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鈴木誠のハイブリッド展望

【寛仁親王牌杯】元ナショナルチームの寺崎がラインを引っ張り、後ろも古性が固める近畿ラインは盤石! 抜群の出来にある脇本の勝利は揺るがない!/鈴木誠の展望

2024/10/20 (日) 12:00 2

現役時代はトップ選手として長く活躍し、現在は評論家として活動する鈴木誠氏の競輪予想コラム。今回は弥彦競輪場で開催されている寛仁親王牌の決勝レース展望です。

世界選手権を沸かすナショナルチームの活躍は、競輪も盛り上げてくれるはず!

【寛仁親王牌杯】は今年の5月25日、26日に高知競輪場で開催された「全プロ競技大会」の出場者が選考対象となっています。その中でも大会の成績上位者が初日の特選や、日本競輪選手会理事長杯に出場していました。

 今年の【寛仁親王牌杯】でも、「全プロ」のスプリントで1位となった河端選手が、日本競輪選手会理事長杯へと出場。準決勝でも3着に入着して、決勝へと進んできました。

【寛仁親王牌杯】の選考基準には自転車競技での成績も含まれており、現在のナショナルチームにも、出場資格を満たしている選手がいます。

 そのナショナルチームの選手たちですが、16日に開幕した「UCIトラック世界選手権」において、男子チームスプリントで長迫選手、太田選手、小原選手が日本チームとしては初めての銅メダルを獲得しています。

 また、男子ケイリンに出場した山崎選手と、男子スクラッチに出場した窪木選手は金メダルを獲得しました。そして佐藤選手も、女子スプリントでは史上初となる銅メダルを獲得しています。

 国際的な自転車競技の大会で、日本の選手たちが活躍しているのは非常に誇らしいことです。自分も世界選手権に出場した経験がありますが、競技ならではの面白さや、世界の選手たちを相手にメダルを取ることの凄さが、広く認知されてもらいたいと思っています。

 その一方でナショナルチームに所属する選手たちの走りが、競輪でも披露されるはずの【寛仁親王牌杯】と、「UCIトラック世界選手権」の日程が重なってしまったのは残念です。

 来年以降はナショナルチームの選手たちも、出場しやすい大会日程が組まれるようにすれば、今年のパリオリンピックのように、競輪と自転車競技の双方に興味を持ってもらえるのではないかと思います。

 ちなみに決勝には河端選手だけでなく、脇本選手、新山選手、寺崎選手と「速さ」を極めてきた、元ナショナルチームの選手たちが勝ち上がってきました。

 そこに「競輪」ならではの「強さ」や「上手さ」を武器とする、古性選手や郡司選手も名を連ねたことで、かなり面白い決勝メンバーとなりました。

 決勝の並びですが、⑨寺崎選手-⑤脇本選手-①古性選手の近畿ライン、②郡司選手-④小原選手の南関東ライン、③新山選手-⑦渡部選手の北日本ラインとなり、⑥河端選手と⑧佐々木選手は単騎戦となっています。

 決勝のポイントは寺崎選手、新山選手と元ナショナルチームの先行争いです。ちなみに近畿ラインの並びはローズカップとも一緒であり、その時は古性選手のスタートの上手さもあって、前受けからのレースをしています。

 この決勝も1番車に入った古性選手が、すんなりとスタートを取っていくと思います。今大会の寺崎選手は調子の良さが目立っており、準決勝でも8番手からの捲りという豪快なレースを見せていました。

 後方となった新山選手が寺崎選手を抑えに行ったとしても、突っ張りきれるはずであり、こうなれば、番手から捲ってくる脇本選手におあつらえ向きの展開となります。

 寺崎選手の調子の良さもさることながら、今大会の脇本選手は抜群の出来だと思います。準決勝では北井選手が逃げていただけでなく、番手の郡司選手も車間を切っていたにもかかわらず、8番手からの捲りきった走りは驚かされました。

 しかも、その後ろを固めるのは、今大会でも縦と横の動きが抜群の古性選手です。決勝でも脇本選手が早めに捲っていった時には、しっかりとサポートに入ってくれるでしょう。

 ただ、ローズカップのように寺崎選手が後方まで下げた時には、先行するのは新山選手。郡司選手が捲っていったその上から、寺崎選手の捲りという展開も想定されます。その際に寺崎選手が2着や3着に残るようだと、3連単の配当も良くなってきます。

 印としては◎が脇本選手で、◯が古性選手。△は捲りが怖い郡司選手で、×は新山選手の後ろから抜け出してきそうな渡部選手に回しておきます。

 河端選手はこのメンバーを相手にした単騎戦では、さすがに分が悪い印象があります。それだけこの決勝では、元ナショナルチームの2人がラインを形成した、近畿ラインの「速さと強さ」が際立っていると言えそうです。

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鈴木誠のハイブリッド展望

鈴木誠

千葉県市原市出身。日本競輪学校第55期卒。千葉経大付属高校の頃から競輪に没頭し、吉井秀仁氏に師事。現役時代はすべての戦法を完璧にこなし、「本物の自在型選手」と評されるほど多彩なストロングポイントを武器に、引退するまで長きにわたってトップ選手として君臨した。現役時代は通算3058戦665勝、優勝109回(うちGIは競輪祭新人王を含め4回、GP1回)、年間賞金王1回、通算獲得賞金は17億を超える。18年7月に、ケガのため惜しまれつつ引退。引退後は選手経験を生かし、解説者として活躍。スピードチャンネルなどの番組にも出演している。

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