2024/12/29 (日) 18:15 62
KEIRINグランプリ二度制覇!“ヤマコウ”の愛称で知られる山口幸二さんの予想コラム。元トップレーサーならではの鋭い読みは必見です。
KEIRINグランプリ2024、号砲の時間が近づいて来ました。1年掛けた壮大なトーナメントの最終決戦です。メンバー、ライン構成は以下の通り。
④眞杉匠(栃木・113期)ー②平原康多(埼玉・87期)
⑥清水裕友(山口・105期)
⑦北井佑季(神奈川・119期)ー③郡司浩平(神奈川・99期)ー⑤岩本俊介(千葉・94期)
⑧新山響平(青森・107期)
⑨脇本雄太(福井・94期)ー①古性優作(大阪・100期)
⑧新山にラインができなかったことで⑦北井が主導権を取り易いライン構成になりました。⑦北井の今年を振り返ると、前半戦の強さもオールスター競輪からひと休みした印象です。しかし、先行にこだわりここまで強くなり、高松宮記念杯競輪は郡司の先行に乗ってタイトルを獲っています。
先手を取るのは⑦北井だと思います。ただ、④眞杉や⑥清水も番手奪取を含めた好位狙いなので、どのような先行を考えているでしょうか。
私は⑦北井に早駆けの意思があっても、④眞杉が好位を狙うには踏みながら飛び付くしかないと思うので、2番手、3番手が絡む可能性はあるでしょう。③郡司が絡まれなければ優勝が近づきますね。
次に⑨脇本の仕掛けを考えます。レースのイメージは南関勢が先手を取り、④眞杉がどう絡むのか、そこを仕掛ける⑨脇本という感じです。前受け、あるいは中団から引いて巻き返すパターンです。⑨脇本ー①古性の連係で忘れられないのが7月に行われた松戸サマーナイトフェスティバル決勝です。このレースはGPの参考になりそうなレースです。
前受け脇本で、中団が眞杉、後攻めが北井ー郡司でした。単騎が山口拳矢、新田祐大でメンバー構成はGPと全く同じです。脇本は北井を突っ張り、古性が郡司を捌いて脇本を入れて、北井ー脇本ー古性ー眞杉ー吉田拓矢ー山口ー新田で最終ホームを追加。少し緩んだ残り1周で脇本が仕掛けて、その上を眞杉がまくって優勝しました。単騎の選手も山口=清水、新田=新山と当てはめることができます。
あれから、脇本のライン戦の考え方が少し変わったように感じます。GPも前受けしたら突っ張り先行もあるでしょう。優勝した眞杉は、GPも参考にはなるが同じ展開で勝てるとは思ってないはず。それは南関勢も同じで、後攻めだと脇本に再度突っ張られるかもしれないので前受けを狙うでしょう。そうすると車番的に中団を古性が狙うので、眞杉は後攻めになってしまう。GPは脚を貯めたもの勝ちの要素があるので、私はスタートは④眞杉で考えました。すんなり南関勢が主導権を取ることもあると思います。
松戸は33バンクだったので眞杉が優勝しましたが、静岡バンクは気温も低く、連日ホーム向かい風の400バンクです。眞杉ラインの後ろにいる⑥清水にチャンスがあると考えました。
←⑦③⑤ ⑧
S. ④② ⑥ ⑨①
←⑦③⑤
打鐘. ④② ⑥ ⑧ ⑨①
←⑨①
③⑤
H. ⑦ ④② ⑥ ⑧
←⑨①
③⑤
←④②⑥ ⑧
B.⑦
GPの権威が上がるにつれGIが出場権を賭けたトーナメントのようになって来ました。負けたらワンオブゼムの世界、その中で誰が覇権を掴むのでしょう。
山口幸二
Yamaguchi Kouji
岐阜県大垣市出身。日本競輪学校62期卒業の元競輪選手。1988年9月に大垣競輪場でデビュー、初勝利。1998年のオールスター競輪で完全優勝、同年のKEIRINグランプリ'98覇者となる。2008年には選手会岐阜支部の支部長に就任し、公務をこなしながらレースに励む。2011年、KEIRINグランプリ2011に出場。大会最年長の43歳で、13年ぶり2度目のグランプリ制覇を果たし、賞金王も獲得した。2012年12月に選手を引退、現在は競輪解説者としてレース解説、コラム執筆など幅広く活動する。父・山口啓は元競輪選手であり、弟の山口富生(68期)、息子の山口聖矢(115期)・山口拳矢(117期)は現役で活躍中。