2024/08/17 (土) 09:00 18
GI開催特別コラム「山田裕仁の一発逆転!波乱注意報」。帝王・山田裕仁が、開催前半〜中盤までの選手の調子をチェックし、展開から"買えるヨーロッパ(468)"を紹介。元選手ならではの視点から、狙い目の2レースをお届けします。▶山田裕仁の見解と買い目はこちら
ヨーロッパ(468)とは?
競輪では各レースにおける「能力的にやや見劣る選手」「競走得点の低い選手」が、4番、6番、8番に入ることが多いことから、ひとくくりにしてこのように呼ばれています。とはいえ、展開やデキ次第では上位への食い込みが十分に可能。その場合には高配当も期待できます。そんなヨーロッパの中から、とくに好走&激走が期待できそうな選手と推奨理由について解説します。
【予想レース①】
平塚1R オールスター競輪(GI)S級一般
①志田龍星(119期=岐阜・26歳)
②岡村潤(86期=静岡・42歳)
③志智俊夫(70期=岐阜・51歳)
④内藤宣彦(67期=秋田・53歳)
⑤晝田宗一郎(115期=岡山・25歳)
⑥原田研太朗(98期=徳島・33歳)
⑦河端朋之(95期=岡山・39歳)
⑧渡邉一成(88期=福島・41歳)
⑨道場晃規(117期=静岡・27歳)
【初手・並び予想】
←①③(中部)⑨②(南関東)⑥(単騎)⑧④(北日本)⑤⑦(中国)
【注目のヨーロッパ】
④内藤宣彦
⑧渡邉一成
⑥原田研太朗
本稿で取りあげることが多い第1レース。ここもデキがいい選手はいっさい見当たらず、コマ切れ戦となったことで展開に紛れも出そうだ。おそらくは①志田龍が先頭の中部勢が人気の中心となるだろうが、主導権を奪って粘りきれるほどのデキにはなく、その番手を回る③志智俊もどうもピリッとしない。人気ほどにはアテにできない…というのが、このシリーズでの走りをみての印象だ。
同様に、⑨道場晃が先頭の南関東勢もイマイチ。主導権を奪っての逃げも可能な組み合わせだが、⑨道場晃が今のデキで自信をもって逃げられるかといえば「否」だろう。ならば…と、中団〜後方からの捲りで勝負してくるであろう⑤晝田宗に目がいくが、こちらも推せるような強調材料が見当たらず、食指が動かされない。つまり、人気しそうなラインが、ことごとく信頼できないのである。
そういったレースだからこその穴狙い。注目は、⑧渡邉一が先頭の北日本勢だ。福井記念では冴えない結果に終わった⑧渡邉一だが、これは7月の西武園開催を病気欠場した影響が大きい。その前はS級シリーズで3回連続して決勝戦に勝ち上がるなど、かなりいい走りをみせていた。病欠明けだった福井記念を叩き、さらにこのシリーズでも2走したことで、そろそろ調子が上向いてきそうだ。
その番手を回る④内藤宣は、53歳になってもなお意気盛ん。近況でもキッチリ前を差し切るレースをみせているように、衰えはまったく感じられない。⑧渡邉一が前々で積極的なレースをすれば、番手の仕事をキッチリ果たしてから、ここも差しての1着を狙ってくるはず。⑧渡邉一が残す⑧→④も当然ながら買うが、どちらがより面白いかといえば、差し目の④→⑧のほうだろう。
ここに絡んでくる可能性があるのが、中国勢との連係ではなく、単騎勝負を選んだ⑥原田研。ダメなときは徹底的に淡白なのでなんの見せ場もなく終わるだろうが、そのぶんハマったときの鮮やかさは素晴らしい。先に抜け出した北日本勢の⑧④を、捲ってきた⑥原田研が捉えきっての⑥④⑧など、ここは「ヨーロッパ」が確定板を独占するような結果もあり得る一戦。1着を④⑥⑧に固定し、さらに相手にも塗るような高配当シフトで挑む。
【予想レース②】
平塚6R オールスター競輪(GI)S級特選(2)
①松岡貴久(90期=熊本・40歳)
②成田和也(88期=福島・45歳)
③諸橋愛(79期=新潟・47歳)
④佐々木眞也(117期=神奈川・30歳)
⑤森田優弥(113期=埼玉・26歳)
⑥後藤大輝(121期=福岡・23歳)
⑦野田源一(81期=福岡・45歳)
⑧小原佑太(115期=青森・28歳)
⑨小原太樹(95期=神奈川・36歳)
【初手・並び予想】
←④⑨(南関東)⑥①(九州)⑦(単騎)⑧②(北日本)⑤③(関東)
【注目のヨーロッパ】
⑥後藤大輝
⑧小原佑太
こちらも第1レースと同じく、ラインが4つに単騎が1名というコマ切れ戦。しかし大きく異なるのが、人気の中心となるであろう関東勢が強く、その先頭を任された⑤森田優のデキも上々だということだ。勝ち上がりこそ逃したが動きはよく、番手につくのが③諸橋愛というのも心強いはず。ここがあっさり捲りきっての堅い決着も大いにあるという点には、十分に注意していただきたい。
ただ、人気の関東勢が捲り不発などに終わると、様相がガラリと一変する。この場合、「ヨーロッパ」が絡む決着がいかにもありそうなのである。地元の意地をみせたい南関東勢にも目がいくが、先頭の④佐々木がやりたいレース内容が、関東勢のそれと似かよったものになりそう。立ち回りが難しくなりそうな側面があり、そうデキがいいという印象もないとなると、こちらも推しづらい。
ならばここは、主導権を奪う可能性がもっとも高そうな九州ライン先頭の⑥後藤大輝と、パリ五輪の日本代表でもあった北日本ライン先頭の⑧小原佑を狙うのが面白そうだ。まずは九州勢だが、番手を回るのが①松岡貴であるため車番的な有利さがあり、初手から欲しい位置が取れるはず。自分以外が主導権を奪う展開になったとしても、その直後から捲るカタチに持ち込みやすい。
北日本の先頭を任された⑧小原佑は、4日目に帰国後の初白星をあげた。9カ月ぶりの競輪とあって勘を戻すのに少し時間を要したが、最後方に置かれたところから単騎で豪快に捲りきったスピードはさすが。勝ち上がりは逃すも、日の丸を背負った者としての存在感を発揮している。デキ自体は上々のようなので、他ラインの出方次第では、一気のカマシで主導権を奪いにくるケースもありそうだ。
九州勢の番手が①松岡貴で北日本勢の番手が②成田和ならば、いずれも最後までしっかり付ききってのスジ決着が濃厚か。3着マギレで配当がハネるパターンも考えられる一戦なので、3連単の「⑥=①→全」と「⑧=②→全」の合計28点が、このレースの具体的な推奨買い目となる。さらに欲張って「⑥⑧からのスジ違い」を狙う手もあるだろうが、点数が大幅に増えてリスクが増大するので、推奨まではしかねる。
山田裕仁
岐阜県大垣市出身。日本競輪学校第61期卒。KEIRINグランプリ97年、2002年、2003年を制覇するなど、競輪界を代表する選手として圧倒的な存在感を示す。2002年には年間獲得賞金額2憶4434万8500円を記録し、最高記録を達成。2018年に三谷竜生選手に破られるまで、長らく最高記録を保持した。年間賞金王2回、通算成績2110戦612勝。netkeirinでは当コラムのほかに、グレードレースを総括する「山田裕仁のスゴいレース回顧」も担当。