2024/08/27 (火) 12:00 5
現役時代はトップ選手として長く活躍し、現在は評論家として活動する鈴木誠氏の競輪予想コラム。今回は小田原競輪場で開催されている北条早雲杯争奪戦の決勝レース展望です。
【北条早雲杯争奪戦】の決勝ですが、準決勝の10R(和田、北井、鈴木)と11R(郡司、松井、松坂)からは3人ずつ。そして12Rからは新村選手が勝ち上がってきた南関東は、その7人でラインを形成することとなりました。
自分も現役時は6車のラインで走ったことがありますし、北日本が5車で並んだ時には、その後ろを回ったこともあります。
今回は同じ神奈川の選手だけで、6人が決勝に進んできただけに、ひょっとしたら6車で並ぶのではとも思っていましたが、記念競輪の決勝における7車での結束とは、正直驚きました。
その並びは⑧新村選手-⑤北井選手-③松井選手-①郡司選手-⑦和田選手-⑥松坂選手-⑨鈴木選手となりました。別線は混成ラインで、②脇本選手-④阿部選手となっています。
7人の中でも色々な話し合いが行われたはずです。結論としては新村選手の前で走りたいという気持ちに加えて、千葉の鈴木選手としては、神奈川の選手たちに世話になっているとの思いから、別線ではなく、ラインを固めることを優先したのだと思います。
レースの展開としては、車番を生かした郡司選手がスタートを取って、新村選手が青板前のバックから誘導員との距離を取っていく。そのまま脇本選手が抑えて来る、来ないに関わらず前に出ていって、その番手から北井選手が発進。ゴール前で松井選手が抜くか抜かないかの接戦で、3着が郡司選手といったところでしょうか。
脇本選手としては阿部選手が付けてくれただけに、この状況を何とか打破したいと考えているはずです。
ただ、ラインの先頭を走る新村選手の上がりタイムが9秒台後半で、そこから北井選手が9秒台中盤で発進していくとなれば、8番手から捲っていく脇本選手は、それ以上の速い脚を使っていかなければなりません。
現実的に脇本選手が捲り切るには、8秒台のタイムが必要となります。さすがの脇本選手といえども、とても難しいレースとなってしまいました。
ただ、予想をする側としてはとても簡単というのか、予想のしようがないというのが正直な気持ちです。印は◎北井選手、〇松井選手、△郡司選手だけとなります。
今大会は地元の神奈川の選手が多数参戦していただけでなく、330バンクの特徴を生かした、先行選手たちの活躍が目立っていました。
番組的にも地元の先行選手が、勝ち上がりやすいレースが多かったように思います。それでも、決勝に7人も勝ち上がってきたのは、南関東の選手層が厚くなった証とも言えるでしょう。ただ、予想する側としては、面白みに欠けてしまったのも事実ですが…。
鈴木誠
千葉県市原市出身。日本競輪学校第55期卒。千葉経大付属高校の頃から競輪に没頭し、吉井秀仁氏に師事。現役時代はすべての戦法を完璧にこなし、「本物の自在型選手」と評されるほど多彩なストロングポイントを武器に、引退するまで長きにわたってトップ選手として君臨した。現役時代は通算3058戦665勝、優勝109回(うちGIは競輪祭新人王を含め4回、GP1回)、年間賞金王1回、通算獲得賞金は17億を超える。18年7月に、ケガのため惜しまれつつ引退。引退後は選手経験を生かし、解説者として活躍。スピードチャンネルなどの番組にも出演している。