2024/10/31 (木) 13:00 18
清水裕友(29歳・山口=105期)は2014年のデビューから、グリグリと出世してきた。S級から一度A級に落ちたこともあるわけだが、特別昇級で戻ってくると、一気に上昇。S班の地位へたどり着くと、昨年こそ陥落したものの、今年即復帰を果たしている。競輪っぽい、と称される戦いぶりがファンをうならせている。
防府競輪場で大阪・関西万博協賛「開設75周年記念 周防国府杯争奪戦(GIII)」が11月1〜4日に行われる。昨年は玉野競輪場での代替開催だったが、現在、当大会を6連覇中。無論、7連覇を目指す。親分肌で、大きな男だが、このシリーズだけは「鬼になる」。こう、話す。
地元を背負っている。地区でいえば中四国や、または競輪界全体を背負う立場だが、生まれ育ち、親しんでいる地元を大切にする思いは人一倍だ。約2年の改修期間を経て、リニューアルされた後の記念開催。新しい防府競輪場を、今まで通り、今まで以上に湧かせてみせる。
6月岸和田の高松宮記念杯(GⅠ)で決勝に乗ったもはや“偉大なベテラン”と言っていい桑原大志(48歳・山口=80期)が、空気を引き締めつつ、和ませ、久保田泰弘(29歳・山口=111期)はいい意味で騒がしく盛り上げる。
河端朋之(41歳・岡山=95期)も寬仁親王牌の理事長杯で清水の3番手を回ったように、今回も中国地区結束でいくか。取鳥雄吾(29歳・岡山=107期)も求められた仕事は全力以上で仕上げる男。そして…。
世界選手権から帰国してすぐに参加した小松島FⅠ初日に失格となってしまった太田海也(25歳・岡山=121期)がうっ憤を晴らす。順調にいかない時期が続き、パリ五輪の悔しさを胸に、悶えている。「自転車がイヤになる気持ちも…」。傷ついた心はすぐには癒されない。
誰かが癒してくれるものでもない。戦い続けることが、太田海也、の使命。今回はとても大事なシリーズになる。
S班に復帰した深谷知広(35歳・静岡=96期)は高いレベルで安定しているものの、その名前がなくてはいけない場所である「KEIRINグランプリ2024」(静岡)の出場争いの渦中にある。厳しい状況とすら言える。11月小倉競輪祭(GⅠ)にムードを作っていけるか。渾身の戦いを披露する。
山口拳矢(28歳・岐阜=117期)はS班1年生の戦いで、思うように走れていない。爆発的な何か、を持っていることは証明済みも、まだ完成されていない状態だったのは事実。タテ脚だけでなく、位置取りなど試行錯誤もいきなりの果実とはいかなかった。だが…競輪祭でもしかしたら、と思わせる走りを今回は見せてほしい。
神山雄一郎(56歳・栃木=61期)共同通信社杯(GⅡ、現:共同通信社杯競輪)を優勝したのが2015年のことだ。歴史を作り続けるレジェンドの走りを、また防府で見られることはファンにとっても喜びだろう。
ガールズケイリンの126期では、とにかく仲澤春香(23歳・福井=126期)がムーブメントを起こしている。ガールズのレースでは「ウソでしょ」と思うような不屈の脚を発揮して、すでに上位選手相手に勝ち星を挙げている。現段階で頭一つ抜けた存在であり、優勝が求められる。そして、これからは自転車競技の大会でも結果を残し、2028年ロス五輪への道を切り開いていく。
地元山口からは磯村光舞(20歳・山口=126期)がひらりと舞う。世の中、いろんな名前があるものだが、この「光舞=ひらり」は抜群のセンスだ。以前聞いた時には妹さんも超ハイセンスな名前で、日本語の美しさを感じたものだ。
7選手全員が大注目なのだが、紙幅がない(無限に書いてもいいのだが、冗長になってはいけない)。直前に社の企画で取材した伊藤優里(20歳・三重=126期)がどんな走りを見せるのか、も期待を持ってみていきたい。先行すること、への戦いはスタートしているが、先行で結果を残すこと、への戦いも始まっている。企画取材後すぐの平塚で見せていた何かを、大きなものにつなげてほしい。
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前田睦生
Maeda Mutuo
鹿児島県生まれ。2006年東京スポーツ新聞社入社、競輪担当として幅広く取材。現場取材から得たニュース(テキスト/Youtube動画)を発信する傍ら、予想系番組やイベントに出演。頭髪は短くしているだけで、毛根は生きている。