2024/11/18 (月) 12:00 29
小倉競輪場で「第66回競輪祭(GI)」が11月19日に開幕する。6日間の最後のサバイバルだ。ガールズケイリンの「第2回競輪祭女子王座戦(GI)」が19〜21日の前半3日間に入っており、12月静岡のグランプリシリーズへの出場者が決まる。何をおいても深谷知広(35歳・静岡=96期)が12月30日にその場所にいるのか…に、注目が集まる。
2021年に愛知から静岡の選手になり、当然、“その年の静岡グランプリで”と期待された。だが出場はかなわず、遠ざかっていた舞台には昨年6年ぶりに帰ってきた。そして「深谷だ!」と思われた直線に入ったものの、松浦悠士(33歳・広島=98期)に差されて準優勝だった。
S班にも復帰した今年。ずっと順当であり、南関の意志を胸に、好走を続けている。だが、どうしてもGIで結果を残せずに賞金ランキングは10位で競輪祭に突入する。チャンスのある位置ともいえるし、また、厳しい状況ともいえる。それを背負っているのは深谷だけではない。
今年のGIは2月全日本選抜を郡司浩平(34歳・神奈川=99期)が、6月高松宮記念杯を北井佑季(35歳・神奈川=119期)が制した。南関の勢いに乗って、深谷も早めにグランプリへの道が開けるかと思われた。
しかし、眞杉匠(25歳・栃木=113期)や古性優作(33歳・大阪=100期)が夏以降は本領発揮。深谷であり、ダービー準優勝だった岩本俊介(40歳・千葉=94期)がボーダーであえぐことになった。その苦悶…。昨年大会が、思い出される。
決勝は深谷が駆けて、松井宏佑(32歳・神奈川=113期)ー簗田一輝(28歳・静岡=107期)で追走。松井に大チャンスが訪れたが、眞杉の一撃に屈した。今年は決勝の後に、深谷であり南関勢が笑顔を見せるシーンが期待される。
深谷はデビューしてきてから、長く、深く、大きなものを背負ってきた。この大会は、深谷が一番の注目選手だ。
太田海也(25歳・岡山=121期)は昨年大会でGI初の決勝進出。“取れる力”は誰もが疑わない。ライバルである中野慎詞(25歳・岩手=121期)も、パリ五輪ケイリン決勝での落車、鎖骨骨折から元気に復活。四日市記念の躍動は、今大会への布石となった。
中野の先行に乗って四日市記念を優勝した新山響平(31歳=青森=107期)は、3年連続のグランプリ出場に大きく近づいた。一昨年の当大会以来だった優勝。勢いに乗って、2回目のGI制覇も十分あるだろう。大逆転の切符ゲットを目指す戦いは、毎年、熾烈だ。
何年か前のことだが、川口聖二(30歳・岐阜=103期)が「この大会に出られる以上、1ミリ、ほんのちょっとだけでも可能性はあるんです」と青ざめた顔で意気込んでいたことを思い出す。無論、九州勢も九州から優勝者を、で一丸となる。井上昌己(46歳・長崎=86期)が28歳の時、2008年まで競輪祭の九州の選手の優勝はさかのぼる。
ガールズケイリンでは今年パリ五輪があったことで、GIの久留米オールガールズクラシック、岸和田パールカップに佐藤水菜(25歳・神奈川=114期)が出場していない。パリのケイリン金メダルでの出場権獲得も期待されたが、それはならなかった。
単純な力比べで圧倒的な差があるといっていい。10月世界選手権では悲願のケイリン金メダルも獲得した。サトミナが強く、またそれに立ち向かう選手たちの成長が、よりガールズケイリンのレベルを上げる。まだ長い将来を築いていくためにも、サトミナは圧勝して他の選手たちの心に火をつける責務がある。
2012年のガールズケイリンのスタートから、それなりに時間は経っているが、まだまだ先を見据えていかないといけない。もっともっと長く、続くために。その基礎となる選手レベルの向上と、取り巻く環境の整備が必要だ。
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前田睦生
Maeda Mutuo
鹿児島県生まれ。2006年東京スポーツ新聞社入社、競輪担当として幅広く取材。現場取材から得たニュース(テキスト/Youtube動画)を発信する傍ら、予想系番組やイベントに出演。頭髪は短くしているだけで、毛根は生きている。