大介(栃木・96期)ー④芦澤辰弘(茨城・95期)ー⑧海老根恵太(千葉・86期)ー⑥中村浩士(千葉・79期)
⑤伏見俊昭(福島・75期)
⑦西村光太(三重・96期)ー①笠松信幸(愛知・84期)
決勝戦は長島大介の自力1車の構成となりました。今回のタイトル名にあるLEONIDS(レオニズ)とは、獅子座流星群という意味で、若獅子のように若手選手が輝いて欲しいという想いもあるようです。
110期以降の若手自力選手が多くあっせんされましたが、星を潰し合い③長島の自力1車となりました。若手自力選手といえども、直後のGI(競輪祭)に参加していない選手たちなので、9車に慣れていないことや松阪バンクの直線が長く、苦戦しました。後は戦法が定まっていない選手も多かったですね。7車ではホームカマシやバックまくりが通用しても、9車になると波を越えられず敗退し、結果第3のラインが決まり荒れる配当につながるレースもありました。
その中で大きな声援を受けていたのは⑤伏見でした。東日本大震災以降、松阪競輪場で練習することが多くなり、本人も地元の気持ちで挑んだと思います。ただ、決勝は長島の3番手も視野に入れていたでしょうが単騎を選択しました。GIIIの決勝は22年3月の名古屋記念以来なので、3番手を回って後悔したくない気持ちもあったと思います。
対照的だったのが⑧海老根です。同じように時代を作った選手であり、記念の決勝も21年前橋記念以来です。それでも悩むことなく「長島の3番手」とコメントしました。
そして地元の⑦西村は「皿屋さんの先行で男気を見せてもらいました。決勝は気持ちで頑張る」と、とにかく気合いを全面に押し出します。準決勝は真ん中を①笠松に入られ3着でしたが、笠松は真っ直ぐ踏んだだけで西村の技量が足りませんでしたね。
気合いが入る地元の⑦西村はどう走るでしょう。彼は縦足重視の追込み選手なので、最低限③長島ラインの5番手を確保したいでしょう。それは②塚本も同じことを考えていてバッティングは避けたいところですね。③長島が前を取ると中団⑦西村、後ろが②塚本になり、後ろが動かないとレースが始まりません。叩いて飛び付く走りでは優勝が難しいと思うので、前受けを考えているかもしれません。②塚本が前でも⑦西村は中団でしょう。こちらで考えます。
②塚本が前なら③長島が動き、④芦澤のところで粘ることもあるでしょう。すんなり出させるようなら⑦西村は7、8番手になるだろうし、⑦西村が②塚本を叩けば5番手、あるいは③長島の番手で粘ることもあると思います。両者とも粘ることを考えたいですね。
【パターン①】
【パターン②】
この時は3=72ー195ですね。
③長島が前受けして誰も動かずのパターンだと関東で決まることもありそうです。3=4ー86 3=8ー46
③長島の自力1車でありながら「自力選手として勝負しきれていない」と言っているので、前受けした選手がズルズルと先行させられることも考えたいですね。どんな決勝になるでしょうか
山口幸二
Yamaguchi Kouji
岐阜県大垣市出身。日本競輪学校62期卒業の元競輪選手。1988年9月に大垣競輪場でデビュー、初勝利。1998年のオールスター競輪で完全優勝、同年のKEIRINグランプリ'98覇者となる。2008年には選手会岐阜支部の支部長に就任し、公務をこなしながらレースに励む。2011年、KEIRINグランプリ2011に出場。大会最年長の43歳で、13年ぶり2度目のグランプリ制覇を果たし、賞金王も獲得した。2012年12月に選手を引退、現在は競輪解説者としてレース解説、コラム執筆など幅広く活動する。父・山口啓は元競輪選手であり、弟の山口富生(68期)、息子の山口聖矢(115期)・山口拳矢(117期)は現役で活躍中。