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【競輪祭女子王座戦】6年ぶりのグランプリへ! 尾崎睦「恩返しがしたい、自分のために頑張る時期は過ぎた」/小倉GI注目選手インタビュー

アプリ限定 2024/11/16 (土) 18:00 2

19日〜21日、小倉競輪「競輪祭女子王座戦」が開催となる。本開催の優勝者は年末のガールズグランプリへの優先出場権を手にする。また賞金ランキング争いもここで決着し、大一番への出場選手7名が決定する。今回は直近の賞金争いで熾烈な首位攻防戦を繰り広げているランキング2位・尾崎睦のインタビューをお届けする。(取材・文=アオケイ・八角あすか)

賞金ランキングで首位争いを演じている尾崎睦(撮影:北山宏一)

 2年前、平塚で開催されたガールズグランプリ。そこに地元の尾崎睦の姿はなかった。選考期間内の2度の失格のペナルティーにより、出場は叶わず。その後、あっせん停止を経て復帰するも成績は低迷。時間をかけて自分を取り戻していった尾崎だが、その背景には「多くの支え」があった。“恩返しがしたいーー”。その一心で尾崎は今年、結果を求めた。遠ざかっていた大舞台、今、6年ぶりにその切符を手にしようとしている。

ーー今年は14Vと昨年の6Vを大きく上回る結果を残しています。今年一年、ここまでをふり返っていかかでしょうか。

 昨年からガールズGIが新設されて、GIで活躍したいと今年は強く思っていましたね。そこに向けて練習を積んできました。タイトルを獲ることがモチベーションのひとつになっています。

ーーGIの新設によって目標設定はしやすくなりましたか?

 そうですね。これまでグランプリに出場するには、一生懸命、賞金を積み重ねていくだけだったので。それがGIを優勝できれば、その時点でグランプリ出場が決まるってなったのは大きいと思います。ますます頑張ろうという気持ちが大きくなりましたね。

ーー昨年の競輪祭女子王座戦で決勝5着。今年はオールガールズ(4月久留米)とパールカップ(6月岸和田)で決勝3着とGIで結果を残しています。

 昨年の競輪祭は何となく決勝に乗れてしまったって感じで。だけど、いざ決勝を走り終わってみたら「悔しい」って気持ちがこみ上げてきたんです。「もっともっとやれることはあるし、頑張ったらタイトルに届くかもしれない」と思って。そこから、もっと練習にしっかり取り組もうという意識が高まった。そういう意味では昨年の競輪祭は、ひとつのキッカケになった大会でもあります。

2023年競輪祭女子王座戦決勝、尾崎睦(青・4番車)は悔しさを持ち帰った(写真提供:チャリ・ロト)

ーー話は遡りますが、2年前は賞金ランキング6位ながら、選考期間内の2度の失格によって選考除外(※)。地元開催の平塚グランプリには出場できませんでした。

 その年は平塚でグランプリということもあって、一生懸命そこを目指してやっていて。賞金争いの中、精神的にもギリギリのところで戦ってきて(失格で)ダメになって…。失格は自分のミスです。ただ、正直、気持ちはプツッと切れてしまいましたね。自暴自棄は言い過ぎかもしれないけど、「もういいや」と心が腐りかけていました。

(※)…KEIRINグランプリ選考除外基準

ーー腐りかけましたか…。

 はい、腐っていましたね(苦笑)。

ーーそんな心を「もう一度、頑張ろう」と立て直すまでに、どんな過程があったのでしょうか?

 2か月あっせん停止の期間があったので、普段できないことをしようと思って。旅行に行ったり遊びに行ったり。練習もしていたけど、やっぱり一回切れてしまった糸を結び直すのは時間がかかりましたね。レースに復帰してからも、応援してくださる方たちには申し訳ないんですが、「(勝てなかった時は)仕方ないか」なんて思ったり。レースに向かう姿勢も何となくって感じだったのかな、今思えばですけど。

心の糸が切れていた期間があった(撮影:北山宏一)

ーーその昨年の前半戦は、なかなか波に乗れず苦しい時期でした。少しずつ“らしさ”を取り戻していったように見えましたが、ターニングポイントはあったのでしょうか?

 もう流れに身を任せてという感じでしたね。グランプリ出場がダメになったことで、周りをガッカリさせてしまった。私よりも周囲の人たちを悔しい気持ちにさせてしまったと思います。

 それでも変わらず一緒に練習をしてくれたり、側で支えてくれた人たちが「また頑張れ」って後押しをしてくれて。だけど、長いスパン賞金争いでギリギリのところで戦うのは、もうキツいなと思っていて。そんな時にガールズGIが新設された。優勝を目指して、そこがグランプリに繋がるのなら自分にとっては頑張りやすいのかなって。

 だからこそ、今は一緒に夢を追いかけてくれる人たちに“恩返し”がしたい一心ですね。グランプリ出場、タイトルを獲ることが恩返しになると思っています。

ーー「恩返しがしたい」という気持ちが原動力になっているんでしょうか?

 自分のために頑張る時期は過ぎたのかなって。今までビーチバレーから転身してガールズケイリンをやってこられたのは、時間を削って力を貸してくれる人たちのおかげ。こうやって元気にレースに来られているのも、周りのおかげ。それは身にしみて感じています。

 練習でもレースでも、いつも側で支えてくる人、手を振って応援してくれるファンの人の顔や気持ちが思い浮かぶんです。支えてくれる人たちがいるからレースに臨めていますし、その人たちを笑顔にしたいですね。

支えになっている人達を笑顔にするためにタイトルを狙い定めている(撮影:北山宏一)

ーーその思いは、今年の尾崎選手の戦いぶりを見ていれば伝わっていると思います。最後に、競輪祭女子王座戦に向けて意気込みをお願いします!

 2年前、みなさんをガッカリさせてしまいました。今年はグランプリに乗って、今度はみなさんを笑顔にしたい。そのためだけにやってきました。「何が何でもグランプリに乗る」ということだけを考えている。ここからの本番までの過ごし方もそうだし、優勝を目指して頑張りたいと思います。

ーーちなみに尾崎選手、現在の優勝回数が通算99Vです。100Vにリーチ!

 ね〜、ふふふ。持っていれば…。大谷翔平だったら(競輪祭で達成)するんでしょうね!(笑)

競輪祭女子王座戦の大舞台で100V達成を見据えて(撮影:北山宏一)

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